知っておきたい仏壇の種類

仏壇・位牌

仏壇は先祖供養のための大切なものです。先祖代々受け継いでいくものなので、いざ購入するとなっても簡単に決められるものではありませんし、デザインだけで選ぶこともできません。仏壇店に行くとたくさんの種類があるため、さらに迷ってしまうでしょう。そこで今回は、宗派ごとにどんな仏壇がいいのか、家に合わせてどのようなサイズを選んだらいいのかなどについてお話ししたいと思います。

仏壇とは

仏壇とは、仏教において自宅の中に常設される、仏様を祀る台のことです。さらにご先祖様の家という意味も持ちます。仏壇の内部にある木製の箱に本尊や脇侍の像・掛軸・供物などに加え、先祖供養のための位牌や過去帳、法名軸などを祀るのが一般的です。内部は各宗派の本山寺院の仏堂を模した豪華な作りになっています。

一般的な仏壇の種類と特徴

まず、仏壇の種類と特徴について説明します。一般的な仏壇は、大きく3種類に分けられます。

金仏壇

外側は黒く、観音開きの扉を開けた内側に豪華な金色の装飾が施されている仏壇です。金仏壇は各宗派の本山寺院を模したもので、ご本尊である阿弥陀如来の極楽浄土を表わし、金色はその象徴となっています。そのため浄土真宗では金仏壇を置くことが薦められており、浄土真宗以外の宗派で選ばれることはあまりありません。

金仏壇は漆塗りを施していることから「漆仏壇」と呼ばれることもあります。産地や地域によって彫刻や蒔絵などに違いがある仏壇で、値段の開きがもっとも大きい仏壇でもあります。金仏壇は手間や技術、使っている材料などが価格に影響するからです。漆塗りと金箔押しの工程は高度な技術を要し、使用する漆や金箔も品質によって価格が変わります。そのため、数万円するものから数千万円するものまで、幅広い価格帯のものがあります。

唐木仏壇

熱帯地方から輸入される木のことを「唐木」と言います。遣唐使の頃から輸入され始めたため、「唐から来た木」という意味で「唐木」と呼ばれているのです。唐木仏壇は紫檀や黒檀などを使うことが多いのですが、屋久杉や欅、桜など日本の木を使った仏壇もあります。美しい木目を生かして作られているのが特徴の唐木仏壇は、使っている材木や金具、施されている彫刻によって価格が変わりますが、価格の相場としては数万~数百万円です。

モダン仏壇

洋室に置いても似合う仏壇として昨今人気が高まっているのが、モダン仏壇です。扉を閉めるとクローゼットのように見えるため、リビングに置いても違和感がありません。まわりの家具や床のフローリングと色や質感を合わせることで、インテリア全体の調和をとることができます。モダン仏壇も施されている彫刻や素材によって価格が変わりますが、相場は数万~数十万円ですので、他の仏壇に比べると買いやすい価格となっています。

床に直接置く台付きのタイプと、家具などの上に置く上置きタイプとがあります。台付きのタイプは床から上の方まで高さのある大きな仏壇で、上置きタイプは台付きタイプの半分ぐらいの高さのものです。

仏壇を選ぶときのチェックポイント

仏壇を選ぶときには、仏壇を置く場所、仏壇のサイズを考えなければいけません。

仏壇を置いてはいけない場所

以下のような場所には、仏壇を置かない方が良いでしょう。 ちなみに仏壇を置くときに方角を気にすることもあるかと思いますが、神様はどの方角にも居られると言われています。なので、方角に関してはあまり気にしなくても大丈夫です。

・神棚との向かい合わせの場所、神棚の真下
神棚と向かい合わせだと、どちらかにお参りしているときにもう片方の神様に背を向けることになります。また、神棚の真下に置くとお参りをしたときにどちらに手を合わせるのかがわかりづらくなります。そのため、神棚の向かい合わせと真下は避けた方がいい場所です。

・直射日光が当たる場所、湿度の高い場所
仏壇は木材で作られているので、直射日光や湿度に強くありません。直射日光や湿度によって、木材にヒビが入ったり歪みが生じたりし、仏壇が壊れてしまうことも考えられるため、これらの場所も避けましょう。

