公営霊園・寺院墓地・民営墓地の特徴と、利用するメリットについて

お墓

はじめに

墓地や霊園にはいくつかの種類がありますが、その違いを知っている人はあまりいないのではないでしょうか?
そこで今回は、公営墓地・寺院墓地・民営墓地の特徴や、それぞれのメリットについて解説していきます。

公営霊園・寺院墓地・民営墓地の特徴について

それぞれの霊園や墓地は、経営を行う母体によって特徴や利用方法が大きく異なります。
例えば、公営霊園は行政が運営しているので宗教によって区別する事はできないですが、寺院墓地は特定の宗教施設なので、信仰や宗教による区別が許可されています。
また、具体的には以下のような特徴や違いがあるので、しっかりと把握しておきましょう。

公営霊園とは?

公営霊園とは、都道府県や市区町村のような地方自治体が所有・運営を行っている墓地の事を指します。
公営霊園は、公共サービスの一環として墓地を提供しているので、寺院墓地のような宗教の制限はなく、永代使用権や管理費などの利用料金も比較的低額に設定されています。
しかし、その分利用希望者も多いため、住民数が多い地域だと抽選に応募して当選しなければ使用する事ができない場合もあります。
また、基本的には公営霊園がある自治体に住んでいる住民でなければ利用する事ができないですし、お墓を設置する区画を指定する事もできないので注意しましょう。

寺院墓地とは?

寺院墓地はお寺が所有している墓地の総称であり、一般的な日本人がイメージする墓地でもあります。
寺院墓地の利用者は、墓地の利用料や管理料をお布施として支払う事になりますが、その代わりに葬祭供養に関わる全てをお寺に任せる事ができます。
とはいえ、寺院墓地の多くは営利目的のサービスではなく、寺院と檀家との信頼関係によって成立しているので、他の宗教を信仰している場合は利用できません。
このような関係を「檀家制度」と言い、近年ではどのお寺も檀家が減りつつありますが、昔ながらの風習や慣習が根強い地域だと檀家制度も残り続けています。

民営墓地とは?

経営主体が宗教法人や財団法人などの公益法人である墓地が民営墓地ですが、民営と言っても民間企業であればどこでも経営できるわけではありません。 墓地という人の死に関わる大事なものを扱う事業である以上、倒産の可能性が低く、一定の永続性が保証されている宗教法人や公益法人のみが経営可能とされているのです。
もっとも、経営主体が宗教法人や財団法人であるとはいえ、実際に管理・運営しているのは、それらの団体から委託を受けた民間企業であることが多いのも事実です。
民営墓地の特徴は、各事業者の創意工夫によっていろいろな個性や魅力があるところですが、その理由は他社との競争にさらされているため買い手のニーズに合ったサービスを提供できるよう工夫しなけれならないからであり、 そのこともあって民営墓地はきれいで素敵なところが多いです。
また、料金は比較的高額になりますが、それでも都会の立地が良い霊園などはとても人気ですぐに売り切れになってしまいます。
ちなみに、石材店は霊園の指定石材店しか選べないことが多いというデメリットもあります。

公営霊園のメリット

公営霊園は希望者が多く、抽選になることがほとんどですが、公営霊園がこれほど人気があるのはいったいなぜでしょうか。
これは、行政が管理しているため安心感があるということや、比較的安価なことが理由と言えますが、それ以外にも公営墓地を利用するメリットがあります。
それでは、公営墓地のメリットとして大きなものを、こちらで2つ紹介します。

自治体が運営しているので経営が安定している

民営墓地の場合、比較的経営の安定している公益法人が経営主体となっているとはいえやはり倒産のリスクがあるのですが、公営墓地は経営主体が自治体であるため、倒産するということはまずありません。
万が一墓地の経営主体が倒産してしまった場合、遺骨は遺族に返すことになりますが、そうなると永代使用料も無駄になってしまうし、新しい墓地も探さなければならず、その負担は甚大になります。
墓地という故人を扱うとてもセンシティブな場面で、このようなトラブルに遭うことはできるだけ避けたいところですが、この点公営墓地であれば倒産のリスクはほとんどないので、その意味で自治体が経営主体であるということは墓地を選ぶ上では大きなメリットの一つと言えます。

