都会は便利で楽しいところ
都会は便利で楽しいところですが、スピードに疲れを感じることもあります。
今、「定年退職したら、田舎でのんびりしたい」と考える人が増えてきています。
若い世代だけではなく、シニア世代にも増えている田舎への移住ですが、実際に移住するときには気をつけなければいけないポイントもいくつかあります。
そこで、田舎暮らしのメリットやデメリットも合わせて、田舎暮らしについて説明したいと思います。
憧れの田舎暮らし そもそも田舎って?
「田舎」は、「都会」の対義語とされています。
一般的には自然の多い地域を「田舎」といいますが、一口に田舎といっても、地域によって特性はさまざまです。
日本海側と太平洋側、北海道と沖縄では気候も風土もまったく違います。
冬の日本海側は、雪や雨が多く、寒くて湿度が高いですが、太平洋側は、冬でも雪は少なく乾燥しがちです。
北海道は、雪がたくさん降る寒い地域ですが台風被害は少なく、沖縄は、雪はあまり降りませんが台風被害に遭いやすい地域です。
田舎に移住するといっても、気候によって生活が大きく左右されるので、老後に移住する場合は移住先の選定がとても大切です。
田舎暮らしのメリットとデメリット
実際に、田舎に住むメリットとデメリットについて書いてみます。
メリット
最初に、田舎に住むメリットを挙げてみます。
自然が多い。
田舎暮らしの最大のメリットは、なんといっても自然が多いことです。
きれいな空気や広大な山、たくさんの植物など、田舎には自然がたくさんあります。
実際、自然を感じるとストレスホルモンが減少するともおわれています。
私の住む田舎には、窓の外にいくつもの山が見えますし、少し車を走らせると海に着きます。
夜になると車の音はあまり聞こえなくなり、雨の日にはカエルの鳴き声に包まれながら眠ります。
自然いっぱいで、たしかに景色や匂いで癒されている部分はたくさんあります。
自然の多い田舎では、自分で畑を持つこともできますので、自分で野菜を育てて収穫することもできます。
家に関する費用が安い。
とりたてて物価が安いわけではありませんが、住居に関する費用が格段に安いのが田舎です。
賃貸物件の家賃も安いですし、家を建てるための土地代も、都会とは比べ物にならないぐらい安いのです。
田舎に移住するときに、まず準備するのは住むところですし、いちばんお金がかかるのも住むところです。
その費用が安く抑えられるのは、田舎ならではのメリットです。
人間関係が濃い
都会と比べると、田舎では「隣の人が何をしているか全然わからない」ということはあまりありません。
田舎では、町内会やその地域での老人会などの活動が盛んなので、地域の人を訪ねたり、一緒に何かする機会がとても多いのです。
また、自分の畑を持っている人も多く、収穫時期には近所の人に野菜をお裾分けしたりもします。
そのお裾分けを通じて仲良くなったりもします。
田舎で寂しいと感じたり、孤立したりするといった不安はあまりないでしょう。
デメリット
次に、田舎に住むデメリットを挙げてみます。
車が必需品の地域が多い。
田舎は、都会と比べて交通の便があまり良くありません。
バスと電車の連絡が悪かったり、そもそも最寄りの駅までが遠かったりもするため、公共交通の使い勝手はいいとはいえないでしょう。
また、病院や買い物に行くためのお店が遠いこともあり、田舎では自家用車は必需品です。
田舎では、車がないと行動範囲が極端に狭くなることがあります。
車は、まず買うときにお金がかかりますが、維持するためにもお金がかかります。
ガソリン代や車検代、地域によってはスノータイヤを買う必要もあります。
もし、現在車を持っているとしても、高齢になってきたら、いずれは運転免許証を返納することになるでしょう。
田舎でそうなったら、自分の子供に病院まで送迎してもらったり、その都度タクシーで移動したりします。
どこかへ行きたいときに気軽に頼める相手がいなかったり、毎回タクシーを使うお金が無かったりすると、田舎では通院もままならないこともあるのです。
都会のように、電車でどこでも行けるというわけではないということ、免許証を返納したら不便になるのが田舎です。
医療や介護の設備が充実していない。
地域によっては、病院や介護施設が充実していないこともあります。
何かあったときに、大きな病院に搬送するのに時間がかかったり、普段の通院でも、遠くまで行かなければならなかったりもします。
また、介護についても、望むサービスを受けられない可能性もあります。
持病を持っている場合や、将来の介護に関して不安を持っている場合は、移住する先を慎重に選ぶ必要があるでしょう。
人間関係が濃い。
田舎の人間関係が濃いのは、メリットでもあり、デメリットでもあります。
嫌でも町内会の活動に参加しなければならなかったりしますし、時に近所の目が「監視」と感じることもあります。
田舎でよく聞くのは、「車がずっと停まっているけど、今日は休み?」と声をかけられたり、「○○ちゃん、自転車に乗れるようになったか?」と言われたり、「どこの高校を受けるの?」と言われたりすることです。
