知っておきたい認知症予防の基礎知識

健康

認知症とは

認知症は、一度正常に達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態のことを指します。

また認知症は、脳の変性疾患や脳血管障害によって引き起こされたものです。認知症自体がひとつの病気というわけではではないということがポイントになります。

認知症と通常のもの忘れの違い

認知症の主な症状としてもの忘れがありますが、健常な人にも、もの忘れは起こります。通常のもの忘れと、認知症のもの忘れの違いには、以下のような点があります。

通常のもの忘れ

「今朝何を食べたかを忘れた」、「会った人の名前が思い出せない」など部分的な内容を思い出せないことが多く、日常生活に支障をきたすことはありません。

通常のもの忘れでは、忘れたことには気づき思い出そうとします。また、新しいことを覚えられます。

認知症のもの忘れ

「買い物で出かけたが帰りの道がわからなくなった」、「ご飯を食べたこと自体を忘れる」など、日常生活に支障をきたすような内容や、出来事そのものを忘れてしまいます。

認知症のもの忘れでは、もの忘れ自体に気づきません。また、新しいことが覚えられません。

認知症の種類

認知症では、脳の変性疾患であるアルツハイマー型認知症が一番多く、その他、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって起こる脳血管性認知症などがあります。また、65歳未満で発症すると若年性認知症と言われます。

それぞれの特徴を見ていきましょう。

アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症とは、進行性の脳の病気で、現在の治療では治癒することができません。記憶や思考能力がゆっくり低下していきます。全認知症の約半数がアルツハイマー型認知症です。

中心となる症状の代表は記憶障害です。最近のことが覚えられず、同じことを何度も聞いたりします。また、今日がいつかという時間の観念が薄れる、今どこにいるのかがわからなくなる(見当識障害)、順序立てた料理などの作業ができない(遂行機能障害)などがあります。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症とは、脳の神経細胞が原因不明に減少する病態です。アルツハイマー型認知症についで多い病気で、高齢者の認知症の約20%を占めています。

症状としては記憶障害、動作が遅くなり転びやすくなる、幻視などです。また、場所や状況の把握が難しくなり、会話の理解力も低くなる傾向があります

前頭側頭型認知症

前頭側頭型認知症とは、脳の一部である前頭葉や側頭葉前方の委縮がみられ、脳の神経細胞が徐々に減って発症することがわかっています。

また万引きなどの軽犯罪を犯す、身だしなみに無頓着になるなど、社会性が欠如するケースも。相手に対して遠慮ができない、相手に対して暴力をふるうなど、自分に対して抑制が効かなくなる場合もあります。

認知症の原因

高齢期に認知機能の低下を引き起こす原因は、老化現象、身体や脳の機能を使わないことによる機能低下、および疾患によるものに分けることができます。これらに加えて、さまざまな生活習慣病が脳の変化、低下にも関わっています。

疾患によるものでは、糖尿病、高血圧、脂質異常症などは、脳の血流に影響を与え、認知症を発症するリスクが高いです。

認知症予防5つのキーワード

認知症にならないために、生活習慣の中から危険因子を少しでも減らし、予防につなげていくことが大切です。認知症予防では、5つのキーワードがあります。5つのキーワードとは、知的活動・運動・コミュニケーション・食事・睡眠です。

知的活動

考え、読み書き、計算などを行うことです。受動的にテレビを見るだけでなく、能動的に新聞を読む方が良いでしょう。クイズやパズル、ゲームやマージャンも良いです。

感性の刺激では、楽器を演奏したり、絵を描いたりという芸術関係があります。創作では、料理などが手先と頭を同時に使うので効果があると言われています。

運動

ウォーキング、ジョギング、水泳など好きなこと、継続できることをやります。時に強めにやると良いでしょう。毎日習慣化できるものが良いです。

また最近は、単純に一つの運動を行うのではなく、運動に他のトレーニングを組み合わせたものがより認知症の予防に有効であるとされています。

コミュニケーション

人とのコミュニケーションも認知症予防の一環になります。人と会うだけでなく、いつどこで待ち合わせるか?など、複数のことを考えることは脳を活性化させてくれるからです。

本記事を読んでいる方の中には、コミュニケーションが苦手というかもいるかもしれません。その場合、ご家族や気の知れた友人など、自分にとって無理のない範囲でコミュニケーションを取るように心掛けてみましょう。

食事

認知症を予防する食事のポイントは、高血圧、高脂血症、肥満、糖尿病などのメタボリックシンドロームを予防することです。食事として日本食が比較的適していると言われています。

また、血中コレステロールや中性脂肪を低下させる働きがあるレシチンを多く含む大豆や、血栓の主成分フィブリンを溶かす働きをもつナットウキナーゼを含む納豆なども良いでしょう。

睡眠

睡眠不足は脳に有害なたんぱく質が溜まるのを促すとの最近の研究があります。

認知症予防のためには十分な睡眠をとり、日中に短時間の昼寝をすることが良いとされるようになってきています。

まとめ

認知症とは、脳の変性疾患や脳血管障害によって脳の機能が持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態を指します。

認知症予防では、知的活動、運動、コミュニケーション、食事、睡眠の5つの方法が有効です。特に知的活動は脳トレと言われ、ドリルやソフトも開発されています。ゲームや日常の新聞を読むなどの生活の中で、飽きずに継続してできるものをやることが重要です。また、運動では、散歩やウォーキングなど毎日習慣づけて行えるものが良いでしょう。

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