仏壇のサイズ

仏壇を置く場所が決まったら、次に考えることは仏壇のタイプと仏壇のサイズです。仏壇を置く場所によって台付きの仏壇にするか上置きの仏壇にするかを決めましょう。

台付きの仏壇と上置きの仏壇、どちらを選ぶとしても注意が必要なのは、仏壇のサイズです。仏壇店やネットなどに表記されている「幅」とは、仏壇の扉を閉めた状態での幅を表わしています。家具などの間に仏壇を置く場合、置く場所の幅と表記されている幅が同じだと、「置けたけど扉が開かない」ということになる場合もあります。

仏壇の扉が二つ折りになっている場合は、扉を開けると左右に扉の1/4ずつ広がることになります。表示幅にプラス1/4が2枚分、つまり表示幅に1.5をかけた数字までのスペースがあるかどうかを確認しましょう。

予算の関係などで上置きタイプの仏壇を選ぶときに気を付けなければいけないのは、置く場所です。仏壇は、正座したときにご本尊が自分の目線よりも上の位置になっていないといけないので、上置きタイプの仏壇は床や畳の上に直接置くことは避けましょう。安定していてある程度奥行きがある台や家具の上に仏壇を置いてください。

大きな仏壇を置けない場合

今は住宅事情によって大きな仏壇を置けない場合もあるかと思います。仏壇は家に必ず置かなければならないものではありませんが、仏壇は遺族の心のよりどころであり、亡くなった人と会話をする場所でもあります。そんな方に多く選ばれているのが、自分の家やスタイルに合わせて選べる新しい形の仏壇です。新しい形の仏壇には様々なタイプがあります。

・ミニ仏壇
コンパクトなボックスタイプの仏壇です。観音開きのものや、ボックスに仏具が収納できるタイプなどがあります。家具の上に置いたり、収納して持ち運んで好きな場所でお参りできたりするので、自分の部屋のサイズやライフスタイルに合わせて選びましょう。

・壁掛け式の仏壇
薄型で壁に設置できるタイプの仏壇です。しっかりした壁ならどこでも設置することができます。台や家具の上に置くわけではないので、さらに場所を取らずに祀ることができます。

・手元供養
仏壇を構えず、必要な仏具だけを置いて祀ります。写真と仏具を置いたり、小さな骨壺に分骨して仏具を置いたり、好きなものを置いてお参りすることができます。

仏壇に必要な仏具

仏壇を選ぶときに同時に必要なのが、仏壇に置く仏具です。それぞれに意味や役割がありますので、ひとつずつ見てみましょう。

参拝の対象となる仏具

まずは仏壇になくてはならない、仏具です。

・本尊
本尊の像や掛け軸です。
宗派によって違いますが、仏壇の中でいちばん大切なものです。

・脇侍(きょうじ・わきじ)
本尊の両脇に宗祖(その宗派を起こした人物)などの掛け軸を飾ります。小さな仏壇の場合は置かないこともあります。

・位牌
故人の戒名・名前没年月日が書かれた板で、本尊のすぐ下に置きます。位牌は故人の魂が込められたものとされています。

・過去帳(かこちょう)
浄土真宗における位牌の代わりになるものです。その家の先祖の名前や没年月日が書かれています。

・見台(けんだい)
過去帳を置くための台です。

・遺影
写真立てに入れて位牌と共に仏壇に飾ります。

参拝をするためのもの

仏壇にお参りする際に必要になってくるものもあります。

・線香立て
線香を数本差しておくための仏具です。

・火消し
ろうそくや線香を灯した後のマッチを入れます。

・リン
おつとめをするときに鳴らすものです。

・木魚
読経のときに叩きます。浄土真宗や日蓮宗など、使わない宗派もあります。

・木柾(もくしょう)
日蓮宗で読経のときに鳴らす道具です。

・座布団
仏壇用の座布団ですが、紫色を基調として金色の刺しゅうが施されています。

・経机(きょうづくえ)
仏壇の手前に置いて、燭台や香炉などを乗せます。

お供えのためのもの

仏壇にお供えをするときに使う仏具について、使う順番に沿ってご説明します。

・花立(はなたて)
花を挿すための小さな花瓶のような仏具で、1つもしくは2つ(一対)置きます。花によって私たちの心を清らかにする意味と、ご先祖様に楽しんでいただくという意味があります。朝のお供えのときに、お花や水を替えます。