宗教や宗派などの制約がない

寺院墓地だと他の宗教を信仰する場合には利用することができませんが、自治体はそのような宗教による差別的取り扱いが禁止されているため、公営墓地の場合には信仰する宗教によって利用が制約されることがないのです。
確かに寺院墓地であっても、他の宗教から改宗するのであれば墓地の利用は可能ですが、宗教や信仰心は個人の人格に関わるにとても重要なものなので、故人や家族の意思も様々である以上気軽に変更できない場合もあります。
この点公営墓地であれば、信仰心に関係なく利用できるため、宗教上の理由に関わる心配をする必要がないというメリットがあります。

寺院墓地のメリット

寺院墓地は日本人にとって馴染みの深いものであり、そういった意味での安心感は大きいため、宗教による制約があったり壇家制度によるお寺への経済的支援という負担があるものの、現在でも寺院墓地の使用を希望する人は少なくありません。
ここでは、そんな寺院墓地のメリットを2つ紹介します。

寺院境内に墓域があり管理面で安心

寺院墓地は、住職に管理や運営を任せることができます。
葬儀だけでなく法事・法要など、故人を供養するためには色々な手間がかかりますが、全部自分で管理するのはとても大変であり、 これをすべて住職に任せることができれば自分で管理しなくて済むため、とても助かります。
また寺院墓地は、寺院の境内かそれに隣接した地域にあるのが普通なので管理が行き届いていており、例えば公営墓地では共益部分の清掃が行われる程度なので、これと比較しても寺院墓地の管理はやはり安心感があります。

僧侶が身近にいる

住職がいつもそばにいて日常的にお経が唱えられる環境であれば、故人を安らかに供養することができるので家族も安心して任せることができます。
また、法事・法要のときにも、心配なことはその都度住職に相談ができるため、法事関係での心配事も解消しやすいです。
先ほども説明した通り、寺院墓地の利用には壇家制度があるため、壇家によって住職と関わることが多くなりますが、そうして住職と深く関わっていく中で信頼関係も生まれ将来にわたる安心感が形成されていくので、 このことは寺院墓地を利用する大きなメリットです。

民営墓地のメリット

民営墓地は制約が少なく、公営墓地や寺院墓地と比べて数も多いため、選べる幅が広いのが魅力です。
公営墓地や寺院墓地だけでは数が足りないという事情からも、現在では民営墓地の数が昔よりも増えていますが、そんな民営墓地を使用するメリットについて2つ紹介します。

お墓のデザインや大きさなどが自由に選択可能

民営墓地は、企業が提供するサービスであるため、利用者のニーズを考えた満足度の高い墓地であるという点に特徴があります。
例えば、緑に囲まれた開放的な居心地の良い空間にデザインされていたり、キレイな花が咲いているガーデンテラスのようなところもあったりと、それぞれの墓地によって個性ある魅力が出ており、 お墓のデザインや大きさも自由なため、数ある民営墓地の中から好みのところをみつけ、自分に合った場所を選ぶことができるのです。
また宗教も特に関係ないため、その点を気にする必要はありません。
このように自由度の高い民営墓地は、自分好みに合った墓地を選びたい人にはおすすめです。

申込条件が比較的ゆるい

民営墓地は商品なので消費者のニーズに応える必要があるため、条件を厳しくしているところは少なく、利用するのが簡単というメリットがあります。
寺院墓地のように宗教によって制限しているの所は少ないため、どの宗教であっても入れるところが多く、また国籍も問わず外国人でも利用できるというところもあり、他の霊園や墓地とくらべても条件は緩いです。
民営墓地は区画に空きが出さえすれば申し込みができ、公営墓地のように住所地の制限などもないため、気に入りさえすれば誰でも購入可能であるということが多いです。
ただし、民営墓地は営利性もあるため、立地や設備によってかなり高額になるところもあるので、民営墓地を選ぶ上では金額面での問題が特に重要な要素となります。

お墓探しのポイントについて

今回ご紹介した通り、霊園や墓地の種類によって特徴やメリットが大きく異なります。
そのため、どの種類の墓地が良いとは一概に言えないですが、まずは自分や家族が希望する条件・信仰している宗教などを書き出して、その条件に合った墓地を選ぶようにしましょう。

タイトルとURLをコピーしました