最近、いつお墓参りに行きましたか?しばらく行っていないという方も多いかもしれませんが、もしそうでしたら、それは本当にもったいない事なのです。
困ったときや何かにすがりたいとき、私たちは「試験に受かりますように」、「仕事がうまく行きますように」、あるいは、「病気が治りますように」など、神社やお寺で祈ることが多いと思います。でも忘れてはいけない祈りの対象がもう一つあります。それは、ご先祖さまです。
あなたの父母、祖父母、曽祖父母、さらにその上の代のご先祖さまがいたからこそ、あなたのという一人の人間が存在します。つまり、ご先祖さまがいなかったら私たちはこの世に生まれることは出来なかったということです。
そしてご先祖さまは、子孫に繁栄して欲しいと願っているはずです。大切な後継ぎであるあなたの身に何か起こったとき、いつもあなたを助けようとしているのです。あなたに子どもがいて、もしあなたが亡くなったとしたらどう考えますか?「あの世に行っても子どもたちのことは守ってやりたい!」。そう思いませんか?それと同じ気持ちをご先祖さまも持っているのです。ですから、ご先祖さまが眠るお墓こそが、あなたにとっての最高のパワースポット、特別な場所なのです。
そんなことを想像しながらお墓参りをすると、よりご先祖さまを身近に感じることができ、悩んでいることがあっても、お墓参りの後には心の中がスッキリしていることに気づくはずです。
●思い立ったらいつでもピクニック気分でお墓参りを
お墓参りは命日やお盆、お彼岸だけのものではありません。「お天気がいいからお墓参りでもしようかな」というふうに、思い立ったら気軽に行きましょう。
もちろんよそ行きを着ていく必要はありません。むしろお掃除がしやすいよう、動きやすくて洗濯しやすい服装の方がいいでしょう。
お参りに行く時間は何時でも構いませんが、できればご先祖さまがお休みになる前の明るいうちに、お掃除もお参りも済ませられるように早めに出かけましょう、
家族揃ってお墓の掃除をし、思い出話などをしているうちにご先祖様との波長もあってきて、願い事も叶いやすくなりますよ。
▼ここでお墓参りに持っていく持ち物を確認しておきましょう。
- たわし
全員で大掃除に参加できるように人数分を用意する。
- 塩
精製塩は避け、天然塩を持参する。
- さらし
お墓をふき上げる時に使用する。
- 五穀
米・麦・小豆・大豆・ごまなどの5種類の穀物を混ぜ、少しずつ半紙に包んだものを五つ用意する。(5種類の穀物が入ったパック入りのものでも良い)
- 線香
マッチやライターも忘れずに。
- 供花
庭の花や途中でつんだ野の花でも良い。
- 供物
甘いものや果物、ご先祖様が好きだった物を持参する。
- 酒
日本酒を1合持参する。
- 水とおけ
お寺や霊園に備え付けられたものをお借りする。
- その他
五穀を埋めるためのスコップ、土を包むための半紙、ロウソクを持っていく。
●お墓参りの作法
せっかくお参りをするのですから、正しく、ご先祖様に喜んでいただける作法を知っておきたいものです。正式な作法を知っていると自信につながり、お墓参りの動作も美しくなります。
といっても、決して難しいものではありません。ご家族でお参りしたら、ぜひお子さん達にも教えてあげてくださいね。ただ、忙しい時にはすべてを行う必要はなく、ちょっと立ち寄って手を合わせるだけでも構いません。
大事なのは気持ちです。「ちょっとだけでも会いに来た」、それだけでご先祖さまは喜んでくださいます。
▼正しいお墓参りの作法
- お墓の前で一礼し、お墓のまわりのゴミや雑草をきれいに取り除く。
- たっぷりの水を使って、たわしでお墓を磨き、さらしやタオルでお墓をふき上げる。
- お墓の土地の四隅とお墓の前に半紙で包んだ五穀を埋める 。
- お花と供物をお供えする。供物はお墓参り後、その場で食べるか、持ち帰る。
- お線香をあげ、願い事などを祈る。
- お墓の前の報告を埋めたすぐ横の土をほんの少量取り 、半紙に包んで持ち帰る。この土は、次のお参りの時に持参して戻し、また新しい土をいただいて帰る。
▼五穀を埋める作法
- 五穀をひとつまみずつ半紙に包んだもの五つ用意する。
- お墓の土地の四隅とお墓の前の計5箇所に7~8 ㎝ ほどの穴を掘る。
- 穴に塩を入れ、五穀の包みを入れ、その上からお酒を注ぐ。
- もう一度塩をぱらっとかける。
- 土で埋め戻し、手で押さえ、最後に盛り塩をする。
●お墓はこうして磨いて心の垢も落としましょう
1年に数回しかお墓参りをしないという方も、お墓の草取りをしたり墓石を磨いたりすると心がはればれし、スッキリしてくると感じたことはありませんか?
