個別安置型永代供養とは?求められる背景やメリット・デメリットについて

この記事は約7分で読めます。

はじめに

最近では一般的なお墓を購入するのではなく、寺院や霊園への永大供養を希望する人も増えています。そして永大供養のなかでもいくつかの種類があり、どの種類を選ぶかによってお墓の形態も異なりますが、中でも出来るだけ通常のお墓との違いがないタイプのものを希望する人におすすめなのが個別安置型永代供養です。
そこでこちらの記事では、個別安置型永代供養がどのようなものであるのかということから、求められるようになった背景、そして個別安置型永代供養のメリット・デメリットについて解説します。
お墓選びに迷っている人は、ぜひ参考にしてください。

個別安置型永代供養について

それではまず、個別安置型永代供養がどのようなものであるかについて、永代供養の特徴を踏まえて説明します。また、個別安置型永代供養と集団安置型永代供養との比較によって特徴がより明確になるので、集団安置型永代供養についての解説も参考にしてください。

個別安置型永代供養とは?

そもそも永大供養とは、後継者になる親族がいなくてお墓の管理ができなかったり、親族がいてもお墓参りに行けないという方が、寺院や霊園にお墓の管理・供養をお願いするという埋葬方法のことです。
そして、そのなかでも個別安置型永代供養は、一般的なお墓のように一定の区画を購入して墓石を建て、それぞれ個人別に分けられているスペースへ遺骨と骨壷を納めるものであり、永大供養でも基本的には通常のお墓とほとんど違いがありません。
個別安置型永大供養であれば、管理を寺院や霊園に任せて一般的なお墓と同じようなお墓つくることができるので、お墓の継承者がいなくなってしまった場合でも管理を寺院に一任でき、住職が責任をもって永代供養をしてくれるので、仕事などで忙しい現代の人の価値観にも合うことから近年人気を集めています。
もっとも、後に説明するように一定期間が過ぎたら合祀されてしまうこともあり、永代と言っても永遠に個別安置されるわけではないためその点には注意が必要です。

集合安置型永代供養とは?

集団安置型永代供養は、骨壺を個々に割り当てられたスペースに収め、お骨を納めた場所にそれぞれ小さな石碑を建てるという永代供養の方法です。個別安置型とは違って個別に墓石が置かれるわけではないですが、遺骨を骨壺から取り出して敷地内にあけてしまうタイプの合祀型とは異なり他の人の遺骨と混ざるわけではないので、遺骨を復元することもできます。
ただし、集団安置型永代供養にも様々な形態があり、線香や仏花などのお供えができるところとできないところがあって、お寺によってお供えの可否が変わってくるので、事前に確認する必要があります。
また、遺骨が混ざらないとはいえ他の人の遺骨と共通のスペースに安置されることから、一般的なお墓をイメージしていると集合安置型永代供養には抵抗があるという人もいます。

個別安置型永代供養が求められる背景

個別型永代供養が求められるようになったのは、現代におけるお墓に対する意識や死生観の変化により、霊魂に関する考え方そのものが変わってきているということが理由の一つと考えられます。
旧来の考え方によれば、あの世に行った霊魂がお墓に降りて来ると考えられていたため、お墓は故人と残された家族をつなぐ精神的役割があり、お墓を持つことには大事な意味がありました。
しかし現代では、そもそも霊魂の存在を信じていない人の方が多く、お墓を持つことに特別な意味を感じる人は減っています。むしろ現代人は忙しいためお墓の管理に費やす時間がなく、お墓の経済的負担についても身近で深刻な問題であり、お墓を持つこと自体を見直すようになってきているのです。
また、お墓は故人と遺族を繋ぐ役割を果たすのと同時に、お墓参りなどの行事を通して親族の関係を深めるという役割もありますが、お墓に対する考え方は時代と共に変化し、お墓はなくても先祖を思う気持ちがあれば問題ないというのが多くの現代の人の考え方です。
このようなお墓に対する新しい価値観やニーズによって、現代ではお墓を持つということそのものの価値にも変化が生じているのです。

安価なお墓を求める人が増えた

こうした価値観の変化が生じている現代の人たちにとって、お墓の値段はとても高額に感じられます。
例えば一般のお墓は、永代に渡って土地を借りるための永大使用料だけでも都心であれば120万円~200万円かかるうえ、墓石代で150~200万円、さらに設置のための諸工事費、文字の彫刻費、管理費なども掛かり、合計で数百万円掛かることが当たり前です。
現代の人はこれほどのお金をお墓に掛けることに抵抗があり、お墓にそこまでの金額を払う価値を見出しにくくなっています。
こうしたお墓を持つことに対する意識の希薄化もあって、最近では安価なお墓を求める人が増えてきているのです。

