失敗しない仏壇リフォーム

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はじめに

実家にある昔ながらの仏壇には、帰省するたびに手を合わせてきたと思います。ですが、いざ親を亡くして自分が引き継ぐとなるとためらう場合もあるかもしれません。今住んでいる家には大きすぎたり、部屋の雰囲気に合わなかったりすると引き継ぎたくても引き継げないこともあると思います。かといって簡単に処分するとも言えないのが仏壇なので、悩んでしまうことでしょう。

そんなときにおすすめなのが、仏壇のリフォームです。あまり聞きなれないかと思いますので、仏壇をどのようにリフォームするのか、リフォームにあたって必要なことは何なのか、などについてお話ししたいと思います。

仏壇リフォームとは?

大きな仏壇を引き継いでも家に入らなかったり、インテリアに合わなかったりしてそのままでは置きづらい場合は、仏壇のリフォームがおすすめです。その名の通り、仏壇をリフォームして新しい形にして使い続けることですが、仏壇のリフォームには大きく分けて2種類あります。

  • ①古くなった仏壇の修復

    仏壇の塗装がはがれたり、部品が壊れたりした場合の修復も仏壇リフォームと呼ばれます。修復をするときは、1度解体・洗浄してから壊れた部品を交換したり、歪んだ木材を直したりします。はがれた金箔を貼り直しや扉を修復することもあります。

    修復にかかる費用の相場は、小さな傷や部品の修復なら数千円~数万円程度からですが、使用する部品や金箔などの材料によって値段が変わります。また、元の仏壇のつくりや材質によっても変わりますので、数十万円~100万円ぐらい見ておくといいでしょう。

  • ②リメイクする、サイズを小さくする。

    仏壇を引き継ぐときに、家の広さやインテリアに合わないときはサイズやデザインを変えることができます。元の仏壇の部品をそのまま使ったり、元の仏壇のデザインに似せたりすることでリフォーム後も違和感なくおつとめをすることができます。

    デザインのリメイクにかかる費用は使う部品やデザインによって変わりますが、サイズの変更はリフォームした後の仏壇の大きさによって値段が変わります。

    ・大きな仏壇のサイズをそのままにデザインを変える場合:約100万円

    ・大きな仏壇を中型の仏壇に変える場合:約50~70万円

    ・大きな仏壇を小型の仏壇に変える場合:約30~50万円

上記はあくまで相場で、実際の金額は仏壇店や使った材料によって異なりますので、お店に確認してください。

仏壇リフォームの流れ

では、仏壇リフォームをするときの流れについてご説明します。

仏壇の魂抜き

仏壇を移動させたり、解体したりするときには、まず「魂抜き」をします。この供養は他に「お性根(おしょうね)抜き」「閉眼供養」とも呼ばれています。魂抜きは、ご本尊やご位牌の機能を止めるための供養で、魂抜きをすることによって仏壇はただの箱に、ご本尊はただの木の像になるのです。解体やリフォームは、必ず魂抜きをしてから行ってください。

檀家寺がある場合は、お坊さんを呼んで魂抜きをしてもらいましょう。魂抜きのお布施の相場は1~5万円程度ですが、包む額に迷ったらお寺にきいてみてください。

仏壇店での打ち合わせ

デザインや仕上がりの希望サイズ、予算などを仏壇店の方と相談をして決めます。元の仏壇のこの部分を使いたいとか、こんなイメージの仏壇にしてほしいなどの要望を伝えましょう。仏壇リフォームは4~6ヵ月ほどかかりますので、引っ越しや法要など「この日までに仕上げたい」という希望の日がある場合は早めに準備をしてください。

開眼供養

仏壇のリフォームが終わって家に安置したら「開眼供養」をします。開眼供養は、ほかに「お魂入れ」「お性根(おしょうこん)入れ」とも呼ばれています。開眼供養によって仏壇のご本尊やご位牌の目を開き、霊験が宿るのです。このときも檀家寺のお坊さんを呼んで供養をしてもらいましょう。開眼供養のお布施の相場は3~5万円と言われています。この額も詳しくはお寺に確認してください。

