失敗しない生前遺影作り

葬儀・仏事

昨今話題になっている「終活」。最近ではニュースで「孤独死」についての特集が組まれるなど、自らの死について考える機会が増えました。多くの方が終活について考える時に、最初に頭に思い浮かぶのは、「誰かに迷惑をかけたくない」ということかもしれません。しかし実際には、慣れないお葬式に短い期間で臨まなければいけない遺族にとっては、準備をいくらしてもし足りないというもの。

しかし、いざ自分のこととなると遺族と葬儀について話しづらいことも。そんな方も少なくないと思いますが、まずはできることから少しずつ始めてみましょう。今回、実は終活の中で最も始めやすい「生前遺影」について紹介します。

遺影選びは難航する

実際の葬儀の現場では、お料理はどうするのか、お返しものはどれくらいの金額にするのか、などたくさんのことを決めなければいけません。もし事前に準備していたとしても、その通りに行くことはまれです。

そんな大変な状況の中、意外に時間を取るのが遺影に使う写真の選定なのです。“もっとも故人らしい写真”を選ぶこと自体も大変ですし、趣味の写真を使うのか仕事の写真を使うのか、そもそも故人本人はこの写真を望んでいるのか、など考えることがたくさんあるからです。

しかも高齢者になると写真を撮る機会も少なくなっていますし、最近の写真を探すのに一苦労。やっと見つけたと思った写真がピンボケして使えない、なんてこともよくあります。

生前に遺影を用意すること

葬儀のプランや来ていだく人のおもてなしについて、親族と話すのには抵抗があるかもしれません。家族に妙な心配をされてしまうこともあります。

ですが、遺影の準備であれば自分だけでも手軽にできるはず。終活というと遺言書の作成など難しい内容を考えてしまいがちですが、写真を用意しておくことも立派な終活に繋がります。

特に、女性は生前に遺影用の写真を準備する方が増えています。ずっと飾られる写真ならば、せめて綺麗なうちに撮った写真がいいと思う方が多いのでしょう。葬儀の打ち合わせの場でも時間がかかる遺影選びなので、事前に写真を決めておくというのは、家族を想っての最も入りやすい終活であると言えるのではないでしょうか。

生前遺影のメリット

生前遺影を用意しておくと、多くのメリットがあります。それは以下の通りです。詳しくみていきましょう。

・想いが家族に伝わる
・自分が納得した写真が使える
・祭壇に飾られた際に人柄が伝わりやすい
・生前であれば作り直すことができる

想いが家族に伝わる

生前に遺影をとっておいたご家族が口を揃えていうのは「私たちが困らないように、こうして事前に準備もしてくれていたんだ」という言葉です。実は遺言書や細かな葬儀プランよりも、写真という実態を伴った準備の方が、遺族により想いが届きやすいです。

日常生活をしていても、写真を通してその時の思い出を振り返ることは多々あるかと思いますが、遺影に関しても同じです。「準備をしておいてくれた」という感謝の気持ちだけではなく、「そういえばこの服好きだったな」「〇〇らしいな」という家族の思い出が喚起される1つのコンテンツとなるのです。

自分が納得した写真が使える

亡くなってからのことは、当然家族や親族に任せるしかありません。しかし、自分ではあまり納得のいっていない写真を使われてしまうのも抵抗があるはずです。その点、生前に遺影写真を準備しておけば「自分はこんな写真使って欲しくなかった」といった事態を防ぐことができます。

服装や背景なども自分で選ぶことができるので、楽しんでいた趣味や打ち込んでいた活動など、自分を構成する要素を盛り込むことも出来るのです。昔ながらの白黒の遺影よりも、様々な思い出が詰まっている素敵な遺影を用意できます。

祭壇に飾られた際に、人柄が伝わりやすい

遺影というと家に飾るイメージが強いですが、式中祭壇に飾るものであることを忘れてはいけません。祭壇の中心に大きく据えられる遺影は、その人そのものを表します。

事前に準備された遺影は、葬儀のために急いで作られたものと比べて完成度の違いは歴然です。多くの方が、式場に入ってきて祭壇をご覧になった時「良い写真だね」とおっしゃってくれるはずです。

