エンバーミングの歴史と手順のご紹介

葬儀・仏事

エンバーミングの歴史と手順のご紹介

エンバーミング(遺体衛生保全)とは?

エンバーミングとは、「遺体衛生保全」の総称で、遺体を衛生的に保全できる施術のことを言います。専門の資格をもったエンバーマーによって、ご遺体を衛生的に修復保全することで長期保存を可能とする技術です。

 エンバーミングをすることで、遺体を一定の期間、衛生的に保全できるようになります。

そして生前と同じような姿の故人とお別れができます。

 遺体は、様々な理由で生前と違う状態になることがあります。例えば、長い闘病生活でやつれてしまったり、事故や災害などで亡くなった場合など、遺体が損傷していることもあります。このような時に、故人の生前の写真などを参考に、傷の修復も行うなど、エンバーミングをすることで、元気だったころの故人の姿に近づけることができます。
また、ドライアイスを必要としない場合が多いため極端に冷たくなることもなく、死後硬直でお体が硬くなることもないので、生前と変わらない様子を保つことができます。お顔についても生前の写真をもとに修復化粧するので見違える状態になります。

●エンバーミングの歴史

死者を生前のままの姿で保存したいという願いは古くからあり、その起源は古代エジプトといわれていますが、今日のエンバーミングの歴史は、アメリカで南北戦争時代に始まりました。南北戦争での戦死者を故郷に送るためにエンバーミングを行ったことで、その技術が広まったのです。

第16代大統領のリンカーンや、第35代大統領のジョン・F・ケネディをはじめ、マリリン・モンローやマイケル・ジャクソンなどアメリカを代表する著名人もエンバーミングを行っています。
一方、日本では1988年に導入されて以来、年々利用者は増えています。一般社団法人日本遺体衛生保全協会(IFSA)が中心となって、日本でのエンバーミングの実施や普及に努めています。
近年では、メディアなどで取り上げられることも多くなり、施術場所となるエンバーミングセンタ―も増えてきてはいますが、まだまだ少ない状況です。なお、料金に関しては、導入初期と比べるとかなり安くなってきています。
最近では、お葬式のプランの中に取り入れている葬儀社もあるようです。

●エンバーミングの手順

日本でのエンバーミングとは、エンバーマーと呼ばれるIFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)のエンバーマーライセンスを持った技術者によって行われ、手順は次の通りとなります。所要時間は3~4時間です。

①洗浄

全身の消毒処理および洗浄を行います。そして、髭を剃る、表情を整えるなどの処理を行います。

②.衛生保全

遺体の一部分を切開し、動脈から防腐剤を注入し、同時に静脈から血液を抜きます。
腹部に小さな穴をあけ、胸腔や腹腔に残った血液あるいは腐敗しやすい残存物を鋼管で吸引し、同時にその部分にも防腐剤を注入します。

③修復

切開した部分を縫合しつつ、損傷部分の修復を行います。傷痕はテープなどで隠します。

④着付けと化粧

全身を再度洗浄し、衣服を着せて、表情を整え直します。

●エンバーミングをするとお葬式はどうなるの?

エンバーミングを施すことにより長期間の保全ができるため、火葬炉の都合で葬儀の日程が延びた場合や、参加する遺族を長期間待たなければならない場合などにエンバーミングは効果的といえます。
体に損傷があった場合でも限りなく生前の姿に近づけられるので、元気な姿の故人と、時間をかけて心ゆくまでゆっくりお別れでき、ご遺族の悲しみを和らげる効果もあるようです。また、遺体が長時間変化しないうえ、触れたりしたときの衛生的な問題もなくなりますので、お別れの形についても、より自由度が増すといえます。希望があれば、「故人と一緒のお布団に寝ても大丈夫」とも言われています。

●費用

エンバーミングの費用は、遺体の状態により金額が変動します。
基本料金はIFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)が定めているため、どこの葬儀社に依頼をしても同じくらいの金額となります。
基本料金は15万円〜25万円です。

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