正直、放っておいてほしいと思うことも詮索されたり、「よく見ているな…」と思ったりすることも多いのです。
都会の人間関係も疲れるかもしれませんが、田舎の人間関係もなかなかです。
濃すぎる人間関係が苦手な人は、田舎暮らしを窮屈だと感じることもあるかもしれません。
自治体からは、定年後の移住は歓迎されていない。
今、地方の多くの自治体が、県外からの移住者に対する支援を行なっています。
仕事、住居、子育てなど、様々な分野で自治体による支援や援助を受けることができるのです。
ただし、これは若い世代に対してのことであり、支援を受けるには年齢制限があったり、条件があったりするのです。
それは、若い世代が地方に移住し、仕事をして子供を育ててくれたら自治体が発展していくからです。
高齢者が移住してきたら、医療費や介護給付金などの出費がかさみ、若者や自治体に負担がかかるだけです。
自治体にとっては、若い世代の移住はうれしいけれど、リタイア後の高齢者の移住はあまりうれしいものではありません。
そのことは、少し自覚する必要があります。
仕事を見つけにくい。
田舎では、若者の仕事もあまりないことがあります。
シニア世代の仕事となると、もっと見つかりにくいのが現状です。
年金だけで暮らすのが難しくて、仕事を探そうとしても、希望の条件に合う仕事が見つかるとは限りません。
今まで就いたことのない仕事や、望んでいない仕事をすることになることもあるでしょう。
田舎暮らしをする前に気をつけること
最後に、田舎暮らしをする前に気をつけることについて説明します。
明確なプランを立てる。
田舎でどんな生活をしていきたいか、何を最重視するか、どんな点なら妥協できるか、など、しっかりプランを立ててから移住先を決めることが大切です。
自然は豊かだけれど、ある程度便利なところがいいのか、不便でもいいのか。
田舎に移住してからも、仕事をしたいのか、仕事はしないのか。
寒くでも大丈夫なのか、寒いのは絶対イヤなのか。
プランもなく、イメージだけで「なんとなく」移住先を選ぶと、のちのち「こんなはずじゃなかった…」と思うことが出てきます。
都会を引き払って、移住してから後悔しては遅いので、移住する前にしっかりプランを立てましょう。
しっかり情報を収集する。
田舎への移住について、ある程度のプランを立てたら、情報収集をしましょう。
住んでみたい自治体の施設や自治体ごとの特色など、生活に関わる情報をたくさん集めましょう。
実際に住むとしたら生活費としてどれくらい必要なのか、何かあったときにどうするか、など、具体的に計画を立てる上でも情報収集はとても大切です。
何度か足を運ぶ。
住んでみたい地域が見つかったら、何度もそこに足を運んでみることがおすすめです。
気候が自分に合っているのか、四季を通じて自分の肌を通してて感じることや、住んでみたい住宅地の雰囲気、病院やスーパーなどがどのくらいの距離にあるのか、などを自分の目で見ることがとても大切です。
自分の家族や友達に会いやすいかどうかも考慮する。
移住先は、息子・娘夫婦や孫、親戚や友達と行き来しやすい場所かどうかも考えながら決めましょう。
家族や友達と行き来のない老後は寂しいものです。
また、何かあったときに駆けつけにくいとなると、遠くに住む家族としては心配です。
田舎に移住するとしても、お互いに行き来がしやすい場所を選ぶと安心です。
田舎に幻想を抱きすぎないこと。
都会の生活や人間関係に疲れたときに、現実逃避として田舎暮らしを考えるのはあまり良くありません。
田舎に行くだけで疲れがすべて癒されたり、悩みがすべて解消されたりするわけではないからです。
田舎の人たちが、みな温かく接してくれるとは限りませんし、自然は時として厳しく、都市の便利な生活に慣れていると、田舎は不便です。
思い通りにならないことは、田舎にだってたくさんあります。
田舎に行ったら今の悩みやトラブルがすべて解決できるとは思わないほうがいいです。
田舎には田舎の良さがある。
田舎にはデメリットもありますが、メリットももちろんあります。
私は田舎に住んでいて、ずっとここで暮らしたいと思っています。
流行りのお店は何もありませんし、車がなければどこにも行けない、不便な田舎です。
けれど、車で少し走れば川があり山があり、反対側へ走れば海にも行けます。
私の母親は畑を持っていて、旬の野菜を年じゅう食べることができます。
子供は近所の人に見守られるように育ち、四季を通じて自然の中で遊んでいます。
子育てにいい町は、シニア世代にもいい町なのかもしれません。
まとめ
田舎への移住は、メリットもデメリットもあります。
地方によって気候や慣習が違いますので、移住先は慎重に考える必要があります。
都会の暮らしに慣れていると田舎は不便に感じることも多いでしょう。
ただ、田舎には田舎ならではの良いところもたくさんあります。
田舎でどんな生活をしたいのか、ビジョンとプランをしっかりさせて探せば、きっと理想の田舎が見つかります。