はじめに
少子高齢化が進み、私たちにとってより身近になりつつある介護。今後体に変化があった際にどのような介護をしてほしいか考えたり、ご家族の介護対応に悩んだりしている方も多いと思います。
そこで本記事では、介護保険で受けられるサービスのひとつである「デイサービス」の利用までの流れ、デイサービスを提供する施設の探し方について解説していきます。
デイサービスとは?
デイサービスは通所介護とも言い、自宅から通うタイプの介護サービスです。
施設に入所することなく日帰りで受けられる手軽さで人気があります。利用者自身は他の通所者やスタッフと交流ができ、機能訓練やレクリエーションなどのプログラムをこなすことで心身を健全な状態に保つことができます。
また介護を担っている家族にとっても、デイサービス利用者が一定時間家を留守にすることで休憩したり他の用事を済ませたりするなどのリフレッシュタイムにつながります。家族の介護の負担を軽減することができるのもデイサービスの特徴です。
要介護認定の申請手順
65歳になると、市町村から介護保険の加入者であることを証明する「介護保険被保険者証」が郵送で交付されますが、この被保険者証の提示だけでデイサービスの利用ができるのではありません。
市町村に要介護認定の申請を行い、どの程度の支援や介護が必要かを判定してもらう必要があります。
市町村の窓口で申請
申請は市町村の窓口で行います。自治体により介護保険課、高齢者支援課など窓口の名称が違いますので確認してください。申請書の記入は本人、または家族が行いますが、地域包括支援センター、指定居宅介護支援事業者、介護保険施設の職員に代行してもらうことも可能です。
申請時には以下の書類を用意します。
- ①申請書
- ②介護保険被保険者証、40~64歳で特定疾病の場合は健康保険被保険者証
- ③主治医の情報がわかるもの(診察券など)
- ④マイナンバー(個人番号カード、通知カード)
- ⑤提出代行者は印鑑、委任状、身元確認ができるもの
訪問調査
デイサービス利用のために要介護認定の申請を行うと、市町村の認定調査員が申請者の日常生活や心身の状態に関する調査を行います。調査は自宅に訪問して行われることが多いのですが、入院中に申請を出した場合は入院先の病院で行う場合もあります。
調査内容は、大きく分けて次の3つです。
- ①概況調査(氏名、性別、生年月日、住所、連絡先の基本情報など)
- ②基本調査(麻痺や拘縮の有無、歩行や立ち上がりの身体機能、食事摂取や排泄などの生活機能)
- ③特記事項(上記項目に当てはまらないこと、調査員が選択に迷う状況、追加記入が必要な状況など)
主治医の意見書
申請を受けた市町村は、申請書の主治医欄に記入された医師に、主治医意見書の作成を依頼します。
作成するのは申請者の現在の状況をよく知っている、かかりつけ医が適任です。かかりつけ医がいない場合は、市町村が紹介する医師の診断を受けて作成してもらいましょう。
コンピューターと審査会による審議
次に、コンピューターと審査会によって、介護認定を行うか否かの審議を実施します。
まず、調査員による認定調査と主治医意見書の結果をコンピューターに入力、分析し、仮の要介護度を算出。コンピューター審議は、客観的かつ公平な判断のために導入されています。
そして、一次判定の結果をもとに、市町村の介護認定審査会が、介護認定の有無を決定。介護認定審査会は保健、医療、福祉に関する学識経験者で構成されています。
認定結果の通知
原則、申請から30日以内に、市町村から要介護認定通知が届きます。認定結果は以下の非該当、要支援1~2、要介護1~5の7区分のいずれかになります。
非該当:介護保険のサービスは受けられませんが、市町村で行う地域支援事業によるサービスを利用できます。
要支援1~2:介護予防サービスを利用できます。
要介護1~5:介護サービスを利用できます。
ケアマネジャーの選定
デイサービスを含む介護サービスを受けるためには、「介護サービス計画(ケアプラン)」を自治体に提出する必要があります。このケアプランの作成に携わるのがケアマネジャーです。
ケアマネジャーの正式名称は「介護支援専門員」で、介護保険サービスの利用を円滑にするための支援を行う専門員としてサポートしてくれます。
ケアマネジャーは介護サービスを利用する際に、さまざまな相談をする方なので、長期的にお付き合いすることが多いです。そのため、「話しやすくて信頼できると印象を持てる方にお願いすることをおすすめします。
ケアマネジャーの紹介は、市町村の介護保険課や地域包括支援センターで行っています。
デイサービス先を決める時のポイント
要介護認定の申請が完了し、デイサービスに通う準備が整いました。ここからは、具体的なデイサービス先を決める際のポイントを解説していきます。
本人の希望
「仲の良い近所の人や友だちが通っているから一緒に行きたい」という施設があれば候補に入れてあげましょう。また利用しようとしている本人が、様々な場所で情報収集をしていることもあるでしょう。地域の人や友人、知人の評判も参考にしてください。
ケアマネージャーに相談
ケアマネージャーはデイサービスを提供する事業所の特徴をよく知っていますので、ぜひ相談してみてください。
人気の施設は空きがない場合もありますし、曜日によっても空き状況が違ってきます。施設の情報についてはケアマネージャーが詳しく、利用者が疑問に思った様々な問い合わせもしてもらえるので活用しましょう。
自宅からの距離を考慮する
デイサービスでは、原則として施設の車で利用者を送迎しますが、数人が乗り合わせる車両を使っている施設が多いです。そのため、何件かの利用者の家を回る送迎ルートになっていることがほとんどです。
施設が遠すぎると送迎にかかる時間も長くなり、高齢者の身体に負担になるので、距離はしっかり考慮しましょう。
見学や一日体験のチェックポイント
利用者本人や家族、ケアマネージャーとで話し合い、ある程度の施設を絞り込んだら、実際に見学をしたり体験利用をしたりすることをお勧めします。
デイサービスで提供する、すべてのプログラムを丸一日体験することが理想です。見学の際には、以下の点をチェックしてみましょう。
・利用者の表情や雰囲気
・スタッフの対応
・レクリエーションの内容
・施設の環境
・お食事
利用者の方とスタッフが良好な関係を築いて楽しくレクリエーションをしているか、施設の綺麗さやお食事の味なども大切なチェックポイントです。
まとめ
デイサービスは、介護が必要な人とその家族の生活を豊かにするものです。適切に利用するために、まずは要介護認定の申請を行いましょう。
そして、デイサービスを利用する本人としっかり話し合い希望を考慮したうえで、見学や1日体験に行ってみてください。