海外での墓地選びについて
日本人が海外で墓地を選ぶ際には、まずはその国の死生観について知っておく必要があります。
海外の葬儀やお墓は日本とは異なる
海外で広く信仰されている宗教は、キリスト教やユダヤ教、イスラム教などが代表的です。仏教やそれを原点とした信仰が広まっている地域は、東アジアが中心です。宗派が違えば死生観が異なり、葬儀やお墓の形式も異なります。
海外にも他の宗教に寛容な国がある
多くの国には「国教」といわれる、国の基本となる宗教が存在します。中東諸国などは宗教の教えが国のシステムにも根付いている場合も多く、宗教が国の成り立ちに大きく関わる国も存在します。このような国で他宗教のお墓を建てるのは、あまり現実的ではないでしょう。
欧米などの多様な文化を受け入れる態勢がある国で、さまざまな宗教のための墓地が用意されている場所を探してみましょう。
海外における仏式
日本人が海外でお墓を建てるという前提から、仏式のお墓の事情について解説します。
仏教はアジアでは一般的
仏教はインドや中国を起点として、東へ広まっていき、日本に到達しました。東南アジアでは国教と定めている国も多く、仏式のお墓は一般的なものです。これらの地域では宗派の違いこそありますが、仏式のお墓選びもしやすいでしょう。
欧米でも広がりを見せる仏教
仏教圏の人たちは欧米を中心に世界各国へ移住しているため、さまざまな国で仏教が認識されています。信仰の自由がある国では、小規模ながらお寺や墓地が整備されている場合もあります。お墓選びの際は、こうしたスポットに目星をつけてみましょう。
海外のお墓の違い
海外でお墓を建てようと考えている場合、まずはその国の信仰や風習について調べてみましょう。
埋葬方法
日本の埋葬方法は、火葬を基本として法や設備が整備されています。一方で海外では、土葬も珍しくありません。仏教のなかでも散骨や水葬などでお墓を建てない地域もあるため、埋葬方法の違いをしっかりと把握しておきましょう。
埋葬人数
海外の墓地では、1つのお墓に1人だけ埋葬する形式も珍しくありません。日本では一般的な一族の墓や、永代供養墓でみられる合葬墓などは珍しい形式なのです。
お墓参りと墓地の立地
日本では、お盆などの時期に合わせてのお墓参りが一般的です。しかし海外では、定期的なお墓参りの習慣がない地域もあります。このような地域では、日本のような眺望のよい墓地はなく、頻繁に行き来することを前提としない、人里離れた場所にしか墓地がないこともあります。
墓石
日本でも近年はさまざまな墓石が増えていますが、これは海外の文化を取り入れた結果でもあります。海外では、白や茶などの明るい色合いの墓石を選ばれる地域があります。
そもそも墓石を用いない地域もあるため、和式の墓石を利用したい場合は輸入の必要があるでしょう。そのぶん、費用と時間がかかります。
海外でのお墓の購入を考えている場合の準備
海外でお墓を建てたい場合、まずは家族や親族に意図を伝えて納得してもらう必要があります。家族や親族からすれば、お墓参りにも大変な手間がかかるようになり、簡単には供養の機会を得られなくなります。
これを前提としたうえで、「国・地域の文化を知る」「注意点を把握する」「自分で実際に足を運び確認する」ことが大切になります。
国・地域の文化を知る
海外でお墓を選ぶ際、その国・地域の文化によっては希望通りにならないことが出てきます。まずはその国・地域の文化について理解を深めることが第一歩となります。
文化に通じていないと、疑問や不満が浮かんでも解決できる問題なのかもわかりません。また、後々に家族・親族がお墓参りに訪れる際にも、注意点を本人から伝えておかないと余計なトラブルを生みかねません。
注意点を把握する
国の事情の違いは、そのまま注意点となります。例えば、埋葬の方法が異なれば、日本への改葬も難しくなる可能性があります。
こうした事情は国単位だけではなく、地域でも違いがあります。お墓を建てる場所についてよく調べて、注意点を洗い出しましょう。
一度は必ず現地に足を運ぶ
その国や地域の事情は、現地の人や専門家に聞くようにしましょう。また、日本でお墓を購入するのと同じで、正確な情報を集めて、必ず一度は現地に足を運んで自分の目で確かめるようにしましょう。
まとめ
日本は宗教観が特殊な国であるため、海外の宗教観に触れるとその違いに驚くことも少なくありません。とくにお墓などの死生観が表れる分野は、宗教観の違いの極致といっても過言ではありません。
海外でお墓を選ぶ際は、基本的に「郷に入っては郷に従え」の精神で、その地域の宗教・宗派を受け入れるのが妥当でしょう。