サービス付き高齢者向け住宅とは
サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)は、2011年10月に施行された「高齢者の住居の安定確保に関する法律(通称:高齢者住まい法)」の改正により創設された高齢者向け賃貸住宅です。
対象者は60歳以上の高齢者、あるいは要介護認定を受けた60歳未満の方。居室の広さや廊下幅が決められており、段差解消、バリアフリー構造などを整えるとともに、安否確認と生活相談のサービスを提供しています。
サービス付き高齢者向け住宅のサポート内容
サ高住では、以下のサポートを受けながら安心して生活を送れます。
まずは自分の希望や生活スタイルに一致しているか、しっかりと確認しましょう。
安否確認
介護スタッフやセンサー、もしくはその併用による定期的な安否確認が行われ、緊急時には提携先の病院などに連絡するシステムがとられています。
生活相談
日常生活を送るうえでのさまざまな相談に対応し、心身の状況により医療や介護サービスを受けるための相談やサポートに応じます。
以上の2点が、サ高住が提供するよう義務付けられているサービスです。
その他、入浴や排せつなどの介護の提供、洗濯・掃除などの家事供与、健康管理などの提供は住宅の任意とされています。日常生活の支援サービスを実施しているサ高住もあり、その場合は特定施設の認定を受けた介護付き有料老人ホームとほぼ同様の内容になっています。
一般型のサービス付き高齢者向け住宅
サ高住では賃貸借契約により入居し、介護が必要になった場合は入居者自身が外部の介護保険サービスと契約して利用する形が主流です。
住居形態が有料老人ホームの住宅型と似ていますが、住宅型有料老人ホームは住居と介護サービスの契約が一体になっているのに対して、サ高住では住居と介護サービスは別々の契約を結ぶことになります。
サ高住の一般型は借地借家法に基づき、賃料を支払うことで居住の権利が確保されますので、登録する事業者に対しては「長期入院を理由に事業者から一方的に契約を解除できない」「敷金、家賃、サービス対価以外の金銭を徴収しない」「前払い金に関しては入居者保護が図られていること」など、入居者を守るための基準が設けられています。
一般型のメリット
サ高住一般型のメリットは、外出や外泊、来客などに制限がないため、自由度が高い生活を送れること、一般的な賃貸アパートやマンションと同様、個室が確保できるためプライバシーが守られる点があげられます。
一般型のデメリット
入居中に要介護となり介護サービスを受ける必要が生じた際には、別途契約が必要で費用も別途発生するので注意が必要です。
また、サ高住は自立している人から軽度の要介護状態の人を対象としているため、要介護レベルが高くなった場合に、要介護度によっては住み続けることが難しくなります。
介護型のサービス付き高齢者向け住宅
サ高住の一部には有料老人ホーム同様、特定施設入居者生活介護(特定施設)の指定を受け、入浴・排せつ・食事等の介護や日常生活上必要な支援を提供している施設もあります。
その多くは施設に併設する形で介護サービス事業を行っていることから、一般型に対して「介護型」と呼ばれています
契約形態は、サ高住一般型が賃貸借契約なのに対し、介護型は有料老人ホームのように利用権契約です。入居一時金、または前払い家賃として数百万円ほど必要になることがあります。
介護型のメリット
サ高住のなかでも「特定施設」の指定を受けているサ高住介護型は、介護付き有料老人ホームと同様に、要介護度が上がったり認知症の症状が進んだりしても対応できる点が大きなメリットです。
介護サービス事業を施設内に併設もしくは隣接しているスタイルがほとんどで、入居者にとって便利な構造のため、多くの人が実際に利用しています。
介護型のデメリット
介護型の場合、基本的には生活支援や医療ケアが付随しているため、体調の変化があっても長く生活しやすいです。
一方で、高度な医療ケアが必要な場合は、病院へ転居する必要が発生する場合もあることは覚えておきましょう。
サービス付き高齢者向け住宅の選び方
ここまでのお伝えした内容を踏まえて、サ高住を選ぶ際に見ておきたい4つのポイントを紹介します。
立地・環境
サ高住を含む高齢者住宅を選ぶ際の大前提となるのが、エリアやアクセスなどの立地条件です。
最寄り駅から近くても坂が多い、渋滞が発生しやすいということもありますのでさまざまな時間帯や状況を想定しながら見学を行います。
都会、田舎、郊外など入居者本人の好みがあれば考慮します。高齢になってからの転居は、物理的にも心理的にも負担が大きくなるため、長年住んだ場所と環境的に似ている土地が望ましいでしょう。
費用
サ高住は、賃貸借契約に基づき入居するため、入居時に発生する費用に敷金や礼金、保証金が発生します。
入居後の費用として賃料、管理費・共益費、水道光熱費がかかり、その他生活費を含めて月額どれくらいになるかを計算しましょう。
またサ高住一般型の場合、要介護になった際の介護サービス費用は月額料金に含まれません。そのため、将来的に介護サービスを利用するとしたらどれくらいの金額になるのかを考慮しましょう。
運営方針
高齢者住宅や高齢者ホームの設置には自治体への届け出が義務付けられていますが、都道府県等へ事業の届け出を出しているかの確認は念のため行うのがおすすめです。
また、サ高住の運営者側は、入居者の身体状況の変化にどの程度対応するのか、事故防止の取り組みを行っているかどうかも確認し、長く住めるかどうかの判断材料にしましょう。
居室
サ高住は25㎡以上の居室面積、食堂やリビングなどの共有スペースが十分にあれば18㎡以上の居室面積が義務付けられています。居室は大切なプライベート空間なので、間取りや明るさ、設備のチェックをしっかり行いましょう。
また可能であれば体験入居をして、実際に安心して生活できそうか確認するのもおすすめです。
まとめ
サ高住は自由度が高くプライバシーも守られるため、まだ介護は必要ないけれど安否確認などのサポートをしてほしい方におすすめです。
またある程度自立している方には一般型、介護が必要な方は介護型のサ高住を選べば、日常生活のサポートや医療ケアも利用できます。
それぞれの特徴を理解して、最適な施設を選択しましょう。