骨壺とは?
骨壺とはその名の通り、火葬が終わった後の遺骨を納めるための壺のことを言います。骨壺のサイズの単位は「寸」で、骨壺の円柱の直径を指しています。
サイズとしては2寸~8寸、尺寸があります。一寸は約3.3センチなので、3寸だと直径は約9.1センチということになります。
また、骨壺は1個2個とは数えず、「口(こう)」と言い、1口2口と数えます。
骨壺をどのサイズにするかは、遺骨を入れる量にもよりますし、また地域によっても違っていきます。目安としては、2~4寸は分骨して少量入れて手元供養をするとき、5~7寸はお墓や納骨堂に納めるとき用、8寸と尺寸は複数の方の納骨用です。
西日本で分骨が一般的な地域では2~5寸の骨壺を使うことが多く、東日本では全部の遺骨を納めることが多いため7寸の骨壺を使ことが多いと言われています。
骨壺にいれたお骨は、四十九日が過ぎてからお墓や納骨堂に納骨します。ただ、納骨する場所によって骨壺の大きさや形が限られることがあります。特に納骨堂の場合は、ロッカータイプや棚タイプなど様々な形状があり、大きい骨壺だと納まらない場合があるからです。そのため、どんな骨壺を選ぶといいのか、事前に納骨堂や霊園などに確認をすると良いでしょう。
骨壺の素材
骨壺は大切な遺骨を納めるための壺ですので、素材や構造もとても気をつけて作られています。火葬した後の遺骨はまだ熱いため、熱に強い陶器や磁器で作られているのが一般的です。陶器や磁器は湿気の多いお墓に納めても長い時間耐えることができるという特徴もあります。
また、骨壺は故人の遺骨を長時間納めておくためのものですので、耐久性・防湿性・密閉性が重視されています。遺骨は湿気に弱く、湿度が高いところに置いておくとカビが生える可能性が高いからです。
骨壺は蓋を閉めるだけでは湿気を防ぐことができないので、少し特殊な構造になっています。蓋の端が内側に入りこんでいるタイプ(白並タイプ)、蓋の端が骨壺本体に覆いかぶさっているタイプ(切立タイプ)があり、湿気がたまりにくくておすすめなのは切立タイプです。
骨壺は供養の方法によっても素材や構造を変えることがあります。骨壺を土に埋めて墓石の代わりにシンボルとなる木を植える樹木葬の場合は、土に還る原料を使って骨壺を作ることになります。植物や貝殻など生物由来の資源を再利用した素材を使ったり、土や粘土を使います。
新しい骨壺やメモリアルジュエリー
一般的な骨壺の他に最近増えているのが、手元供養に使うための骨壺です。手元供養とは、遺骨の一部を取り分けて手元供養のための骨壺に納めて、自宅で保管して供養をすることを言います。また、「メモリアルジュエリー」といって、遺骨を入れて身に着けることができるアクセサリーもあります。
遺骨の一部を取り分けることを「分骨」と言いますが、「故人をいつも身近に感じたい」「お墓やお寺が遠くてお墓参りが大変」といった理由から、分骨を希望する人も増えています。分骨をすることで「故人の体がバラバラになるのではないか」「故人が生まれ変わるときに五体満足にならないのではないか」と思われがちです。これは、仏教では輪廻転生の考えが根強いためですが、これはあくまでも迷信です。実際は、四十九日で故人の魂は遺骨から離れると言われています。
分骨の手順と手続き
分骨には火葬後すぐに分骨を行う場合と、すでにお墓や納骨堂に納められている遺骨を分骨する場合との2パターンがあります。
まずは最も基本的な手順について解説していきます。
必要な数の骨壺を用意する
納骨用の骨壺の他に手元供養をするための骨壺を、必要な数だけ用意します。
火葬場に火葬証明書を発行してもらう
分骨に関しては、法律で「この遺骨は分骨されたものである」という内容の書類を発行・提示する必要があるとしています。
