楽しい終活ライフ「認知症予防のための食生活」

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認知症を予防するための食生活

まず、認知症の予防が期待できる食生活について説明します。
急にすべてを変えることは難しいので、日常生活の中で少しずつ意識して変えてみてください。

バランスの良い食事を摂る。

認知症の予防が期待できると言われている食べ物や飲み物は、いくつかあります。
それらの食材を意識的に取り入れるのはとても良いことですが、それだけを食べたり飲んだりするのは良くありません。

認知症予防に効果がある食材はいくつかありますので、それらを組み合わせながら、いろいろな食材を食べるようにしましょう。
特定のものだけを摂取すると、栄養が偏ったり様々な病気になりやすくなったりしますので、健康のためにも様々な食材を摂取することが大切です。

低糖質・低塩分を心がける。

糖尿病患者は、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の発症率が高いと言われています。
また、高血圧による動脈硬化は、脳血管性認知症のリスクを高めます。

糖質と塩分を控えめにすると、糖尿病と高血圧を防ぐとともに、間接的に認知症を予防することができます。
濃い味が好きな方は、いきなり塩分を減らすと物足りなく感じることがありますので、少しずつ減らしていくのがおすすめです。
また、生姜やニンニクなどを入れると、風味が出たり、味にパンチがきいたりしますので、薄味でもおいしく食べることができます。

低タンパク質・低栄養に注意。

肉や魚を摂らない低タンパク、特定のものばかりを食べる低栄養状態だと、認知症だけではなく多くの疾患の原因になります。
毎日3食食べていても、麺類やパンなどの炭水化物だけだったりしていると、栄養がきちんと摂れません。

パンを食べるときはオムレツとサラダを添えたり、うどんを食べるときは野菜の天ぷらとカマボコを乗せたりすると、野菜とタンパク質も一緒に摂ることができます。
パンに添えるサラダを作るのが面倒な場合は、野菜ジュースや果物ジュースに、うどんにのせる野菜の天ぷらが面倒な場合は、うどんと一緒に野菜をゆでると簡単です。

自分で食事を作る。

「食事を作る」とひとこで言っても、手順はたくさんあります。

  1. 主菜と副菜と汁物のバランスを考えて献立を決める。
  2. 材料を買いに行く。
  3. 下ごしらえをする。
  4. 調理をする。

それぞれの工程で考えながら作業を進めるため、とても頭を使います。
特に調理中は、段取りを考えながら複数の作業を同時に行うため、脳の前頭前野が活発に働き、認知症の予防につながります。

食事作りというと難しそうに感じますが、調理家電を上手に使うと意外と簡単にできるものです。
栄養の偏りを避け、生活習慣病発症のリスクを低くするためにも、身体に良い食事作りをするのはとても良いことです。

認知症のリスクを上げる食品

食品をバランスよく食べることは大切なことですが、認知症のリスクを上げると言われている食品がいくつかあります。
食材を選ぶときや、外食をするときなどは意識的に避けるようにしましょう。

認知症のリスクを上げると言われている食品は、
・肉の脂身(ラードなど)
・マーガリン
・ショートニング
・塩分の多いもの
などです。

魚を除く動物性の脂や、ショートニングやマーガリンなどのトランス脂肪酸を摂り過ぎると、血中のコレステロールが増えて動脈硬化を引き起こします。
動脈硬化が起きると脳梗塞なども発症しやすくなり、認知症発症のリスクが高まります。

ファストフードやスナック菓子などはトランス脂肪酸を多く含んでいますので、なるべく避けるようにしましょう。
菓子パンやファストフード、スーパーのお惣菜などにはトランス脂肪酸が多く含まれています。
食事の準備が面倒くさいと、毎日ファストフードやお惣菜が続かないようにしていきましょう。

これらの食品は、栄養の偏りや生活習慣病の原因にもなります。
認知症だけではなく、健康を害するリスクも高くなりますので、摂取を控えることをおすすめします。

認知症の予防が期待できる食べ物

次に、認知症の予防が期待できる食べ物や飲み物を、具体的な効果とともにご紹介します。

魚(特に青魚)

青魚にはオメガ3脂肪酸、DHA、EPAが多く含まれています。
DHAは、よく「青魚を食べると頭が良くなる」と言われている成分で、記憶力・判断力の向上や、認知症の予防に効果があります。

EPAは脳に直接作用するわけではありませんが、血管を広げて血流を良くする働きがありますので、生活習慣病の予防になります。
生活習慣病は認知症の発症率を上げますので、生活習慣病を予防することで間接的に認知症を防ぐことができるのです。

肉中心の献立ではなく、魚介類中心の献立にすることで、タンパク質と魚介類の有効成分を摂取することができます。
魚は、切り身を魚焼きグリルで焼くだけで調理できますし、鯖の缶詰めなどは、そのまま食べてもアレンジしてもおいしく食べることができます。
最近は、スーパーの鮮魚コーナーで魚を選んで好みの状態におろしてもらえたり、お刺身にしてくれたりしますので、より食事に取り入れやすくなっています。