生前であれば作り直すことができる

一度写真を撮り、生前遺影を用意したものの、しばらくするうちに今の印象と異なってしまうということもしばしば起こりえます。1番見て欲しい時期の写真を使うということもひとつの考え方ではありますが、生前ならば何度でも作り直すことが出来るのは生前遺影の大きなメリット言えるでしょう。

生前遺影のデメリット

生前遺影には、ほとんどデメリットがありません。親族にとっても遺影を選ぶ手間が省け、本人にとっても納得のいく写真を使うことができる生前遺影は、最も手軽に始められる終活ということが出来るでしょう。

もし、1点だけデメリットを挙げるとするならば、現在の印象と違ってしまうことくらいです。しかし、写真を撮り直すことでそれが払拭できることを考えると、やはりほとんどデメリットはないと言えます。

生前遺影の作り方

最も簡単なのは、写真スタジオで遺影に使う写真の撮影をお願いする方法です。プロのカメラマンが撮るので失敗の可能性はなく、自然に加工も加えてくれるため最も写りの良い写真を撮ることが可能です。

手元にある写真の中に非常に気に入っている写真があり、それを使って欲しいということもある場合も、写真スタジオに相談してください。この場合にも写真の加工で、うまく切り出して遺影に合うようにしてくれます。

ただし、自分の撮った写真の場合は「ブレ」や「焦点のズレ」があることもあります。特に祭壇に飾る写真は思っている以上に大きく引き伸ばすものです。ハガキほどの大きさの時にはさほど気にならなかった部分が、目立つようになってしまいます。

自分で判断が出来れば良いですが、古い写真など、使えるのかどうか自分では判断がつきにくい場合もあると思います。そういう場合には、候補の写真を持って写真スタジオや葬祭会館に相談にいきましょう。どちらの場合も事情を話せば、焦点があっているかどうか判断してくれるはずです。

また、現代では写真の加工技術も発達していますので、ちょっとしたアクセサリーなどは加工で消すことも可能です。この写真はとても良いけれど、つけているネックレスが気に入らないなどの場合には加工をお願いしましょう。大きい加工になるとそれなりに費用がかかる場合もありますが、小さな加工であればサービスしてくれることも多いです。

家族に生前遺影について話す

ここまで生前遺影の準備についてお伝えしてきましたが、そうは言っても急に家族に生前遺影を用意したいと相談するのは気がひけるものです。家族には内緒でスタジオに撮りに行っても準備をするのも良いかもしれませんが、もしもの時に準備しておいた遺影が使われなかったのでは意味がありません。

そんな時オススメしたいのは、「家族写真と一緒に撮ってもらう」という方法です。ご家族がいらっしゃる場合には、何かの行事につけて写真を撮る機会があると思います。その時に、一緒に1枚追加で自分の写真を撮ってもらうのです。

この方法は家族にとっても「そういえばあの時追加で撮った写真があった」という風に記憶させることができますし、イベントにかぶせて撮影するので何度もスタジオに足を運ぶ必要もありません。

またあくまでも自然な形で撮影を出来ます。何よりのメリットは、一人でスタジオに行って撮影するよりも表情が良くなることではないでしょうか。

生前遺影の準備は自分にとっても家族にとってもメリットの方が多い

「終活」という言葉を聞くと少し身構えてしまうかもしれませんが、生前遺影は写真を用意だけなので、とても気軽に準備しておくことができます。遺族にとっても忙しい葬儀の準備の中で、生前遺影があればとても助かるはずです。

生前遺影に興味が湧いた方は、ぜひ写真スタジオでプロのカメラマンに撮影をお願いしてみましょう。これをきっかけに、家族写真の撮影を提案してみても良いでしょう。素敵な遺影で最期を締めくくるため、生前遺影について考えてみてください。

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