知っておきたい相続と相続税の基本

この記事は約6分で読めます。

相続と相続税について

相続は、財産を筆頭にさまざまな権利や義務を他の人に譲るための手続きのことで、そのときに発生する税金が相続税です。
相続と聞くとお金持ちの話だと考える人もいますが、少額でも小さな権利でも、相続は法的にきちんと行わなければ罰則の対象となります。

まずは、相続と相続税についての基本を頭に入れておきましょう。

相続は「自然人から自然人へ」が基本

相続は譲る側の承諾だけでなく、譲られる側も承諾をする「相互の了解」のもと行われなければならないため、法的な用語でいう「自然人」同士で成立させないといけません。

自然人とは、権利能力が認められてなおかつ社会的実在する人のことで、権利能力は全員に認められているため、重要なのは社会的実在の部分です。
架空の人間や法人などではなく、実在する人から人へというのが基本理念となります。

相続の開始と順位

相続は法的に死亡したときに開始されることが決まっています。
この死亡には、認定死亡や失踪宣告のようなものも含まれていて、死亡の認定に関しても厳密な法のルールが決まっています。

相続が開始されると最も重要なのは相続順位で、基本的には血のつながりが優先されます。

  1. 被相続人の子
  2. 被相続人の直系尊属
  3. 被相続人の兄弟姉妹

上記の順で相続の優先順位が決まり、これに当てはまる人がいない場合、代襲相続の形でその者の子が相続を受けます。
被相続人の直系卑属でないといけないというのが重要なポイントです。

相続税

相続税の計算方法はとても複雑で細かいため、専門家との相談をしなければ正確な額を出すことは難しいでしょう。
非課税の財産や、債務・葬式費用などは差し引くため、正確な知識と計算が必要になります。

相続の現状

相続には多くの法律が関係してくるため、それらをすべて網羅して個人で解決させることができる一般人はそう多くないでしょう。
そのため、基本的には相続に関する国家資格を持った税理士や公証人といった専門家の力を借りることになります。

もし相続順位や金額などで了承が得られない場合には、弁護士の協力の元裁判を行うこともあります。
それくらい正確に厳粛に手続きを進めないといけないことだということです。

基礎控除額

相続には、基礎控除額という一定の金額は控除される仕組みがあります。

これは法改正と共に金額も変動することがありますが、最新のものは「3000万円+相続人の数×600万円=基礎控除額」の計算式で算出することが可能です。
この金額を超えた分は、相続税の計算に則って算出した額を納めることになります。

評価額

株や現金などは金額の計算が比較的簡単ですが、不動産などの場合には評価額を算出することから始まります。
これには正確な審査ができる専門家が必要なので、不動産鑑定士であったり税理士に計算をしてもらうことになります。

熟慮期間

相続の承認や放棄までに与えられる時間は制限があります。

基本的には「自身が関係する相続が開始されたことを知ってから3ヵ月」の間に答えを出すという決まりです。
しかし、裁判の発生などで時間がかかることがわかった場合、利害関係人や検察官の請求があれば家庭裁判所が伸長させることができるため、手続きに時間がかかる場合にはそういった手順を踏むようにしましょう。

特例

大規模な天災等が理由で、相続に関する手続きをすることが難しい場合には、特例が定められることもあります。

最近では東日本大震災の際に特例が定められ、熟慮期間の延長などが行われました。

相続への準備

相続をする必要がある時期が近づいてきている人は、準備を進めておくと有利に話しを進めたり、スムーズに解決させやすくなります。

相続をうまく行うためにできる準備をいくつか紹介します。

査定内容を理解して専門家を選んでおく

相続には専門家の査定や計算が必要な部分も多いので、最も簡単にできる準備はその査定が必要な部分を自分で理解して、適材適所な専門家をあらかじめ見つけておくことです。

まずは相続の大まかな流れや内容を把握しておけば、相続の最中にも慌てたりする回数は減りますし、相続に向けて準備することもできるでしょう。

専門家選びもあらかじめ目星をつけておけば、スムーズに作業を進めることにつながります。

遺言など重要な書類はきちんと管理する

相続には遺言書などの書類が大きな役割を持つ瞬間があるので、あらかじめ作っておくことや、作った場合にはそれを被相続者にも知らせておくといったことで、話が混乱することを防ぐ要因になることがあります。

もし既に作成済みな場合には、なくしたりしてしまわないように大切に保管しておきましょう。

相続関係者の事前相談

相続者の決定にも法律での定められたルールが関与します。

場合によっては放棄をする人や割合が変わる人もいるため、誰までが関与する人なのか、関与する人の意思はどうなのかなどを、あらかじめはっきりさせておくのが理想的です。

相続の開始を知ったときから3ヶ月は熟慮期間が約束されています。
要請があれば伸長することも可能であることからわかるように、話がもつれればもつれるほど長い時間と労力が必要になります。

あらかじめわかっていることの照らし合わせや、相談事項の確認などは早い段階から始めるに越したことはありません。

終活で相続を考えている人への提案

終活で相続を考えている人は、まさに相続の中心となる立場なので、しっかりと準備をするかどうかで子や親族の苦労が大きく変わってくる重大な責務があります。

もちろん少しでも多く譲り渡す方が望ましいので、節税などをうまく利用して大切なお金を有効活用しましょう。

まずは専門家と相談を

相続は一般人が勉強してできるほど簡単なものではありませんので、専門家との相談をするのがいいでしょう。

現状だとどれぐらいの課税が発生し、誰にどれくらい譲れるのかの概算を出すことができれば、ある程度計画を立てることができるようになるでしょう。

生前贈与

相続税の対策としてよく挙げられる方法の1つに、生前贈与があります。

生前贈与には贈与税という税金がかけられているうえに、正確に手続きしなければ贈与したにもかかわらずその金額分相続税を払わないといけないという事態にも発展します。

そのため、生前贈与をすれば節税になるという簡単な話ではありません。
生前贈与で節税になるのか、どれぐらい節税できるのかなどは税理士などの専門家とよく相談をしてから決めるようにしましょう。

購入や前払いを活用

相続税には、非課税対象や購入することで現金を減らして節税になるものも存在します。
こういったお金を相続前に消費しておく行為をうまく利用することで、相続税を減らしてお金を有意義に使うことができます。

よくある例としては、墓地や葬式費用の購入や、税理士報酬の前払いなどです。

重要なのは税理士

やはり相続税は税金の話なので、節税をするにしても金額を計算するにしても税理士の力を借りることが多くなるでしょう。

税理士を雇うのにもお金はかかりますが、トータルで見てお得になればそれだけでメリットになります。

まとめ

相続には相続順位や相続が発生する範囲などの細かい規定が存在します。
相続税に関する手続きはとても複雑で難しいです。

まずはある程度の概算を出すだけでも、専門家の協力を仰いだり査定を頼んだりしてみるだけでも、計画が一気に立てやすくなるでしょう。
慌てずしっかりと考え、計画的に進めていきましょう。