##お墓の継承者問題
代々墓を持たないようになった背景としてもう一つ重要なのが、少子高齢化による影響もあってお墓の継承者が減少しているということです。
お墓を維持するためには、建てた後も管理費を支払うなどして維持しなければならず、きちんと管理していないと永代使用権を失って遺骨が無縁仏になってしまうので、管理のための金銭的負担が掛かります。
また、お墓が荒れないように定期的に清掃するというような物理的負担もありますが、墓が遠方にあるとこのような物理的負担も大きくなります。
このように、お墓の維持には非常に大変な金銭的負担と物理的負担があるため、後継者になりたがらないという人も現代には多いのです。
また、そうした負担をお墓の後を継いだ子供にかけたくないという思いがある人は、お墓を代々引き継がなくてもいいので管理をお寺に任せてしまいたいと考えるようにもなっています。
そこで、個別安置型永代供養を利用すれば基本的には従来と変わらない形のお墓を持ちつつ、遺族に代わって寺院や墓地が管理・供養してもらえるので、現代では永大供養が求められるようになっているのです。

個別安置型永代供養のメリット

個別型永大供養を利用しようと考えている方も、どのようなメリット・デメリットがあるのか気になるのではないでしょうか。
そこでまずは、個別型永大供養のメリットについて紹介します。

一般的なお墓と見た目は変わらない

永代供養は通常のお墓より小さめですが、形は基本的に一般的なお墓と同じであり、墓石を建てて一つのお墓に一人分の骨壺のみ収納されるという形式なので、見た目は一般のお墓と変わりません。
またお墓のデザインも自由に選べたり、宗教や宗派を問うこともないということから、従来のお墓のイメージを持っている人からも比較的違和感なく受け入れられます。
このように個別安置型永大供養は、故人の遺骨が他の人の遺骨と混ざることがないため、遺骨が混ざることに抵抗がある人にとっても比較的抵抗感が少なく、故人に正対してきちんと思いを込めたお参りができます。

それぞれにお供えができる

個別安置型永大供養であれば、お菓子やジュース、お花などをお供えできる場所はきちんと確保されているので、お供えをできるスペースがちゃんとあります。
お墓の掃除、花の入れ替えなどの管理は、基本的に寺院や霊園がやってくれますが、遺族が一切関わることができないということはなく、故人を偲ぶためにお花を供えたり、生前好きだったものを墓前に供えたりすることは可能です。
だから、お墓参りで寺院や霊園を訪れ、お供えものの持ち出しをしても断られるようなことは基本的にないため、故人が生前好きだった食べ物や思い出の品などをお供えすると良いです。
このようにお供えものの内容に関して特別なマナーなどはありませんが、寺院・霊園それぞれのルールがあるので、その点は事前に確認しておきましょう。

個別安置型永代供養のデメリット

次に、個別型永大供養のデメリットです。一般的なお墓に近いということがメリットでしたが、その反面でのデメリットもあります。
ここでは、個別型永大供養のデメリットを紹介します。

一定期間が過ぎると合祀されることもある

「永代供養」といっても、「未来永劫」という意味ではないことに注意が必要です。
遺骨の安置期間は依頼先によって異なり、一般的には33回忌までを期限とするところが多いですが、お寺によっては17回忌、33回忌、50回忌、または相談で決めるなどそれぞれ異なり、期間の延長などを相談できる場合もあります。
また管理の方法もさまざまであり、合祀された後も寺院や霊園が管理や供養をしてくれることもありますが、遺骨管理のみで供養してもらえないこともあります。
契約期間の過ぎた遺骨は合祀され、他の遺骨と共に永代供養墓などで供養が行われるようです。これも決まりはなく遺骨を土に埋葬する、遺骨の一部だけを骨壺に入れて残りは土に埋葬するなどさまざまな方法があるので、契約前に確認しておきましょう。

費用が割高になる

永大供養なら、普通にお墓を建てるよりも割安になると思われがちですが、個別安置型永代供養の場合は遺骨や位牌を分けるだけでなく、墓石も個別に建てるため費用が高額になります。
費用は集合安置型永大供養が20万~50万円程度であるのに対して、個別安置型は100~200万円程度であることから、両者を比較すると差が大きく、個別安置型だと通常のお墓を建てる金額ともあまり変わらない程高額になります。
そのため、個別安置型永大供養は「お墓を建てたいけれどお墓の管理をしてくれる人がいない」という人に適しているといえ、「費用を安く抑えたい」という人には集合安置型の方が向いています。