はじめて仏壇を購入するとき、自分の宗派を知ることが必要です。仏壇に安置する本尊や脇仏などが宗派によって違うからです。

しかし実家の宗派にこだわらず、自分が信じる宗派に決めることもできます。また、法事やお墓参りなどに便利に、と自分の家の近くの寺を菩提寺と決める人もいます。菩提寺とは、一家が代々信仰し、葬式や法事などを営むお寺のことです。
菩提寺を選ぶときは、宗派が納得できるお寺であることが大切です。菩提寺の宗派が自分の宗派となるのですから。

●宗派によって本尊が違う

仏壇のなかには仏像が安置されていることは知っていても、本尊が宗派によって違っていることまでは知らない方が多いです。
本尊とは信仰の中心として祀られている仏像や曼荼羅（まんだら）のことです。本尊が宗派ごとに異なるのは、各宗派により教義や仏教の理想の求め方が違うからです。
本尊の形式には、お姿のある仏像と、絵像の掛軸があり、寸法は、仏壇内部の大きさに合わせて選びます。仏像には、木彫仏像や鋳造仏像などがあります。
本尊は菩提寺を通して本山からいただく場合もありますが、一般には仏壇店から購入し、菩提寺の住職に魂入れ（たましいいれ）をしていただきます。
本尊は、仏壇の中心である須弥壇（しゅみだん）の上に安置します。より丁寧にまつるには、その両脇に脇掛（わきがけ）という、宗派で定めている祖師像などの掛軸を安置します。 掛軸は仏壇の裏板に鋲で留めるか、掛軸台にかけて安置します。

●本尊の種類

本尊は仏壇の中心に安置される仏像（仏像だけではなく、掛軸をかける場合もあります）、あるいは曼荼羅です。安置する仏像は宗派によって異なります。

▼天台宗/阿弥陀如来　脇掛（天台大師/伝教大師）

▼真言宗/大日如来　脇掛（弘法大師/不動明王）

▼浄土宗/阿弥陀如来　脇掛（善導大師/法然上人）

▼浄土真宗本願寺派/阿弥陀如来　脇掛（親鸞聖人/蓮如上人）

▼真宗大谷派/阿弥陀如来　脇掛（十字名号/九字名号）

▼臨済宗/釈迦如来　脇掛（各派によって異なる）

▼曹洞宗/釈迦如来　脇掛（承陽大師/常済大師）

▼日蓮宗/曼荼羅　脇掛（鬼子母神/大黒天）

本尊と脇掛が決まれば、仏壇の中に仏具を飾ります。仏壇を仏壇らしくするには、仏壇のなかに本尊、位牌を安置するだけではなく、花立や燭台、香炉などの仏具を飾って、はじめて完成します。

仏壇に仏具を飾ることを「荘厳(しょうごん)する」と言いますが、荘厳はサンスクリット語で「見事に配置されていること」という意味で、さまざまな仏具で仏壇を飾って、はじめて仏壇になるのです。
揃える仏具は宗派によって違いがあり、価格も変わります。信頼できる仏壇店と相談しながら購入するのが良いです。