お墓の後継ぎと永代供養
少子高齢化や核家族化などの影響により、お墓の後継ぎがおらず、永代供養墓を選ぶ人が増えています。
従来のお墓は後継ぎがいることを前提として成り立っており、親から子へと受け継がれていくものでした。
その点、供養・管理を墓地管理者(お寺など)に任せられる永代供養墓は、後継ぎを必要としない新しい供養のかたちとして注目されています。
永代供養墓の分類
永代供養墓にはいくつかの種類があり、それぞれ金額や供養の方法も異なります。なお、金額は地価を反映するため、都市部にある永代供養墓ほど金額が高くなります。
合祀墓型(合同墓型)
合祀型は、他の方の遺骨とともに納骨されるお墓です。個別に土地や墓石を用意しなくて済むため、必要となる費用は5~20万円程度で抑えられます。ただし、埋葬後は改葬や分骨はできない場合がほとんどですので、注意が必要です。
納骨堂型(集合墓型)
納骨堂へ個別に遺骨を安置する形式で、ロッカー型が一般的です。一定期間(17回忌や33回忌)が経過したあとは合祀されます。
土地や墓石が不要ですが、都市部の施設ほど高額となります。また、遺骨の収蔵数に比例して料金は上がります。必要となる費用は20万~100万円ほどとなります。
個別安置型(単独墓型)
個別安置型は、従来のお墓のように個別にお墓を建てますが、収蔵できる遺骨は少人数分のみで、継承する必要がありません。一定期間(17回忌や33回忌)が経過したあとは合祀されます。
永代供養墓のなかでは高額となり、必要となる費用は100万円以上となります。
樹木葬型
墓石の代わりに樹木を植える、新しいタイプのお墓です。「最期は自然に帰りたい」という自然志向の人を中心に注目されています。
樹木葬にはさまざまなタイプがあり、必要となる費用は他の方と一緒に埋葬される合祀型で5~20万円、区画ごとに埋葬する集合型で15万~60万円、個別に埋葬して樹木を植えるタイプでは20万~80万円程度となります。購入の際は、どのような埋葬方法を取っているかよく確認しましょう。
永代供養墓のメリット
永代供養墓は、お墓の後継ぎがいなくても購入できることが特筆すべきメリットとなります。また、永代供養墓の多くは宗旨・宗派を問わないため、誰でも購入できます。
さらに、従来のお墓と比べて費用の面でも負担を大きく軽減できます。新しくお墓を立てると永代使用料や墓石などを合わせて100万円以上は必要になることを考えれば、費用面は最大のメリットといえるかもしれません。
永代供養墓のデメリット
永代供養墓は納骨の期限が決まっており、一定期間を過ぎると合祀され、遺骨が取り出せなくなります。ほかの人の遺骨と混ぜられるのは嫌だと感じる場合は、大きなデメリットとなるでしょう。
また、そうした永代供養墓の性質から、否定的な考えを持つ家族・親族から反対される可能性があります。とくに従来の供養のかたちを大切にする人がいる場合、後継ぎがいない事情などを含めてしっかりと話し合いましょう。
永代供養を選ぶ際のポイント
永代供養墓を選ぶ基準として、経済状況や立地を条件とする方がほとんどです。ここでは、永代供養を選ぶ際のポイントを解説していきます。
立地を選ぶ
永代供養墓を選ぶ際に重要なポイントになるのが、立地です。お墓参りに来てもらいたい家族や親族、友人などが訪れやすい場所を選ぶようにしましょう。
身寄りがなく、訪れる人の利便性を考慮しない場合、自分にとって思い入れのある土地で探してみるとよいでしょう。
予算を立てる
お墓の費用について、予算を整理しておきましょう。永代供養墓は一括で購入できる場合と、年間の維持費が発生する場合があります。総額の費用と予算を計算したうえで選定を進めましょう。
周囲の人に知らせる
生前に永代供養墓の申し込みをしていたのに、遺族がそれを知らずに別の墓を購入してしまうというケースがみられます。
永代供養墓の購入は事前に周囲の人に伝えておき、エンディングノートや遺言書などに残しておくと安心です。
まとめ
社会的な背景もあり、お墓の後継ぎがいない人が増える現状では、永代供養墓が唯一の選択肢という方も多いでしょう。また、費用面に魅力を感じて永代供養墓を検討する人も少なくありません。
すでに多様な永代供養墓が誕生していることを踏まえて、費用や遺骨の収蔵数、交通アクセスなどから、自分にあったお墓を検討してみましょう。