●卒塔婆(そとば)とは?
卒塔婆(そとば)は、塔婆ともいい、長さ1mから2mくらいの細長い木製の板で、墓石の後ろ側に立てる1~2mほどの細長い木の板のことで、故人の供養のために立てます。初七日や回忌、彼岸、お盆などのタイミングで、お墓の墓石の後ろ側に卒塔婆を立てることを卒塔婆供養といいます。
●なぜ卒塔婆供養をするのか?
「冥福」という言葉を私たちは弔問などに訪れた際に使います。冥福には冥途での福を願うという意味が込められています。そのご先祖様の福を願う一つの方法が卒塔婆供養です。
ご先祖様にも幸せになって戴き、私たちも幸せになることを願うという意味が込められています。ご先祖様の冥福を願い、それを卒塔婆供養で形として表し、自分たちが生かされていることをご先祖様に感謝するという供養なのです。
●塔婆の意味と始まり
塔婆とはインドの古代言語でサンスクリット語のストゥーバ(stupa)の音訳である卒塔婆(そとうば)からできた言葉です。仏舎利(お釈迦様のご遺骨)を安置するための建物を意味していました。お釈迦様のご遺骨を8つの国に分け、お釈迦様への報恩感謝を示すため、それぞれに塔を建て供養したのが供養塔の始まりとなりました。その塔が多宝塔、三重塔、五重塔と変え、そして板塔婆となり、ご先祖様の供養にとって有り難い供養方法になりました。
塔婆の五つに区切られた部分は上から空輪「空輪(キャ)」「風輪(カ)」「火輪(ラ)」「水輪(バ)」「地輪(ア)」を表し、仏教では全ての物質を構成する元とされた五大要素を表します。五輪塔を簡略化して作られたものが板塔婆ですので、五輪塔の石もそれぞれ五大要素を表しています。
●塔婆はいつ供えるのか?
四十九日法要、各年忌法要、春と秋の彼岸、お盆、それぞれの節目には、塔婆をお供えすることが多いです。五重の塔を建てるほどの気持ちの表れとして、今在ることに感謝の気持ちを伝える報恩感謝の意と、安らかな冥福を込めてお供えします。
また、墓石開眼においても塔婆を供えることが多くなりました。塔婆は年数が経ちますと下の方から朽ちてきます、その頃にはお焚き上げされると良いでしょう。墓地を管理されている寺院、あるいは霊園の管理事務所に頼まれるとお焚き上げしてくださいます。
塔婆の長さには6尺、5尺、4尺、3尺とあり、霊園によっては長さを指定されている霊園もあります。それぞれの管理事務所に問い合わせると良いでしょう。四十九日、一周忌、三回忌等、各年回法要に供えることは形としての感謝の表れです。
●塔婆の種類
*板塔婆
お墓の後ろに立ててある板塔婆がもっとも一般的で、長さは6尺、5尺、4尺、3尺とあ
ります。
*経木塔婆
経木塔婆、あるいは水塔婆と呼ばれるものもあります。経木と呼ばれる薄い木の板で作ら
れています。
長さは九寸(約27㎝)から一尺二寸(約36㎝)、厚さは1mmくらいです。
水回向として水槽に立てることから水塔婆と呼ばれることもあります。
*紙塔婆
板塔婆の他に紙塔婆と呼ばれるものもあります。水に溶ける紙塔婆もあり、川や海に流し、供養します。流し塔婆と呼ばれることもあります。
*ミニ塔婆
尺五寸のミニ塔婆を供える地区もあります。静岡県富士宮地区ではコンビニエンススト
アに置いてあり、華立塔婆・花立て塔婆とも呼ばれるようです。花の絵が描かれているミニ塔婆もあります。
*三世供養塔婆
三本の塔婆を用意し、それぞれ前世、現世、来世とし、ご自身のお名前を書き入れ、昨日までの感謝と懺悔、今ある感謝、明日への祈りを捧げる塔婆です。
*七本塔婆
葬儀後の初七日から四十九日の間、七日ごとに裁きを受けるといわれています。その七日ごとに塔婆を供え、無事に四十九日を迎えて安らかな成仏を願う塔婆です
●卒塔婆を使わない場合も
浄土真宗では、卒塔婆を用いません。
浄土真宗では、他力本願という考え方があり、人が亡くなると、すぐに極楽浄土へ往生成仏するとされているから、卒塔婆の必要がないのです。卒塔婆を立てるかどうか、そのような慣わしがあるかどうかは、宗派や地域によっても異なります。
宗派に関係なく卒塔婆を立てる慣わしがある地域もあります。卒塔婆供養をしたいときは、事前に寺院や霊園に確認しましょう。