知っておきたい喪主と菩提寺とのトラブル

この記事は約6分で読めます。

はじめに

お葬式を執り行うにあたって、菩提寺との関係はとても大切です。今後のことを考えると、菩提寺との関係は良好な状態を維持したいものです。

しかし、そうは言ってもトラブルは思わぬところで生じてしまうことも。今回はそんな菩提寺との間に起こったトラブルを紹介していきます。

喪主と菩提寺とのトラブル

喪主と菩提寺はお葬式を執り行うにあたって、中心的な役割を果たすことになります。喪主はお葬式の一切の段取りを、葬祭会館のプランナーとともに準備して、式当日は先頭に立って行動することになります。

菩提寺は通夜・葬儀両日に渡って儀式を執り行う中心的な立場です。本来はこの両者が、うまくやりとりを行なって、協力して式を遂行していくのが理想です。

しかし、現実には喪主と菩提寺の間で折り合いがつかず、トラブルに発展してしまうこともあります。トラブルの多くは、宗派と個人の価値観のずれであったり、コミュニケーションが足りなかったために行き違いが発生したりすることに原因があります。

ただ、取り返しのつかない問題に発展しやすいのは、やはりお金をめぐるやり取りです。「お布施」「戒名代」「御車代」など、お葬式には多額の現金が動きます。

お寺によっては独自のルールを持っている場合もあるので、葬祭プランナーにも意見を仰ぎながら、ひとつ一つ確認をして準備することでトラブルを未然に防げます。

それでは、葬儀で起こりがちなトラブルを確認していきましょう。

お布施に関するトラブル

お布施に関してトラブルが起きやすいのは「お布施の相場が分からない」や「お気持ちでと言われてもいくらなのか分からない」時です。特に「お気持ちで大丈夫です」と言われることは往々にして起こり、喪主としては「一体いくら出すのが正解なのだろうか」と考えてしまうことがあります。

お布施に関しては、統一的な金額の設定はありません。これは宗派が異なるときには勿論のこと、宗派が同じだとしても同じことが言えます。

実はお寺というのは、いわばそれぞれが独立企業のようなものなのです。宗派によるおおよその外枠はあっても、細かいルールに関してはそれぞれのお寺で異なります。

「お気持ちで」という発言に関しても、同じ宗派のA寺とB寺が同じ金額でいいということではありません。常にケースバイケースであることを頭に入れておきましょう。

そのうえで「お気持ちで」という発言を考えてみましょう。お寺の性質によって2通りの意味が考えられます。

本当に自由に価格を決めていいパターン

まずは、本当にお気持ちで自由に価格を決めてくださいという場合です。本当にいくらであっても葬儀を執り行うよという住職はいらっしゃいます。

葬儀社も、お金に困っているお客様などで菩提寺がない場合にはこういったご住職に頼む場合が多いです。けれども、喪主一人の判断でそういった住職を判断するのは難しいでしょう。

葬儀社では、近隣のお寺のデータをある程度把握していることが多いので、お気持ちでと言われたが、普段どうなのかということを確認した方が良いでしょう。

慣習的に金額が決まっているパターン

次に「お気持ちで」とはいうものの、慣習的に金額が決まっている場合です。

その地域に住んでいる際にはともかく、離れて暮らしていた場合にはその土地の慣習が分からないことが多いです。言葉のみを信じてしまい、本当に気持ちだけの金額を出してしまうと後々菩提寺との関係が拗れてしまいます。

こちらの場合には、出来る限り他の檀家のお家にお話を聞くのが最も良いでしょう。

戒名に関するトラブル

戒名に関するトラブルで多いのは「ご先祖と同じ文字数や位を勧められたが、そういう意向がない場合」です。ご先祖に対してつけられている戒名は、いわばそのお家の一つの基準です。

特に地域である程度名の通っている家や菩提寺に大きな貢献をしている場合には立派な戒名がついていることが多いです。基本的には「先祖に習う」というのが基本です。

そうした場合、そこまで立派な戒名を求めていないにもかかわらず、菩提寺から同じような位にすることを勧められることがあります。

こう言った場合には、思い切って腹を割った話し合いをすることが大切です。こちらがきちんと意思表示をしないと、戒名を決める住職は余計に事情が飲み込めずに迷ってしまいます。

