はじめに
葬儀の参列者から頂いた香典に対してお返しをするのが一般的なマナーですが、その渡し方や避けるべき品物などについて知っている人は少ないのではないでしょうか?
最近は葬儀を主催したり参列したりする機会が減ってきているので、香典返しについて知らない人も増えていますが、いざという時のために知っておくと役に立つ知識です。
そこで今回は、香典返しの基本的な情報について解説してきます。
香典返しとは?
香典返しとは、葬儀の際に参列者から頂いた香典に対して感謝の気持ちとして贈答品を渡す習慣のことを指します。
香典の本来の意味合いは葬儀の際に仏前に供える供物なので、昔は香典返しという習慣自体がなかったのですが、現在となっては一種の社会常識になっています。
また、キリスト教やイスラム教などの他宗教では香典返しのようなことは行いませんが、日本に限っては仏教からの影響によって香典返しを行う場合もあります。
香典返しの渡し方
一般的に香典返しは、葬儀の当日に用意していた品物を渡す方法が一般的です。
当日に渡せば贈り忘れることもないですし、直接手渡しするので、しっかりと感謝の気持を伝えることもできます。
一方で、葬儀が終わった数日後などに郵送で送る方法もあります。
後渡しの場合は直接感謝の気持ちを伝えることができないというデメリットはありますが、個別に品物を変えれるので、香典の金額がバラバラの際に役立ちます。
香典返しを渡す時期は?
香典返しは忌明けの四十九日を過ぎた頃が目安になりますが、実際には宗派や地域によって異なる場合もあります。
また、命日によっては忌明けが年越しのタイミングと重なることもあるので、その際には三十五日を忌明けとして香典返しを渡すようにしましょう。
最近だと、葬儀と合わせて香典返しを渡すことが多いので、あまり時期やタイミングを意識することはないでしょうが、もし香典返しを後渡しする場合は事前に日付を計算しておきましょう。
会社や職場への香典返しは?
会社や職場から香典返しを頂く場合は、贈り主が会社自体かどうかによって対応が変わってきます。
例えば、香典の贈り主が会社自体だと、その費用は会社の福利厚生費などから支払われるので香典返しは必要ありません。
一方で、過去の上司や同僚など個人から頂いた場合は、他の香典と同じ扱いになるので、しっかりと香典返しを渡すことをおすすめします。
また、複数名の社員が有志として一つの香典を贈ることもありますが、この際には個別に分けられる菓子折りなどを香典返しとして贈るのが一般的です、
もし贈り主の判別が難しいのであれば、複数人でも分けられる品物を選びましょう。
香典返しは何がベスト?
香典返しは不祝儀なので、不幸を後に残さないという意味で形の残らない品物を選ぶのがマナーです。
例えば、お菓子やお茶などの飲食物が代表例ですが、これらは貰って困るものではないですし消費もしやすいので香典返しとしてはおすすめです。
とはいえ飲食物は賞味・消費期限の問題がありますし、特に夏場は腐りやすいので、なるべく日持ちするものを選ぶようにしましょう。
飲食物以外には洗剤や石鹸などの生活用品も香典返しに選ばれることが多いです。
また、タオルは体を拭うことが「不幸を拭い去る」という意味を連想させるので、最近はタオルも一般的な選択肢になりつつあります。
香典返しの金額の相場は?
香典返しの相場は、頂いた金額の半分をお返しする「半返し」というのが一般的です。
ただし、金額感や相場については各地域の風習による所が大きく、半返しよりも高い金額をお返しする地域もあります。
とはいえ、香典返しは感謝の気持を伝えることが目的なので、高級品を渡すことがベストではないですし、むしろ高額すぎると相手に気を遣わせてしまう可能性もあります。
また、親族などの身内からは厚意として多めの香典を貰うことが多いですが、相手が身内であれば無理に半返しをする必要はありません。
相手のことを考えて、自分の感謝の気持を伝えるのに最適な品物を渡すことが最も重要です。
香典返しで避けた方が良いもの
香典返しで渡す品物については厳しい決まりなどはないですが、以下のような品物は避けるのが一般的です。
肉・魚
仏教では四十九日までは肉や魚を抜いた精進料理を食べる風習があるので、香典返しに肉や魚を贈るのは不適切とされています。
最近では葬儀の後すぐに精進落しを行うケースも増えていますが、長い間続いている風習を考えると世間一般的には香典返しには選ばないほうが無難です。
お酒・昆布
お酒や昆布は結婚式などのお祝い事で縁起物として贈られることの多い品物なので、不祝儀の香典返しには不適切です。
とはいえ、故人が生前に好きだった品物を香典返しとして渡す人も増えているので、そのような背景がしっかりとある場合には問題ありません。
商品券
香典返しに商品券を贈ることは直接的なマナー違反にはなりませんが、商品券のような換金性が高いものは一目で金額が分かってしまいます。
また、「そのようなものを渡されるほど生活には困っていない」と捉えられる可能性もあるので、なるべく商品券も避けることをおすすめします。
香典返しが必要ないケースについて
基本的に香典返しは香典を頂いた人全てに渡すものですが、場合によっては必要がないこともあります。
そのような状況で無理に渡すと、かえって失礼になってしまうので注意しましょう。
弔電や手紙のみのケース
香典返しは頂いた香典に対する感謝の気持ちなので、弔電や手紙のみを受け取った場合は不要です。
とはいえ弔電を頂いた場合は、手紙やハガキでお礼状を贈るなどして感謝の気持ちを伝えるのが一般的です。
香典返しを辞退されたケース
「香典返しは不要」として香典を頂くこともありますが、この場合は香典返しを渡す必要はありません。
これは葬儀や遺族の生活のために使ってほしいという思いの表明なので、無理に香典還すを渡すと失礼になってしまいます。
とはいえ、何らかの形でお返しをしたい場合は、なるべく金額を抑えた品物を香典返しとして渡しましょう。
また、お中元やお歳暮など別の形で感謝の気持ちを伝えることはできるので、形式に捕われないようにしましょう。