はじめに
「お墓を買う」というのは、とても大きな意味を持つことです。金額も大きいですし子孫たちも入るものなので、やはり慎重に選んで買いたいものです。そこで今回は、お墓を買う際に重要になる、墓石の選び方についてお話ししたいと思います。
墓石の選び方
お墓を買うときにまず決めるのは、予算です。墓石は、石の種類やデザイン、使う石の量などによって値段が変わります。石材店では予算に応じて相談に乗ってもらえますので、まず軸となる予算を決めましょう。次に、理想のお墓を建てるために何を優先するか、何が一番大事かを考えます。
墓石を選ぶときのポイント
お墓を買うとなったとき、墓石については以下のような点で考えてみてください。
耐久性
子孫までずっと受け継ぐ事を考えると、一番大事なのはやはり耐久性です。暑さや寒さが厳しい地域であれば、その気候にあった石を選ぶことが大事になります。石によって耐久性も変わってくるので、プロの意見も聞きながら選びましょう。
デザインや色
オーソドックスなお墓にするか、デザイン性のあるお墓にするかを決めます。そして、それを踏まえて墓石の色も考えます。一般的な和型のお墓に似合うのは、やはり黒や灰色ですが、同じ色でも石の種類によって見た感じの色味が変わってきますので、サンプルなどを参考にしましょう。
また、故人の希望のデザインがある場合や、故人ひとりのお墓を建てる場合はデザインを優先することもあると思います。お墓のデザインによって似合う色の石がありますので、デザインとともに色を決めましょう。
墓地の広さや、お墓の大きさ
墓地が広くて大きなお墓を建てる場合や、石をたくさん使った立派なお墓を建てる場合は、使う石の量も多くなります。使う石の量が多いと値段も上がるため、予算を大幅に超えた場合は他の部分を調整することになります。細工や装飾をシンプルにしたり、石の種類を変えたりすると値段は抑えられるので、折り合いをつけながら決めていきましょう。
石材店との打ち合わせで決めること
予算と優先事項をある程度決めたら、実際に石材店で打ち合わせをします。石材店で決めていくことも順番に見てみましょう。
墓石の形やデザインを決める
墓石は、スタンダードな縦型の和型のものや洋風のもの、デザイン性の高いものなど種類がたくさんあります。まずは、基本となる墓石の形やデザインを決めましょう。墓石の形が決まったら、次に墓石に掘る彫刻や細工なども決めます。
装飾を決める
お墓の他にも外側の柵や灯篭などの装飾を追加するときは、その形なども決めていきます。墓石に掘る彫刻が多かったり凝った細工をしたりする場合は値段が高くなることがあります。使う石の種類によっては予算を超える可能性があるので、彫刻や細工などは何パターンか選んで、予算に合わせて調整できるようにするといいでしょう。
石の種類を決める
墓石は、使う石の種類によって値段が変わります。また、耐久性や吸水率なども石によって違いますので、どの石を選ぶかはとても大切なことです。石を選ぶときにチェックしたいポイントは以下の通りです。
(1)石の産地
墓石によく使われているのは「御影石」です。他によく使われているのは「小松石」や「大谷石」などですが、これらの石は美しいと同時に耐久性も高い石です。ただ、稀少価値が高い石でもありますので、その分高価でもあります。
(2)石の硬さ
石の硬さはお墓にとって、とても大切です。長い期間、風雨にさらされるので、劣化しにくくて耐久性の高い石を選びましょう。石の硬さは「N/cm2」という単位であらわされます。石の硬度が600N/cm2以上であれば、硬くて丈夫な石だと言えます。色味と同時に耐久性もチェックしながら石を決めてください。
(3)石の吸水率
実は、石も水を吸います。水を吸った墓石はコケが生えたり錆びたりしてしまいます。灰色の墓石が赤っぽく変色しているのを見たことがあるかと思いますが、あの赤い部分が錆びなのです。また、水を吸った部分が凍るとひび割れの原因になることもあります。吸水率は5%未満なら安心です。吸水率が低いということは、石の粒が密で石のキメが細かいということです。日本産の石では「小松石」「庵治石」が、キメが細かくて美しい石だと言われています。
より良いお墓にするためには
いろいろな点を考慮しながらお墓のデザインや石の種類などを決めていきますが、予算の関係もあり、すべて思うとおりに決めていけるわけではありません。削れるところは削り、譲れないところは譲らずに決めていきましょう。
石を選ぶときにとても大事なのは、「実際に建っているお墓を見てみる」ということです。石材店には石のサンプルがありますが、サンプルはあくまでもサンプルです。お墓は屋外に建っているものですが、サンプルは室内で保管されているため、実際に風雨にさらされて数年が経った時にどんなふうになるかはわかりません。