・茶湯器(ちゃとうき)
水やお茶をお供えするためのもので、蓋の付いた湯呑のような仏具です。お勤め前に水を入れ替えます。ただ、浄土真宗では、「浄土には八功徳水という八つの功徳を供えた水があるため、現世の水を供えない」とされているため、浄土真宗では使わない仏具です。

・燭台(しょくだい)
蝋燭を立てるための台で、1つもしくは2つ(一対)を置きます。
朝、お水や仏飯を供えた後に蝋燭に火を灯し、お勤めが終わったら火を消します。火を消すときは、口で吹き消すのではなく手や蝋燭消しを使って消します。

・香炉(こうろ)
灰を入れておいて、線香を立てるための仏具です。香りや煙が心身を浄化すると言われています。朝のお供えの一番最後に線香をお供えし、燃え尽きるまでそのままにしておきます。

・仏飯器(ぶっぱんき)
ご飯をお供えするための仏具です。同じものを食べることで、仏様やご先祖様とつながるという意味があります。朝や夕方、炊き立てのご飯の一膳目を供えます。朝は午前中のうちにご飯を下げ、夕方もご飯が固くなる前に下げ、いずれも下げたごはんは頂きましょう。

・高坏(たかつき)
お菓子や果物などをお供えするときに乗せる仏具です。故人の好きだったお菓子や頂き物を供えます。お菓子は日持ちするものや個包装されているものがおすすめです。また、お供えしたものは必ず頂きましょう。

必ず必要な仏具

通常の仏具は全部揃えるとけっこうな数になりますので、小さめの仏壇を選ぶと全部おさまらないこともあります。仏具は必ず全部揃える必要はありませんので、小さめの仏壇を置いたり手元供養をしたりする場合は、仏具を選択しましょう。ただし、仏具の中には必ず揃えなければならないものがあります。

・三具足
三具足とは、仏式のお祈りのときに必ず必要な三つの道具、という意味です。その三つの道具とは、燭台・花立・香炉、の三つです。

・五具足
三具足のうち、燭台と花立を一対で揃えると五具足となります。香炉1個・燭台2個・花立2個で、合計5個になるためです。

ほかに、六点セットで仏具を販売している仏壇店が多いようです。
この六点とは、燭台1個・花立1個・香炉・仏飯器・茶湯器・線香立て、の六点です。つまり三具足に線香立てと仏飯器と茶湯器を加えたセットで、ご飯とお茶のお供えができるようになっています。小さな仏壇を置いたり手元供養をしたりする場合は、どの仏具を選ぶか仏壇店や菩提寺に相談するといいでしょう。

ここで注意したいポイントですが、仏具セットのなかに位牌は含まれません。位牌は個別に揃えるのが基本で、位牌は葬儀が終わったらすぐに仏壇・仏具店に注文をします。葬儀のときに渡される白木の位牌には戒名や没年月日など、必要なことがすべて記載されていますので、それをそのまま持ってお店に行くと良いでしょう。

まとめ

今は様々なタイプの仏壇があります。また、あえて仏壇を置かずに供養をする人も増えてきてます。仏壇に関しては値段や大きさではなく、お参りをする気持ちが大切ですので、気負いすぎずに仏壇を選んでお参りをしましょう。

コンパクトな仏壇にしたり、仏具を省いたりすると良くないのかなと思いがちですが、そんなことはありません。大きな仏壇を構えることももちろん良いことですが、大切なのはお参りをしたいというその気持ちです。写真とお供えだけでも心を込めてお参りをすればそれは立派な仏壇です。自分のお参りしやすいスタイルで仏壇を選びましょう。

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