お墓と聞いてまず思いつくのが、本家の一族が埋葬される先祖代々の墓ではないでしょうか。でも最近では、様々なお墓が登場しています。その代表的なものをご紹介します。
本家の一族と眠る「家墓(累代墓)」
家墓とは、いわゆる「先祖代々の墓」で、最もポピュラーなお墓です。家墓には本家の一族が埋葬され、祖父母から両親、両親から自分、自分から子・・・というように代々引き継がれていきます。
棹石の正面には「~家之墓」、「先祖代々之墓」あるいは「南無阿弥陀仏」などの称名が彫刻されるのが一般的です。棹石の側面または裏面、あるいは墓誌に納骨された故人の戒名や法名、俗名などを彫刻していきます。
家墓の代表的な施工例としては、かつては2~3畳の面積に名刺受けや灯篭なども建立しましたが、最近では1~2㎡の区画に墓石だけ、あるいは墓石と墓碑を建てるのが一般的です。
嫁の一族も入る「両家墓」
両家墓は家墓とは異なり、姓の違う親族も含めて埋葬するお墓です。
たとえば、1人娘が結婚し、実家のお墓を継承していく人がいなくなった場合などに建立します。
両家墓の形式には以下の2つがあります。
(1)1区画に2つ石碑を建てる両家墓
区画や墓石工事に費用がかかるため、新たにこのタイプで建立する人はあまり多くありません。
(2)1つの墓石に2つの家の姓を彫って「同居」する形の両家墓
墓石に両家の名前を彫刻し、一つの納骨室に両家一族を埋葬します。
和型墓石の場合は、表面に両家の家名を縦に2つ記載するものが大半です。横型の洋型墓石の場合は、真ん中に何らかの言葉を彫り、その左右に両家の家名を彫刻します。
ひとりで眠る「個人墓」
個人墓は個人1人だけを埋葬するお墓です。著名人や有名人の場合に比較的多い形式です。かつては故人の功績などを記載するだけの四角い墓石ばかりでしたが、現代で個人墓を建立する場合は、自分の好きな自由な形の墓石を用意し、そこに好きな文言などを入れる形式が多いようです。
また建立場所も2通りあり、家墓と同じ区域に並べて建てる場合と、全く別の区域に建てる場合があります。
この他、近年では樹木葬や納骨堂などの形式で、気軽に自分一人専用のお墓が持てるようになりました。
ふたりで入る「夫婦墓」
夫婦墓は、一族のお墓には入らず、夫婦だけが入るお墓です。こちらも個人墓と形式が似ており、家墓の区画内に建てる場合と、全く別の区域に建てる場合があります。
家墓とは違う区画に夫婦墓を建てる場合は、代々引き継いでいくことを前提としない、永代供養付きのお墓を購入することになります。
大半は、三十三回忌や五十回忌などのタイミングで遺骨が取り出され、そのあとは合祀されます。夫婦墓が建てられるかどうかは霊園の使用規則によるので、確認が必要です。
なお、夫婦墓と言っても入るのは必ずしも2人とは限りません。
妻に先立たれた夫が後妻を取った場合、妻、夫、後妻の3人がお墓に入ります。
個人墓と同様、樹木葬や納骨堂などの形式で夫婦のお墓を持つこともできます。
血縁ではない人と入る「共同墓」
共同墓とは友人同士や同じ信仰を持つ人を一緒に埋葬するお墓です。たとえば教会の墓所や信者、信徒専用のお墓などで例が見られます。また、最近では「墓友」という言葉も聞くようになりました。一緒のお墓に入る友だちのことで、友だち同士の共同墓を持ちます。
ひとり暮らしの高齢者が墓友になることが多く、老人ホームなどで共同墓を用意するところもあります。
ただし、使用規則で、同じ墓地に入れる者は同一の苗字、あるいは使用者の三親等以内などと定めていることが多いため、お友達同士のお墓を持ちたい場合はまず霊園の規則を確認する必要があります。
他人と遺骨が一緒になる「合祀墓」
合祀墓は、1つの埋葬施設に他の人の遺骨と一緒に納骨されるお墓です。お寺や民営霊園の永代供養塔や、公営墓地の合葬施設があります。
お骨は、骨袋に入れられるか、そのまま直に埋葬される場合が多いです。一度合祀にするとそのあと取り出すことはできなくなるので、注意が必要です。