線香は何のためにやるの?宗派ごとの供養の違いとは?

この記事は約3分で読めます。

線香は何のためにやるの?宗派ごとの供養の違いとは?

そもそも線香とは

線香は仏様に捧げる供養物です。
線香を故人のお墓や仏前、仏壇にお供えするという行為にはさまざまな意味合いがあります。例えば故人にとっての食事という考え方があります。仏教では、人は亡くなるとあの世へ旅立つとされており、故人は線香の香りを食べながらあの世まで旅をするというものです。人が亡くなってから四十九日法要を終えるまでの期間を中陰と言い、故人が食べ物に困ることがないように、49日間は絶やさず線香を焚きます。
また、線香のよい香りは不浄を清める効果があります。仏様に挨拶する前に線香の香りで身を清め、穢れのない状態で仏様とつながることが出来るのです。

●宗派によって本数が変わる

▼線香を1本立てる宗派

1本立てが基本の宗派は、曹洞宗・臨済宗です。線香を香炉の真ん中に1本真っすぐに立てます。火を消すときは線香を持っていない手で仰いで消します。

線香を寝かせる宗派もあります。浄土真宗宗です。1本の線香を香炉の大きさに合わせて折り、横に寝かせておきます。折る本数に決まりはなく、折ってから火をつけて手で仰いで消すのが作法です。寝かす向きについても決まりはありません。
しかし、浄土真宗東本願寺派は火がついている方を左に向けるそうです。

▼線香を3本立てる宗派

線香を3本立てる宗派は真言宗と天台宗です。線香を仏壇側に2本、自分側に1本立てて、逆三角形を作るように立てます。これは仏様の方に尖った部分がいかないようにするためです。火の消し方は他の宗派と同様に仰いで消します。

▼その他の立て方と宗派

浄土宗や日蓮宗はお寺などによって多少の違いがあります。
浄土宗では、1本を真ん中に立てる場合と1本を2つに折って横に寝かせる場合があります。
また、日蓮宗では1本を真ん中に立てる場合と、3本を逆三角形に立てる場合があります。どちらの宗派も火の消し方は他の宗派と同じです。

●線香の種類

お墓参りなどでよく使うのは、杉線香と呼ばれる線香です。この線香は、その名の通り杉の葉を粉末で作られているため、杉の香りがします。煙が大量に出るので屋外での使用に向いています。

もう一つは匂い線香と言い、たぶという木の皮を基に香料や香木などを混ぜて作られる線香です。一般家庭などで広く使われている線香です。
また、マンションなど気密性の高い居住空間で使えるように、煙や香りの少ない微煙香と呼ばれるものなど、さまざまなタイプのものがあります。

●線香の材料

線香は香木や香料に松から取れる「やに」や染料などを加えて練って作りますが、主に次の3つに分けることができます。

①白檀(びゃくだん)

一般的なお香の匂いとして、多くの人がイメージするのが白檀(びゃくだん)です。
白檀の香りはほんのりと甘く、さわやかさを含んでいます。白檀はインドや東南アジア地域に植えられた常緑樹で、特にインド産が良質とされています。

②沈香(じんこう)

名前の由来は水に沈むことから来ています。
東南アジア産のジンチョウゲ科の樹木にできた傷に樹脂分が沈積したものが沈香(じんこう)です。沈香はそのままでは弱い香りですが、熱を加えることによってよい香りを強く放ちます。

③伽羅(きゃら)

沈香の中でも、特に香りのよい沈香のことを伽羅(きゃら)と呼びます。同じ木から採れたものでも、木の部位によって香りが異なる特徴があります。伽羅は生薬としても使われ、強壮や鎮静などに効果があると言われています。

天正年間に御所御用も務めた香司名跡の香りの伝統を受け継ぐ香十