あなたのパワースポットであるお墓にお参りするだけでもエネルギーをいただけますが、無心にお墓を磨いているうちに、いつのまにか心の垢まで落ちていきます。
墓石に水をかける理由には、ご先祖様が乾きで苦しまないようにというもの、また仏教では命あるものが輪廻転生する六つの世界「六道」があるのですが、その中の一つ、餓鬼界は食べ物や飲み物がありません。飢えている餓鬼に水を施すためのものなど、諸説あります。
お墓を磨くときは、ご先祖さまに話しかけながらするといいですね。愚痴を吐き出したり、願い事をしたいと、どんどんご先祖さまに話しかけているうちに心が温かくなり、明るい気持ちになるはずですよ。
▼お墓の磨き方
- お墓の前で一礼し、お墓のまわりに落ちているゴミや木の葉、雑草をきれいに取り除く。
- 墓石の上から水をかける。
- たわしを右回りに回しながら磨く。まず正面、次に上→右側面→後面→左側面の順で。
- 水をたっぷりかけて汚れを洗い流す。
- さらしやタオルで綺麗にふき上げる。
- 水を含ませたさらしで名前の部分をなぞるようにふく。
- 最後に一礼する。
●線香をつけてからロウソクに火をともすのが正解
よくロウソクにともした火で線香をつけている人を見かけますが、正しくは、線香に火をつけてから、線香の火でロウソクをともします。また、線香は左手で持って右手で炎を消します。線香一本が灰になるまでの時間はおよそ15分。ご先祖様に思いを馳せるのにちょうどいい時間ですね。時間のないときは線香を三つに折って火をつけてください。これは「天」、「雨」、「地」をあらわし、「天」は神さま、「雨」は豊かな実りをもたらす雨への感謝をあらわし、「地」は私たちが地に足をつけて歩んでいきますように、という願いが込められています。
また、この合掌の仕方ですが、両手の真ん中に少し空間をつくり、指先で軽く合わせるようにします。こうすると、ご先祖さまに気持ちが伝わりやすくなります。
左右の親指がご先祖様と自分を表しているので、きちんとくっつけましょう。ご先祖さまとの結びつきが離れないようにという願いにつながります。
▼線香の正しい手向け方
- ロウソクは左右のロウソク立てに立てておく。
- 左手に線香を持ってマッチで火をつける。
- 火のついた線香を右手に持ち替え、左のロウソク、右のロウソクの順に火をともす。
- 左手に線香を持ち替えて、右手で火を払って消す。
- 最後に線香をお供えする。
●お墓がない人、お墓じまいを考えている方へ
日本人にとって、お墓はとても大切なものです。しかし今の時代、少子化の影響などもあり、お墓の維持も大変になってきています。お墓が既にない、あるいは近い将来なくなるという方も多いことでしょう。お墓がパワースポットということは、お墓がないとご先祖さまのパワーをもらいもらえないのでしょうか?
いいえそんなことがありません。「お墓は何より重要な場所であり、運気を高められるスポットである」という考え方は、根本的に「ご先祖さまがこそがあなたの神である」という教えに他なりません。
お墓は大切にすべきだけれど、それはご先祖様がそこにいらっしゃるから。あなたのご先祖さまへの心からの感謝の気持ちがあれば、お墓がないからといって不幸になるということは決してありません。
もちろん、豪華なお墓を建てなければとか、お墓を誰かが必ず継がなければならないという必要もありません。お墓のありようが時代に合わせて変わっていくのは、当たり前だと言えるでしょう。
ですから墓じまいをしたとしても、あなたのパワースポットがなくなるわけではありません。ご先祖様を思う心があれば、お墓がなくても花一輪の供養でもいいとご先祖さまはおっしゃると思います。
最近では樹木葬や海洋葬などがありますが、こういった自然葬もいいと思います。樹木葬だと祖父母や父母が眠る木が年齢育ち、そこにお墓参りする子孫にも伸び行くパワーを与えてくれるでしょう。海洋葬なら、子孫が海水浴に行ったとき、「おばあちゃんに会えるかもね」などという話題になり、思い出話をすることで、いつのまにかご先祖さまのエネルギーをいただけることでしょう。
このほか宇宙葬もいいかもしれません。これは宇宙ロケットによって宇宙に散骨する方法ですが、「おばあちゃんお星さまになったんだよ」と、みんなで空を見上げて話題にしたら、ご先祖さまも喜んでくださると思いませんか?自分が亡くなった後、このような形で子孫に「夢」を残すことができたら素敵なことだと言えますし、最近ではそういう方々が増えてきているのも事実です。