知っておきたいグループホームの基礎知識

介護

超高齢化に伴い、認知症と診断されている方が増加傾向にある日本。平成29年高齢社会白書によると、2025年には人口の約20%、5人に1人が認知症になると推測されています。
また今後も認知症患者数は増加されると予想されています。
そこで本記事では、認知症のケアに特化した介護施設「グループホーム」について、基本的な知識を紹介。認知症のケアについて知りたい方、介護施設の基礎知識を身につけたい方は、ぜひ参考にしてください。

グループホームとは?

グループホームとは、認知症のケアに特化した介護施設です。

ユニット型と呼ばれる少人数制での生活基盤を採用しており、1ユニットは5~9名の高齢者で構成。入居者一人ひとりに個室が与えられているため、プライベートな生活が確保されています。
その一方で、日中は共同スペースで各利用者同士が交流を図れるようになっていて、レクリエーションも充実しています。

認知症知識のある介護スタッフにより24時間体制でケアを実施しますが、食事の支度や清掃といった家事全般は、基本的に職員のサポートにより入居者同士が力を合わせて行うのが基本です。

なぜなら、認知症の進行を遅らせる作業療法として、作業すること自体に意味があるからです。可能な範囲で作業は入居者同士でコミュニケーションをとりながら共同でしてもらい、脳の活性化を図ります。

グループホームの入居条件

グループホームの入居条件には次のようなものがあります。

・65歳以上の高齢者で、要支援2または要介護1以上の認定を受けている人
・65歳未満の若年性認知症、初老期認知症と診断された、要支援2または要介護1以上の認定を受けている人
・医師により認知症の診断を受けた人
・施設と同じ市区町村に住民票がある人
・その他、集団生活に支障のない人(身の回りのことができる、感染症にかかっていない、共同生活に適応できるなどを施設によって設定)

グループホームで発生する費用

グループホームに入居して生活する際には、主に次のような費用が発生します。

初期費用

初期費用とは保証金や入居金などです。金額は施設によって異なり、0円から最大100万円程です。いわゆる敷金のようなものなので、退去するときに償却額を除き返金されます。償却額は、入居期間や償却規定により施設により相違があります。

月額費用

月額費用はおおよそ15万円~20万円程度で、内訳として家賃や管理費などの居住費、食費、水光熱費、介護サービス費などが挙げられます。このほか、おむつ代や散髪代などは別途負担することになります。

費用は、土地や建物代、食事内容、介護体制などで施設による違いがあります。また、介護度によって介護保険のサービス費が変わります。

グループホームのメリット

グループホームへの入居を検討する場合、メリットとデメリットを正しく把握しておく必要があります。まずは、メリットから確認していきましょう。

認知症の進行抑制につながりやすい

グループホームでは、共同生活を通してメリハリのある日々を過ごせるため、認知症の進行抑制が見込めます。

規則正しいリズムで生活を送り、また料理や洗濯、掃除などをスタッフや他のご入居者様と協力して行うのは、ご入居者様の自立にもつながります。

少人数制なのでスタッフの目が行き届きやすい

グループホームは1ユニット5~9名、原則最大2ユニットまでと義務付けられているため、少人数の施設となっています。そのため、ご入居者様とスタッフの距離が近く、目が行き届きやすいので安心です。
また認知症の方にとっては、大人数の空間はストレスになりがちです。けれども、グループホームであればスタッフと少人数のご入居者様の空間なので、負荷をかけずに済みます。

慣れ親しんだ地域で生活ができる

グループホームの入居条件には、グループホームの所在地と同じ地域の住民票があることが条件とされています。そのため、基本的には現在お住まいの地域から施設を探すため、慣れ親しんだ地域で生活することが多いです。

慣れ親しんだ地域で生活できるため、引っ越しに伴う環境の変化やストレスに悩まされる可能性が低くなります。

グループホームのデメリット

次に、グループホームのデメリットについてもお伝えします。主なデメリットはこちら。

・医療ケアに特化していないケースも多い
・自立が困難になると退去しなければならない場合もある
・地域によっては入居までに時間が掛かる場合も

グループホームでは、看護師の配置が義務付けられていないため、医療ケアには特化してないケースもあります。

またグループホームでは、基本的に自立して集団生活を送れる状態であることが求められます。そのため医療ケアが必要になった場合は、他の介護施設もしくは病院への移らなければならない場合も。

そしてグループホームは定員が少ないことから空きがなく、即入居ができない場合もあることを覚えておきましょう。

グループホーム入居までの流れ

入居までの流れは、下記の通りです。

グループホームを探す

ケアマネジャーなどの紹介があれば検討します。施設探しでは、市区町村の介護資料や直接の問い合わせ、インターネットでの介護施設の検索サイトを利用し探します。

空き状況の確認

空き状況がない施設が多くあります。空きがない場合は待機人数を確認します。空き状況があるところや待機人数が少ないところを絞り込みます。

施設見学

候補が決まったら、実際にグループホームを見学してみましょう。また施設によっては、体験入居も受け付けているので、実際にグループホームで1日生活してみるのもおすすめです。

契約

料金プラン、緊急時の体制、退去要件、入居時必要書類などを確認します。必要書類は、申請書、収入や資産を証明する書類、健康診断書などです。
また、認知症と診断されていることが入居条件になるため、認知症を証明できる医師の診断書も必要です。

まとめ

グループホームは認知症のケアに特化した施設です。認知症ケアの専門家が24時間体制で介護してくれるので、ご家族の安心につながります。

また共同生活を通して、ご入居者様の進行抑制や自立にもつながるケースが多いです。慣れ親しんだ地域で生活できるのもメリットのため、ご入居者様とご家族、それぞれ安心しやすいのもグループホームの魅力と言えるでしょう。

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