葉酸を含む食べ物(緑黄色野菜、豆類、果実類)

緑黄色野菜では、ほうれん草・小松菜・菜の花、豆類では、納豆・枝豆・そら豆、果実類ではいちご・キウイ・オレンジに多く含まれています。

葉酸はビタミンB群の一種で、葉酸が不足すると肝臓で作られた「ホモシステイン」という悪玉アミノ酸が増えます。
ホモシステインは動脈硬化を進行させたり、アルツハイマーの原因になるアミロイドβの作用を強めたりします。

また、血中のホモシステインが増えると、認知症のほか脳血管疾患を招くことにもなります。
葉酸を摂取するとホモシステインを減らしてくれるため、認知症の予防になるのです。

緑黄色野菜だけではなく、葉物野菜や根菜類には食物繊維やビタミンが多く含まれています。
旬の野菜を食べることで、腸内環境が整ったり生活習慣病の予防になったりします。

色とりどりの葉物野菜やトマト、パプリカなどをたっぷり盛りつけたサラダや、根菜類やいも類を蒸した温野菜サラダ、小さく切った野菜を煮込んだスープなど、季節に合わせて、いろいろな食べ方で野菜をたくさん食べましょう。

カレー

カレー粉の中のウコンには、アルツハイマーの予防が期待できる「クルクミン」が含まれています。
クルクミンは、アルツハイマーの原因となるアミロイドβが脳内に溜まる速度を抑える働きがあるため、認知症の予防に期待ができます。

カレー粉は調味料としても使えますので、簡単に有効成分を取り入れることができます。
野菜炒めの風味付けや、野菜スープの味付けなどにカレー粉を振り入れると、いつものメニューも一味変わって変化を楽しめます。

コーヒー

コーヒーに含まれるクロロゲン酸はポリフェノールの一種で、身体を錆びさせないと言われる抗酸化作用があります。
また、コーヒーに含まれるカフェインが脳に刺激を与えるため、脳を活性化することができます。
ただ、飲み過ぎると眠れなくなったりして良くありませんので、1日1~2杯程度にしましょう。

緑茶

緑茶に多く含まれている「テアニン」というアミノ酸には、血圧の上昇を抑えて脳の神経細胞を保護する働きがあります。
ただし、緑茶にはカフェインが含まれていますので、飲み過ぎないように気をつけましょう。

赤ワイン

赤ワインに含まれているポリフェノールには、強力な抗酸化作用があるため、老化、動脈硬化、高血圧、認知症予防への効果が期待できます。
1日グラス1~2杯の赤ワインは、認知症の発症を抑えると言われています。
アルコールは、大量に飲むと逆に認知症発症の危険性を高めるので、飲み過ぎないようにしてください。

赤ワインが苦手な方は、赤ワインにフルーツを漬け込んだサングリアがおすすめです。
煮沸消毒したガラス瓶に、お好みのフルーツを入れて赤ワインを注ぐと、1~2日で完成します。
甘みの強い桃やパイナップルをつけると濃厚な甘みのコクがあるサングリアになり、柑橘類を入れるとさわやかなサングリアになります。

認知症予防に効果のあるいちごやキウイを入れると、甘酸っぱくて見た目もきれいなサングリアになります。
フルーツを切って入れるのが面倒な場合は、冷凍フルーツや缶詰のフルーツを使っても大丈夫です。
缶詰を使う場合は、シロップごと入れるとアルコールの味が苦手な方でもおいしく飲めます。

オリーブオイル

オリーブオイルに豊富に含まれているオレイン酸には、血液をサラサラにする作用があります。
エクストラバージンオイルは、特にオレイン酸が豊富で、香りも高いのでよりおすすめです。
また、エクストラバージンオイルに含まれている抗酸化物質「オレオカンタール」は、アルツハイマーの原因とされているアミロイドβを減らす効果もあります。

エクストラバージンオイルは香りがいいので、ドレッシングやマリネなど、オイルの味を強く感じる料理に使うと格段においしくなります。
エクストラバージンオイルと、スライスしたにんにくにお好みの魚介や野菜を漬け込んだマリネは、おつまみにも最適です。
また、野菜にオリーブオイルを絡めてオーブンで焼くと、野菜をたっぷりと食べることができます。

ドレッシングやソースなどに使わなくても、炒め物などに使う油をオリーブオイルにするだけで簡単にオリーブオイルを摂取することができます。

まとめ

認知症を予防する食生活は、認知症だけではなく生活習慣病を防ぐ効果もあります。
脳に直接働きかけたり、身体を健康にすることで認知症予防につながります。

食生活を整え、旬のものをたくさんおいしく食べて、心身ともに健康で楽しく過ごせるよう、少しずつ食生活を変えていきましょう。