多様さが増すお墓の種類
お墓は納骨方法や契約内容などによって、様々な種類があります。それぞれの事情や要望に合わせて、適切なお墓を選びましょう。
まずは、お墓の形態について解説していきます。
お墓の種類の具体例
近年、社会構造の変化や価値観の変容に合わせて、お墓の種類や形状は大きく変化してきています。
屋内墓
近年、屋内施設のお墓がさまざまなかたちで普及しています。屋内であれば、風雨にさらされることもなく、管理は格段に楽になります。
また、屋内墓は遺骨の収蔵方法も特殊なため都心部でも建設でき、アクセス性からも人気が高まっています。
納骨堂
納骨堂は、屋内に遺骨を納める施設で、ロッカーのように区分けされたスペースに納骨するタイプが一般的です。
近年では、納骨堂も広義の屋内墓のひとつとして分類されます。従来の納骨堂は「お墓に入る前に遺骨を預かる場所」という役割でしたが、近年の納骨堂は期限付きのお墓としての役割を担っています。
永代供養墓
永代供養墓は、管理・供養を霊園(墓地)管理者に任せられるお墓です。費用を前払いし、数年から数十年埋葬された後に合祀される「期限付きの墓」と考えるとよいでしょう。
従来のお墓は先祖から代々受け継がれるものでしたが、近年ではお墓の後継者がおらず、無縁墓となって撤去されるお墓が増加しています。こうした背景から、継承を前提としないお墓のニーズが高まっているのです。
樹木葬
樹木葬は樹木の根元に遺骨を埋葬したり、遺骨を埋葬した場所に樹木を植えたりする葬送のかたちです。樹木が墓石の代わりとなることから、広義の意味でお墓のひとつとして分類されます。
お墓選びの準備
お墓の種類が増えたことで、どのお墓を選ぶべきか複雑化している側面があります。お墓選びの準備について、解説していきます。
早めに準備を始める
お墓の種類や選択肢が増えたことで、生前から時間をかけて選ぶ必要が生じています。死後に遺族に任せるのではなく、元気なうちから家族への相談や霊園見学などを行い、理想のお墓を探しましょう。
大切にしたいことを明確にする
お墓を選ぶうえで大切したいことを明確にしましょう。たとえば、利便性や費用、お寺との付き合いなど、自分が大切にしたいことを書き出していき、優先順位を決めます。
求めていることと、お墓の特徴を照らし合わせ、メリット・デメリットから理想のお墓を探しましょう。
後継者がいない場合
お墓の後継者がいない場合、後々の管理の心配がないお墓を検討してみましょう。近年では、納骨堂や永代供養墓など、供養・管理を任せられるお墓の選択肢が増えています。予算やアクセスなどの希望から、自身にあったお墓を探してみましょう。
お墓選びのポイント
お墓を選ぶ際に共通するポイントを解説します。
後継者とよく相談する
まずは後継者とよく相談して、管理や費用の負担について意見を交換しましょう。
とくに新しくお墓を建てる際は、お金を出すのは本人だとしても、実際にお墓を維持・管理するのは後継者です。後継者がお墓の管理をしなければ、せっかく作ったお墓も無縁墓として撤去されてしまいます。
現物を見て選ぶようにする
施設の雰囲気やお墓の大きさなどは、パンフレットやネットで見るだけではわかりません。お墓のことだけでなく、周辺の施設や景色など、実際に足を運んで確認するようにしましょう。
デメリットにも目を向ける
お墓のデメリットにも目を向け、後悔がない選択をしましょう。とくに、合祀型の永代供養墓や散骨形式の樹木葬は、遺骨を手元に戻せません。後々に遺族がお墓を建てたいと思っても、取り返しがつかないのです。
お墓の費用や管理の手間だけを考えると、思いがけない後悔に行き当たることがあるので注意しましょう。
まとめ
ここ10数年のお墓の変化はめざましく、先祖代々のお墓しか知らない方はカルチャーショックを受けるでしょう。
お墓を選ぶ際は、まずお墓の種類を把握することから始めて、そのメリットやデメリットをしっかりと理解していきましょう。