また、分骨を受け入れる側も証明書がない場合は許可することができません。
そのため、まずは火葬場の管理会社などに申請して火葬証明書を発行してもらいましょう。
遺骨を拾い骨壺に納める
火葬後に残ったお骨を、納骨用の骨壺と手元供養用の骨壺とに分けて入れます。
納骨されている遺骨を分骨する場合
すでにお墓や納骨堂に納骨されている遺骨から一部を取り分けるときは、下記を参考にしてください。
お墓や納骨堂の管理者に分骨証明書を発行してもらう
分骨証明書とは「この遺骨は分骨されたものである」という内容を証明する書類です。
分骨した遺骨を別の場所に納骨する場合は、この書類を新しい納骨先に提出しないと納骨ができないので必ず発行してもらいましょう。
発行にかかる費用や期間はそれぞれで異なるので、ある程度余裕を持って用意するようにしましょう。
閉眼供養(へいがんくよう)をする
閉眼供養とは、「仏様の魂を抜き取る」「仏様の目を閉じる」という意味の供養で、お墓や仏壇を移動するときなどに行われる供養です。
手元供養のための骨壺
手元供養ではコンパクトなミニ仏壇に骨壺を置いて供養をしたり、骨壺と写真の前に仏具を置いて供養したりすることが多いため、デザイン性の高いものがたくさん出ています。金属製やガラス製、陶器など素材もさまざまです。遺骨は湿気に弱いので、蓋がネジ式になっているタイプだとより安心です。木製の骨壺だと自分が亡くなったときに、棺の中にいっしょに入れることができます。
手元供養をするときにはミニ仏壇を置く場合もあります。必要な仏具を選んで自分の好きなようにレイアウトできるタイプのミニ仏壇もあります。仏具と骨壺を一緒に販売している仏壇店に行けば、トータルで揃えることができるでしょう。
また、気に入った骨壺を中心にテイストを合わせた仏具を置いて供養をするのもおすすめです。たとえば、クリスタルのフォトフレームに写真を入れて、色や雰囲気の合うガラス製の骨壺を置くととても素敵です。このように、素材や色などを揃えると統一感が出てまとまります。
遺骨を身に着けるメモリアルジュエリー
メモリアルジュエリーは、ネックレスのチャームや指輪の裏側などにポケットが付いていて、そこに遺骨を少し入れることができるようになっています。デザインは普通のアクセサリーと変わらないので、毎日身に着けても違和感はありません。故人をいつも身近に感じられるため、人気が高まっています。
メモリアルジュエリーは壺の形はしているわけではありませんが、遺骨を納めることができるため、骨壺に分類されることも多いアイテムです。
手元供養をするときの注意
分骨した遺骨を手元供養として自宅に保管するときには注意したいことがいくつかあります。まずは、家族や親戚の同意を得るということです。いくら大切な人の遺骨でも、そばに置くことに抵抗を感じる家族もいるかもしれません。自分だけの気持で手元供養をするのではなく、同居する家族や他の親族と話し合って決めるようにしましょう。
自分に何かあったときに、分骨した遺骨をどうするかも決めておかなければいけません。自分の死後に、知らない遺骨の入った骨壺が出てきたら遺族はきっと困ってしまいます。事前にしっかりと決めて家族にも伝えておきましょう。多くの場合は、自分の遺骨といっしょに骨壺に納めるか、お墓や納骨堂に納めた本人の骨壺に入れる方法がとられています。
生前に自分の遺骨を分骨して手元供養をしてほしいと希望しているときも、管理が難しくなった時にどうしたらいいかということも伝えておきましょう。
まとめ
お墓や納骨堂に納骨するときに入れる骨壺の他に、最近では手元供養をするための骨壺を選ぶ人が増えています。手元供養のための骨壺は様々な素材で作られていて、デザインや形も様々です。また、メモリアルジュエリーに加工して、遺骨を身に着けるという方法も人気が高まっています。