逆に、多くのご住職はしっかりと話をすれば、こちらの意向をしっかりと考えてくれることも多いです。

また最近では戒名をつけずに、生前に使っていた名前である「俗名」をそのまま使う葬儀も増えてきていますが、こちらも注意が必要です。菩提寺にお墓がある場合に、俗名で葬儀を行なってしまうと、先祖代々のお墓に入れないことがあるのです。

後から戒名をつけ直すことになり、二重に費用がかかってしまうので、くれぐれもよく確認して行うようにしましょう。

お葬式に住職が来られない時のトラブル

年末年始やお盆の時期など、行事が重なる時期やお葬式が多い時期というのは一年に何度かあります。この繁忙期には、菩提寺のご住職に拝んでもらいたくても予定が合わないことがあります。

その際には、副住職や関係のある別のお寺のご住職が代わりに拝みに来るケースが多いです。ほとんどの場合にはご住職が喪主にその旨を伝えた上で、了解を得てからその流れになるのですが、喪主が納得していないまま話が進んでしまうとトラブルになってしまいます。

特に生前お寺とのやりとりが深かったお家などは、家族もその経緯を知っているために、あんなに話をしていたのに不義理ではないかとおっしゃる方も中にはいます。

繁忙期にこうした事態を避けるのはなかなか困難ですが、もしもどうしても菩提寺のご住職に拝んでほしい際には、1番最初の日程決めの際必ず葬祭プランナーに言っておきましょう。葬祭会館でも多くの仕事をスケジュールする都合上、早めの日程を組みがちです。

また生前のうちにご住職に直々にお願いをしておくという手段もあります。菩提寺でも生前からご住職に直接お願いをしていた故人について、代理を建てることはなるべく避けます。

住職の当日の動きに関してのトラブル

よくあるトラブルの一つに、住職の当日の動きに関するものがあります。式当日に住職がどのように動くのかということは、喪主にとっては大きな問題です。

なぜならば、それによって送迎や食事の数を変更するなどの対応を考えなければならないからです。中には送迎はご家族にしてもらうご住職もおり、事前の確認は必須となります。

また食事まで寄るかどうかは各住職によって異なる上に、時期によっては忙しいために、いつもは食事に寄る住職が寄らないこともあります。こちらも両日ともに確認をしておいた方が良いと言えるでしょう。

確認をするタイミングとしては、最初に直接ご住職にお話を聞きに行く時が良いでしょう。
お伺いを建てる際には、あくまでもお願いをするという立場ですから、丁寧な対応を心がけましょう。

宗派ごとの決まり事との擦り合わせ

個々人の価値観や生前の行いに合わせた自由な葬儀が、現在は多くの葬儀社で行われるようになりました。生前に人生後を考えることも一般的になってきている今、規模は大きくなくとも華やかで凝ったお葬式が増えてきています。

しかし、どんなに凝ったお葬式にしたいと思っても、中には様々な理由でそれが出来ないこともあります。お葬式では特に宗派ごとの決まり事との間で、トラブルになることがあります。

例えば日蓮宗系のお寺は戒律が厳しいことが多く、祭壇やお別れの際のお花に決まりがあります。しかし生前お花が好きだった方などは、華やかなお花に囲まれて送られたいと思っているかもしれません。

こういった宗教上の理由はお寺によってもルールが異なるので一概にはいえないものの、それぞれの菩提寺のご住職とうまく話をすり合わせる必要があるでしょう。

中には一般的には推奨されないとしながらも、ある程度の時点までは譲歩してくれることもあります。

まとめ

菩提寺との関係は、一度きりではありません。今後世代を超えてお世話になる関係です。

自分の代で仲が拗れてしまうと、それこそ何世代にも渡って迷惑がかかることにもなります。ここで紹介した以外にも、思わぬ形で菩提寺と喪主とのトラブルは発生します。

しかし、どのような場合にも腹を割って話すことが大切です。正直な事情を話すことで、話が拗れるのを防げます。

喪主と菩提寺を仲介するのは葬祭会館の葬儀プランナーです。分からないことはもとより、少しでも不安なことは相談して意見を求めるようにしましょう。