また、小さなサンプルで見る色味や柄と、大きな墓石になった時とではイメージも変わります。なので、実際のお墓を見に行くことがとても大事です。その時、石材店の人と一緒に行くと気に入った石の種類や産地を知ることができます。また、その石の特徴なども教えてもらえます。なので、ぜひ実際のお墓を見に行くことをおすすめします。
昨今の墓石選び
墓石を選ぶときの考え方や好まれているデザインや色などは、時代とともに少しずつ変わってきています。
デザイン
スタンダードなお墓もやはり主流ですが、オリジナルデザインのお墓を建てる人が増えています。女性のお墓は女性らしく角がとれた丸いデザインが好まれ、男性のお墓は男性らしさを強調するような角張ったデザインが好まれています。また、完全にオリジナルのデザイン墓石をオーダーする人も増えています。ただ、オリジナルデザインの墓石はその分値段が高くなります。石の値段にデザイン料がプラスされると考えてください。
色
スタンダードな黒や灰色だけではなく、墓石もいろいろな色が選ばれています。以前は、赤は血をイメージさせるため避けられていたこともありましたが、今はあまり気にしない人が多いのです。実際、赤を基調とした石を使うととても美しいお墓になります。
国会議事堂の外装にも使われている「議員石」は赤みを帯びたとても美しい石です。仏教では、青・黄色・赤・白・黒の5色は仏教の精神や知恵を表わす色だと言われています。なので、どの色も縁起が悪いということはなく、どの色もお墓に使ってもかまいません。
また、最近ではピンクや緑などの色も好まれています。ピンク色の石は「万成石」、緑色の石は「萩野石」などがよく使われています。墓石は故人の雰囲気や好きな色に合わせて選ぶのもいいですね。
石の産地
以前は、日本のお墓は国産の石で作る方がいいと言われていましたが、最近はあまりこだわらず外国産の墓石を選ぶ人が増えています。外国産でも日本の御影石と見比べても遜色がないほど美しいものがたくさんあります。
外国産の石だからと言って質が悪いということも決してありません。国産の墓石は産出量自体が減っていることもあるため、年々値段が上がっていますが、外国産の石は安く購入することができます。なので、質が良くて安く購入できるのであれば、「どうしても国産の石でお墓をつくろう」とこだわりすぎる必要はありません。
その他の素材
最近、ガラス素材を使った墓石も人気を集めています。好きな色が選べますし、強化ガラスを使っているため耐久性も抜群です。墓石とガラスを組み合わせた墓石は、晴れた日も雨の日もキラキラと輝き、とても美しいです。
今後の墓石選び
スタンダードなお墓を選ぶ人ももちろんいますが、オリジナルデザインの墓石を選ぶ人はますます増えていくと予想されます。デザインが豊富になると、墓石の色も今までと変わってくるでしょう。ただ、墓石を完全にオーダーメイドできる石材店はまだ少ないのが現状です。
また、デザイン墓石を作る際は、墓地や霊園に問い合わせをする必要もあります。お寺には洋風のお墓を建てられない場合がありますし、霊園では全体の景観を重視していることが多いため、制限がつくことがあるのです。
また、デザイン性の高いお墓を建てる際に一番気にしなければいけないのが、家族の意向です。実際にお墓参りをするのは本人ではなく家族なので、家族の気に入らないお墓を建てるのはあまり良くありません。
しかし、最近は葬式も仏壇もオリジナリティが大事にされてきていますので、だんだんデザイン墓石をつくりやすい世の中になっていくのではないかと思います。
墓石を選ぶために準備すること
墓石を選ぶときにまず確認しなければならないのは、「お墓を引き継ぐ人がいるかどうか」ということです。墓地や霊園を決めても、引き継ぐ人がいない場合はそこにお墓を建てることを断られてしまうこともあります。
そのあと、予算に合った資金を準備しましょう。ある程度資金を準備してから、複数の石材店に相談に行って見積もりを出してもらいます。複数の石材店の見積もりを比較検討してください。また、自分一人のお墓ではない場合は、必ず家族で話し合いをしましょう。
そのうえで、にお墓を建てるにあたって譲れないポイントをみんなで共有するといいですね。
まとめ
墓石選びで失敗しないためには、しっかりと下調べをすることが大切です。石の性質や予算感を把握しておけば、スムーズに希望の墓石を選ぶことができるでしょう。また、家族みんなが後悔しないよう、お墓を購入する前には話し合いをしておくことも忘れないようにしてください。最近ではデザイン性の高いお墓もたくさん販売されているので、きっと希望に合うお墓を見つけられると思います。後悔のないよう、大切なお墓を選んでください。