仏壇リフォームの実例

仏壇リフォームには、大きさや雰囲気をガラリと変えたり、元の仏壇の雰囲気を生かしたり、さまざまなパターンがあります。

(例)
・部屋の壁や床のフローリングに使われている木材と色を合わせる
・仏壇の外観を、同じ部屋に置いてある家具の雰囲気と揃える
・壁掛けできる薄型タイプにリフォームし、中におさめる仏具も必要最小限のものにする
・リビングの壁収納の一部に仏壇を安置する
・元の仏壇の扉の一部や部品、中の装飾などをそのまま使ってリメイクする
・外側や扉は洋風にして、中を開けると元の仏壇の雰囲気が再現される

自分でリフォームしてもいい?

仏壇のリフォームは、そのまま先祖の気持ちを大切にすることにもつながっています。手先の器用な人やDIYを趣味にしている人は、自分で仏壇をリフォームしようと考えるかもしれません。工具や箱状のものがあれば物理的にはできないことではありません。極端な話をすると、カラーボックスの中にご本尊やご位牌を納めれば立派な仏壇です。ただ、仏壇はリフォームするより解体する方が大変です。仏壇は特別な作られ方をしているものですので、解体や修復などはやはり専門家に任せるべきです。

また、自分でリフォームをした場合は長く使うにあたって耐久性の面で不安も出てきます。宗教的な意味合いのあるものでもありますし、リフォーム前後の供養も含めてすべて専門家にお任せすることをおすすめします。

仏壇リフォームの現状

現代の日本では、冠婚葬祭や日常の法要などが昔と変わってシンプルに執り行うことが多くなっています。仏壇に対しても同じような考え方を持つ人が多く、現代は家に馴染むシンプルな仏壇が好まれています。

仏壇の大きな扉を開けるとキラキラとした黄金色の装飾がたくさんあるという昔ながらの仏壇を持て余している家も多いのです。現実問題として、マンションなどでは大きな仏壇を置くだけのスペースがないこともあるでしょう。ただ、仏壇は宗教的な意味合いの大きいものですので、簡単に処分できるものではありません。また、「処分する」という結論も出しづらいものです。こういった理由から、今後も仏壇リフォームは盛んに行われていくと思われます。

家に仏壇を置かずにいる人のうち6割近くの人が「供養できないことに対して後ろめたさを感じている」と言います。仏壇は、絶対に置かなければいけないというものでもないので、実家の仏壇を引き継がないという選択もあるかとは思います。ですが、せっかく立派な仏壇があるのなら、今の暮らしに合うようにリフォームするのもとてもいいことです。

実家に昔からあって、昔から手を合わせてきた仏壇をリフォームして家で使い続けるのは想いもまた違うことでしょう。代々守られてきた仏壇を自分たちが守り続けるのも、また嬉しいことです。

終活中に仏壇のリフォームを考えるなら

仏壇をどうするかということも、終活で考えておくべきポイントです。自分の子供や親せきなどに仏壇を引き継ごうと考えている場合は、その方に引き継ぐ意思があるのかどうかを確認することも大切です。

引き継ぎたくないと言われたとしても、リフォームしてサイズダウンしたりデザインを変えたりした状態ならまた想いも変わってくるかもしれません。大きさやサイズなど、引き継ぐ相手の希望も聞きながら仏壇を引き継ぐことについて話し合いましょう。引き継がれる側は、大きさがネックで引き継ぐことをためらっているかもしれません。話してみることで、仏壇に関するお互いの意思を再認識することもできます。

まとめ

先祖代々受け継いできた大きな仏壇を、現代の住宅事情にもマッチしたおつとめしやすい仏壇にリフォームすることができます。リフォーム前後には正しく供養をしておけば、リフォームすることには何の問題もありません。大切なのは仏壇を大切にする気持ちと、仏壇に手を合わせる気持ちです。リフォームによって新しく過ごしやすくなった仏壇は、きっと仏様も喜んでくれるはずです。