お墓を建てない埋葬方法の一つとして最近注目されているのが遺骨ダイヤモンド(ダイヤモンド葬)です。遺骨とダイヤモンド、どういう関係があるのでしょうか?
遺骨ダイヤモンド(ダイヤモンド葬)とは、遺骨をダイヤモンドにして、身近な場所で故人様を偲ぶことです。粉末状にした遺骨の中から炭素を抽出して合成ダイヤモンドを作り上げます。故人の大切な遺骨が宝石として手元に残るという、これまでの概念を覆す手元供養なのです。さらに、遺骨ダイヤモンドから指輪やペンダントなどのジュエリーを製作することもできます。
●遺骨で作られるのは合成ダイヤモンド
そもそもダイヤモンドは地下100㎞もの深い地中で、2000度、6万気圧にも達する高温高圧の条件がそろってはじめてできる、炭素の結晶です。それを化学的に合成したものが、合成ダイヤモンドです。皆さんも宝石店でご覧になったことがあると思います。
高温高圧合成法 (HPHT) または化学気相蒸着法 (CVD) という方法で、天然ダイヤモンドと同じ化学組成を持つ合成ダイヤモンドを作るのです。
ダイヤモンドは炭素の結晶で出来ていますので、遺骨ダイヤモンドでは、遺骨や遺灰の中の炭素を抽出し、それを使用します。少しでも不純物が混じっていては美しいダイヤモンドが出来ませんので、遺骨ダイヤモンドの製作には合成ダイヤモンドの製作技術に加え、高純度の炭素抽出技術が必要になります。
●製作期間
遺骨ダイヤモンドの制作期間は6ヶ月ほどと言われています。遺骨ダイヤモンドの日本法人があるため国内で依頼は可能ですが、実際に製作加工するのは海外になります。メーカーはスイス、アメリカ、ロシアのなどにあります。時間をかけて加熱加圧しなければできないダイヤモンドなので、その時間と海外での製作ということで、さらに製作期間が長くなるようです。
●遺骨の量によってダイヤモンドサイズが決まる
遺骨の量によって作れるダイヤモンドサイズが決まります。スイスのあるメーカーでは、遺骨の必要な量は400gだとしています。これは、関東地方や東日本などで見られる遺骨の全部収骨した場合(約7寸の骨壺を使用)、その内の3分の1から4分の1が400gに相当するようです。
一方、西日本などの部分収骨の場合は(約4寸の骨壺を使用)、400gに満たないようです。この場合は、遺髪など故人の遺骨以外のものを混ぜてダイヤモンドを作ります。遺骨の必要量は各メーカーによって異なるようです。
●費用
費用はメーカーによってそれぞれですが、0.20 Ctで約50万円。1.00 Ctで250万円ほどするようです。
遺骨ダイヤモンド(ダイヤモンド葬)は、跡取りがいない人や身内のいない人など、お墓を建ててもそのあとの供養してくれる人がいない方には選択肢の一つになるかもしれません。
墓石を建てない供養では樹木葬や納骨堂などの方法もありますが、その費用でダイヤモンド葬を選ばれるという方も徐々に増えてきています。