ハワイでの海洋散骨
バカンスの定番スポットであるハワイですが、近年は海洋散骨の場所としても注目されています。
ハワイの先住民族には遺骨を海に還す習わしがあり、古来より海洋散骨が行われてきました。海に遺骨を還し、海から魚や貝などを取り入れて生活することが究極のサイクルであると信じられてきたためです。
「故人が好きだった場所に散骨したい」「故人との思い出の場所で最後の時間を過ごしたい」など、それぞれの理由でハワイでの散骨が選ばれています。
日本から7時間ほどとアクセス面も悪くなく、遺族にとっても看病や葬儀後の混乱からリフレッシュできるというのも魅力のようです。
海洋散骨について
近年、最後に自然に還ることを希望する方が増え、自然葬の人気が高まっています。なかでも注目されるのが、海に遺骨を撒くことで供養とする海洋散骨です。
散骨は一般的なお墓と異なり継承を前提とした供養ではないため、とくにお墓の継承者がいない方からの関心を集めています。また、お墓の管理や墓参りの苦労を子孫に残したくないといった希望を持つ方からも選ばれています。
散骨の注意点として、すべての遺骨を撒いてしまうと、その後の供養の対象がなくなることが挙げられます。散骨の際は遺骨の一部を残し、手元供養を行うのも一般的です。遺骨でアクセサリーを作る、デザイン性の高い骨壺で自宅に安置するなど、選択肢も豊富です。
ハワイでの海洋散骨にかかる費用
ハワイでの海洋散骨にかかる費用は、手配する会社によって異なります。多くの場合は散ツアーに参加することになります。ツアー費用は10~40万円ほどとなっています。
一般的な海洋散骨ツアーのプランは、以下のような内容が含まれます。
・ホテルから港までの送迎
・クルーザー手配代行(チャーターまたは乗り合い)
・海洋自然葬実施証明書の発行
・記念スナップ写真
・供花
・クルーザー上での音楽演奏
・牧師の手配
・通訳サービス
また、遺骨の粉砕や、水溶性の紙袋への袋詰めなどを請け負う業者もあります。ツアーにこれらのサービスが含まれていない場合、別途3万円ほど支払い、遺骨の粉砕などを行うことになります。
さらに、渡航費と宿泊費も計算しておく必要があります。これらは早めに手配することで、費用を若干抑えられるでしょう。ハワイへの航空券や宿泊施設は、お正月やゴールデンウィーク、お盆などの大型連休で高額になります。散骨業者も混みあい、予約が取りにくくなることもるため注意しましょう。
同行する人数にもよりますが、高額なプランやオプションを選ばなければ、ハワイでの散骨は総額50万円ほどで実施できます。
散骨代行業者への依頼
「コストを削りたい」「体力的に自ら出向くことが困難」といった場合、散骨代行業者を利用する方法もあります。散骨代行は委託料のみで済むため、10万円程度で実施できます。
業者に遺骨を郵送すれば、散骨完了後に散骨実施証明書が届きます。どのあたりに散骨したかもわかるようになっているので、後々に自分も同じ場所に散骨してほしいという要望にも対応できるでしょう。
なお、散骨代行を依頼する場合、他の方との合同散骨となります。
法律や手続きについて
アメリカには散骨を規制する法令はありませんが、「連邦水質汚染防止法」という法律により、散骨は海岸から約5キロ以上離れた沖合で撒かなくてはいけません。ビーチでの散骨はできないため、ある程度沖合に出るための船もしくはヘリコプターのチャーターが必要です。
飛行機内への遺骨の持ち込みについても、ハワイであればそれほど難しくなく、遺体火葬(埋葬)許可証さえ持っていけば問題ありません。
また、海洋散骨後には報告義務が課されます。散骨後30日以内にアメリカ合衆国環境保護庁に、散骨を行った旨を報告しなければなりません。
粉骨や船の手配、通訳などを考えると、信頼できる散骨業者に一括して依頼して、ツアーに参加するほうが安心でしょう。日本語の通じる散骨業者も多数あるので比較・検討の上で決定しましょう。
ハワイでの散骨にあたってのポイント
その他、実際にハワイで海洋散骨を行ううえでのポイントを解説します。
どの島を選ぶか
ハワイにはさまざまな島がありますが、観光でもメジャーな場所であるオアフ島やマウイ島、ハワイ島が散骨の候補として適当でしょう。
オアフ島はサンゴ礁とウミガメの楽園として有名で、ワイキキビーチやダイヤモンドヘッドがある島です。
マウイ島は渓谷や休火山などありのままの自然が残り、都会らしさもあります。
ハワイ島はハワイ諸島で一番大きな島で、豊かな自然とローカル感を味わえます。
散骨時の服装
散骨時の服装は、動きやすい服装が無難でしょう。ハワイの気候で喪服は負担も大きいため、ラフな服装のほうがよいでしょう。ちなみに、ハワイの正装はアロハシャツやムームーです。
散骨時の注意点
遺骨はパウダー状にしてから、水溶性の紙袋に入れます。これはクルーザーの上は強風であることから、遺骨が散らないようにする配慮でもあります。
また、献花や供物は、ビニールやプラスチックなどの海を汚す装飾を全て外したうえで少量を撒きます。
まとめ
日本人にとっても馴染みの深い場所であるハワイ。近年では散骨の場としても、注目を集めています。
散骨を検討する際は「何人で現地へ行くか」「船は貸し切りか、乗合か」「オプションサービスはどうするか」などを家族で話し合って方針を決めましょう。そのうえで、条件にマッチした業者を探し、悔いのない供養を行ってください。