戒名とは
そもそも戒名とは、仏教者として守るべき生活や心の規範を受けた者に対して授けられる名前です。つまり僧侶として修業を積んだものが授かる名前です。それが、出家していない人々でも仏の弟子になることが出来るという意味合いで、亡くなってから戒名が授けられる事が慣習化しました。
また、各宗派独自に、法要や儀式を受けたり、ある一定の講習(修行)に参加したりした人に対しても授けられます。これを逆修戒名(生前戒名)と呼びます。
位牌に書いてある文字全体(院号・道号・戒名・位号)を戒名と呼んでいますが、正式には、生前の俗名や経典にちなんだ二文字で表されます。 どんな身分の人でも二文字で、仏の世界では平等であることが表現されています。
戒名の構成
戒名は「院号」「道号」「戒名」「位号」の4つから構成されます。
院号とは、本来は信仰や寄付などお寺へ功労した者へ付けます。上位の戒名をあらわす証しです。
道号とは、お釈迦様のお弟子をあらわす証しです。
戒名とは、本来の基本となる最も大事なものです。
位号は、年齢によって付ける場合があります。以下が一般的な区分となります。宗派によって異なってきたりもします。
水子(すいじ) 流産、死産の胎児
嬰子/嬰女(えいじ/えいにょ) 1歳の乳幼児
孩子/孩女(がいじ/がいにょ) 2、3歳の乳幼児
童子/童女(どうじ/どうにょ) 4歳以上14歳までの子供
信士/信女(しんじ/しんにょ) 15歳以上の男女
居士/大姉(こじ/だいし) 成人以上の男女で社会的地位の高い者
大居士/清大姉(だいこじ/せいだいし) 更にすぐれた者
なぜ戒名を付けるのか
本来、生前に戒を受けて戒名を授かるのが理想ですが、大半の人は亡くなってから戒名を受けます。仏教式の葬儀では当然のことながら仏教僧侶が式を取り仕切り、引導が死者に対して渡されます。「引導を渡す」といえば「縁切り」の代名詞のように使われていますが、俗世間から浄土へと引き導くことが、引導の本来の意味で、僧侶は亡くなった人を、葬儀を通じて仏の世界、すなわち彼岸へと送り出します。仏の世界に往くのに俗名のままでは行けない、ということで死者に戒を授け、戒名を付けることで浄土へと送り出すわけです。
生前戒名のメリット
生前戒名の大きなメリットは自分で好きな文字を一文字入れることができることです。そして残された家族の負担も軽減できます。本来、僧侶として修業を積んだものが授かる名前ですから、生前に作る方が理にかなっていると思いませんか。
まだまだ元気で若いのに戒名なんて考えられない・・・当然、まだ先の事と思われるでしょう。でも終活を考えるあなたにとって、生前戒名を考える事は、「新しい自分を発見する一つのきっかけにしたい」とか、「自分の人生の終りに亡くなった後からではなく、生きているうちに自分で考えていきたい」など、自分の人生を見直すチャンスにもなります。
亡くなった後、ご自分の戒名をどなたかがつけるのではなく、ご自分の生きた証しとして付けてみませんか。