墓友とは
「墓友」とは、一緒にお墓に入る友達のことです。お墓は血縁者でなければ一緒に入れないわけではありません。最近では、親友や幼なじみといった昔なじみ以外にも、新たに「墓友」を作ってお墓に入るパターンも広まっています。
墓友を作る理由として、「お墓を引き継ぐ人がいない」「子孫にお墓の管理の負担をかけたくない」といった、お墓にまつわる悩みが増えていることが挙げられます。
また、生涯独身率の上昇や熟年離婚など、価値観の変化によって老後を一人で過ごす人が増えたことも影響しています。
墓友を作るメリット
墓友を作ることは、広く終活にまつわることでメリットになります。
お墓の費用を抑えられる
墓友と共同でお墓を買うことで、一人でお墓を購入するよりも費用を抑えられます。とくに老後を独身で過ごす場合、金銭的な不安を抱えることがあるため、お墓の問題を友人と解決できるのは大きな安心につながるでしょう。
墓友が葬儀をあげてくれる
老後に一人で生活をしていると「自分に何かあったとき、誰にも気づかれない」といった不安が出てきます。墓友と連絡を取り合うことで、万一のときも異変に気づいてもらえます。
また、どちらかが先立ってしまった場合は葬儀などを任せ合っておくと安心です。
墓友との交流で終活や死生観と向き合える
墓友とお墓について話し合うことで、自分がどのような人生の幕引きを望んでいるか気づくきっかけとなります。
とくに終活中に知り合った人であれば、お墓や死生観についても話しやすく、より終活について考えを深められるでしょう。その点でお墓の見学会は、望んでいる供養のかたちが近しい人たちで集まる場です。交流会などがあれば、情報交換をしつつ仲を深めてみてもよいかもしれません。
墓友と入りやすいお墓
墓友と同じお墓に入る場合は、基本的に永代供養墓が選ばれます。
友人同士でお墓に入る場合、基本的にはお墓を継ぐ人はいないはずです。一般的なお墓は後継者がいなくなった場合(管理費などの支払いが途絶えた場合)、無縁墓として扱い、遺骨は合祀されてしまいます。
その点では永代供養墓は、お寺や民間団体などが管理するお墓であり、一定期間後に合同供養してくれます。期間は33年後などの「弔い上げ」が区切りとなっています。
親族がおらず同世代の友人しかいない境遇であれば、「死後数十年経ったあとにお参りに来る人はいない」と受け入れやすいでしょう。
永代供養墓の種類
永代供養墓の種類は、形式や予算を含めて多種多様です。
樹木葬
樹木を墓標として、遺骨を埋葬するお墓です。一口に樹木葬といってもさまざまなタイプがあり、細かく区画が区切られて遺骨が混ざらないタイプや、合祀墓タイプのものもあります。
自然葬として、「草木の下で眠る」「自然に還る」といった希望も叶うお墓です。
基本的に価格は控えめですが、合祀タイプは後々の遺骨の取り出しができないことに注意しましょう。
合同墓
合同墓は一つの大きなお墓に、複数の遺骨が納骨されるイメージとなります。ペットと一緒に入れるお墓や、女性だけで入るお墓など、さまざまなタイプがあります。
埋葬の方法も、一区画ごとに分割される場合もあれば、合祀される場合もあります。埋葬方法や立地によっても料金は大きく異なるので、細かく確認しましょう。
納骨堂
納骨堂は遺骨を収納する屋内施設で、仏壇式や位牌式、ロッカー式などさまざまなタイプがあります。
屋内なので天候問わず参拝でき、都市部でも建立できるため、アクセスも良好です。ただ、施設の維持管理で年間管理費が必要となる場合があります。
墓友とのお墓探しで失敗しないためのポイント
墓友とお墓探しをする際のポイントや、事前に準備してくことを解説します。
なお、霊園やお寺では終活イベントや交流会が盛んに行われており、お墓探しのなかで墓友に出会える可能性もあります。
家族への相談
墓友と一緒にお墓に入ろうと考えたとき、まず行うべきなのは家族への相談です。
家族・親族が存命または交流が続いている場合、他人とお墓に入ることにはまず反対されるでしょう。
「家のお墓に入りたくない」「お墓のことで家族に面倒をかけたくない」といった理由があっても、事前に相談をしておかないとトラブルに発展する恐れがあります。
多くの墓地から比較・検討する
墓地によって供養や管理の仕方は異なるため、できるだけ多くの墓地を見て回り、比較・検討しましょう。
費用や供養の方法、遺骨の安置期間など、自分と墓友の希望に合うお墓なのかよく確認しましょう。
金銭面の負担
墓友とお金のことでトラブルにならないよう、金銭面の負担について話し合いましょう。
自分の希望を優先してもらったから少し多めに支払うなど、お互いが納得する方法を模索しましょう。
まとめ
生涯独身率の上昇や熟年離婚などで、老後も一人で生活する人は珍しくありません。親族などもおらず、自分が入るお墓の当てがない場合は、お墓は金銭面も含めて大きな課題となります。
そんなときに同じ境遇の墓友がいれば、精神的に大きな支えとなるでしょう。現在は墓友とも安心して選べる永代供養墓もあり、お墓選びは決して難しくありません。
終活イベントや老後の勉強会などで、勇気を出して墓友を探してみるのもよいでしょう。