仏壇の変化
日本人のライフスタイルは近年急速に洋風しました。床はフローリング敷きになり、椅子があるのが当たり前の生活になっています。
家具も欧米のデザインを採用したおしゃれなものが主流となり、和箪笥などは、もはや目にすることさえ珍しくなりました。その中で、仏壇も変化をしてきています。
田舎の家に設置されているような大きなお仏壇は「唐木仏壇」と呼ばれます。大きな仏壇は先祖への感謝や、その家の繁栄を示す1つのステータスとして、どのお家にも1つはあるものでした。しかしこの唐木仏壇は日本家屋に合うよう作られており、専用の仏間など大きなスペースを必要とするため、現代的な洋風の建築にはうまく馴染まないものでした。
そこで、仏壇メーカーは現代建築と現代のライフスタイルに合うお仏壇を作り始めました。これが、今人気となっている「モダン仏壇」です。
モダン仏壇ってどんなもの?
現代風のモダン仏壇は、「家具調の仏壇」とも呼ばれます。その名の通り、生活空間に馴染む、家具のような仏壇です。現在では多くのメーカーが家具調のお仏壇を売り出しています。モダン仏壇の主な特徴は「デザイン性の高さ」と「コンパクトなサイズ感」です。
西洋風の建物の中でも、存在が浮いてしまわないよう、従来の唐木仏壇とは打って変わってスタイリッシュなデザインになっています。また、生活スペースの縮小に伴ってサイズもよりコンパクトになりました。現在では、リビングに置いても違和感のない仏壇がたくさん販売されています。
モダン仏壇の種類
モダン仏壇にはいくつかの種類が存在します。様々な仏壇メーカーで紹介されているものを参考に、分類してみると、以下の5種類になります。
- 台付き
- 上置き
- 壁掛け
- ミニ仏壇
- オープン型
台付き
台付きのモダン仏壇のことを指します。これは従来の唐木仏壇と同じく、下に線香や礼拝道具を収納できる台がついており、立ったまま礼拝が出来るタイプです。
独立して設置することができるので、生活の中でお仏壇のスペースをしっかりと確保することができます。比較的仏壇の中が広いモデルなので、先祖の位牌がたくさんある方や、沢山お供物をしたい方はこちらのタイプがオススメです。
上置き
今売れ筋の1つが、台の部分がない上置き型です。台付きの仏壇を設置するスペースがない方や、既存の棚や台の上に設置したいという方にオススメです。上置き型はコンパクトとは言っても、しっかりと作られているものが多く、内部の容量もあります。また売れ筋ということもあって、様々なデザインのものが販売されています。
壁掛け
先進性で他のモダン仏壇に圧倒的な差をつけているのが、この壁掛けタイプ。飾り方によっては、本当にインテリアの一部と見紛うほどのデザイン性を誇ります。おしゃれなお仏壇をお求めの方や、「魅せる」仏壇を選びたい方には大変おすすめです。難点は壁にかけなければならないので、中にものがあまり置けないこと。それゆえ「仏壇は置かない予定だったけど、ないのもちょっと」と思っている方や無宗教の方などにはおすすめのモデルでもあります。
ミニ仏壇
病院や施設で最期を過ごす方が増えていることなどから、サイズの小さなミニ仏壇を選ぶ方もいらっしゃいます。上置きよりもさらに小さく、卓上にも設置できるようなサイズが特徴。身近に礼拝の場所を作っておきたい方はもちろん、頻繁に引っ越しがある方などにもおすすめです。手元供養とも相性が良いです。
オープン型
最後に紹介するのは「オープン型」です。これまで仏壇といえば、周囲を囲んだ家のような形をしているのが一般的でした。それに対しオープン型の仏壇は、壁を取っ払ってしまったような形になっています。ちょっとしたステージのような形で、おしゃれなお仏壇を求めている方や、従来の価値観に捉われたくない方に人気があります。
モダン仏壇選びのポイント
モダン仏壇を選ぶ際には、どのようなことに注目して選べばいいのでしょうか。ここでは何点かにポイントを絞って解説をしていきます。
どこに置くかを考える
まずは生活空間のどこにお仏壇を置くかを考えてみましょう。
モダン仏壇は「リビングにおけるお仏壇」というコンセプトにある通り、どこにおいても馴染むようなデザインのものが多いです。しかし上記のモダン仏壇の分類でも分かる通り、置く場所によってタイプ分けがされています。逆をいえば、事前にどこにどう置くかを決めて置けば、自ずと選ぶべきモデルは決まってきます。
中にどんなものを飾るかを考える
モダン仏壇の特徴は「コンパクトになっている」ことです。しかしその反面、中における仏具の量には限りがあります。ミニ仏壇の中に大型仏具セットを納めることは困難です。仏具や御本尊は納ったけれど、位牌が入るスペースがなくなってしまったなどということでは本末転倒です。仏壇の中には何を入れたくて、それはどのくらいの大きさなのかを考えて選ぶ必要があります。
周囲のインテリアとの調和を考える
モダン仏壇の中には、洋風アンティーク調のものやエレガントなもの、フェミニンなものまで幅があります。周囲のインテリアとの調和を考えないと、空間の中でお仏壇だけ浮いてしまったなどということにもなり兼ねません。購入の際には実際にお部屋に置いたイメージをしっかり持って、買いに行くようにしましょう。
産地へのこだわりで考える
モダン仏壇は種類だけではなく、価格帯にも大きな差があります。価格のはるものとそうでないものとの違いは、そのお仏壇が作られた「産地」にあります。名産地と呼ばれる地域では、高品質な素材を、職人が一つ一つ手作業で加工しているため多くの時間と手間がかかります。その分耐久年数も高く、細部まで丁寧に作り込まれています。どのくらいの品質のものを購入するか、予算で絞り込むのもひとつです。
位牌や仏具もモダンなものに
モダン仏壇を考えているならば、中に納める仏具も、出来れば同じ雰囲気のものにしたいですよね。現在ではモダン仏壇にもぴっったりな現代仏具が販売されています。形や素材も様々で、昔ながらの木を使ったものから、金属やクリスタルを使ったものまでバラエティに富んだラインナップになっています。位牌も同じです。仏壇と仏具は切っても切れない関係なので、相性のよさそうなものを選びましょう。
まとめ
ライフスタイルや住宅の変化に応じて変化してきた仏壇。時代が変わるにつれ、形は変わっても、それが私たちにとっての祈りの形であることに違いはありません。昔ながらの仏壇であれ、モダン仏壇であれ、一番大切なのは先祖に対して感謝の気持ちを持って向き合うこと。どんなお仏壇を選ぶのかしっかり考えることは、それもまたひとつの供養になるかもしれません。