日本には様々な先祖供養のやり方があります。ただ、仏壇のことは知っていても、祖霊舎についてはあまり知らない人という人も多いでしょう。祖霊舎と神棚は似ているようで異なる点もあるので、事前にきちんと違いを理解しておく必要があります。
●祖霊舎とは?
祖霊舎とは別称「御霊屋」ともいい、故人や先祖を祀る神道のお社です。仏教でいう仏壇にあたるもので、神道で祖先の霊をまつるための神棚のことです。仏教では故人は極楽浄土へ往生すると考えられていますが、神道では故人は家の守護神となって子孫を守ると考えられています。
祖霊舎の購入時期は、仏式の葬礼の四十九日に相当する、五十日祭までが一つの目安です。五十日祭の当日もしくは翌日に神職にお祓いをしてもらってから、御霊を移します。
●祖霊舎と神棚の違い
祖霊舎は見た目が神棚と似ているため、どんな違いがあるのかわからず迷う人もいるでしょう。祖霊舎と神棚は、どちらも神様を祀ることに違いはありませんが、それぞれ次元の異なる神様なので、きちんと分けて祀ることが大事です。
神棚に祀られているのは次元の異なる高貴な神様なので、故人や先祖を一緒に祀ることはできません。故人や先祖(祖霊)は、神棚とは分けて祖霊舎に祀る必要があります。
祀る場所が異なるだけで、祀り方やお参りの作法などに特別違いはありません。
●祖霊舎の祀り方
祖霊舎のお供え物は神棚と同じです。お米、お水、お塩、お酒、榊、ローソクなどが基本的なお供え物になり、これらに加えて故人が好きだったものを祀ることもあります。
配置は神棚のお供え物と同じ配置になりますが、御札を置くかわりに霊代を置きます。榊以外のお供え物は毎日取り替えましょう。榊は、毎月1日と15日に新しいものに取り替えます。
神棚と同じように、祖霊舎にも毎日お参りしましょう。お参りの方法は神棚と同様で、お参りする前に手と口を洗って清潔にし、二拝二拍手一拝をします。祖霊舎は神棚より一段低い位置に祀り、神棚同様に礼拝し、お供えをしますが、順番は神棚が先です。仏壇では、位牌をあまり中央には飾りませんが、神道では、祖先の霊は一家の守護神であるという考え方から霊璽(神式の位牌にあたる)を中央に設置します。
●祖霊舎と仏壇の両方が祀られているケース
家庭によっては、祖霊舎と仏壇の両方が祀られているケースもあるでしょう。神様と仏様を一緒に祀ることは決して間違いではありませんが、祀り方に若干注意する必要があります。
仏壇は神様よりも低い位置で祀るのが基本なので、家に祖霊舎と仏壇の両方を祀る時は、祖霊舎より低い位置に仏壇を置くようにしましょう。また、祖霊舎と仏壇が真向かいにならないように配置にも注意することが大事です。
●祖霊舎の置き場所と方角
▼置き場所
床の間やリビングなど置き場所はどこでもいいですが、直射日光が当たらず、汚れにくい場所で、清浄な場所であればベストです。
ただし、ドアの上など人が出入りする場所に置くのは避けるべきです。また、神棚とは別の場所に安置するようにしましょう。祖霊舎は神棚よりやや低い位置に安置するのがいいとされています。
すでに家の中に神棚が設置されている場合も、神棚の低い位置に祖霊舎を安置するようにしましょう。
▼方角
祖霊舎の置き場所に特に決まりはありません。ただし、東向きか南向きの明るい方角で、家族がみんなでお参りしやすい場所がいいと言われています。どうしても東向きか南向きに置くことができない場合は、他の向きでもかまいません。
ただ、真北に向けて置くことは避けましょう。
祖霊舎は仏壇に比べて馴染みが薄いですが、お参りの作法などは神棚と同じなので、特に難しいことはありません。普段から神棚にお参りしている人であれば、祖霊舎を安置して両方にお参りするのもいいでしょう。
最近は様々な種類の祖霊舎があるので、インテリアに馴染みやすいものを選ぶこともできます。サイズや価格も様々なので、予算に合わせて購入を検討してみるといいでしょう。
自分の部屋に馴染む祖霊舎を購入すれば、お先祖様との距離も短くなり、日々感謝の気持ちを伝えやすくなるではないでしょうか。