子どもに負担をかけないお墓
親世代に比べると子ども世代はお寺との付き合いが希薄で「お墓やお寺から足が遠のくのでは」と不安を感じる方が増えています。
また、婚姻率の減少から子どもが結婚するとも限らず、将来的にお墓を引き継ぐ子孫が途絶えてしまうのではと危惧される方も多いでしょう。
お墓は建てるときだけでなく、維持・管理していくにもお金と手間がかかります。お墓について考え直し、子どもに負担をかけないお墓について検討する時期が訪れているのかもしれません。
墓じまいと改葬
先祖代々のお墓があり、その埋葬方法や供養の仕方を変える場合、お墓を撤去して遺骨を別の場所に移す必要があります。これを「墓じまい」といい、墓地管理者や行政への手続き、墓石の撤去にあたっての費用なども必要になります。
なお、お墓に埋葬されている遺骨を別のかたちで供養すること「改葬」といいます。改葬は必ずしも墓じまいを伴うものではなく、お墓から一体だけ遺骨を取り出し、別のお墓に移す場合も改葬と呼ばれます。
新しい供養の方法
従来のお墓に埋葬する以外にも、新しい供養の方法が増えてきています。
永代供養墓
永代供養墓とは、墓地の管理者に永代にわたって管理・供養してもらえるお墓です。継承の必要がない代わりに、埋葬期間が決まっています。
「永代」は「永久」という意味ではなく、一定の期間後はほかの遺骨と一緒に埋葬されて合祀されます。埋葬期間は数年から数十年と幅広く、霊園により異なります。
自然葬・散骨
自然葬とは、遺骨を海や山などの自然に還す供養です。死後は自然の循環に回帰するという考えがもとになっています。
近年よく話題に挙がる散骨も、自然葬の一種です。散骨では、山や海などで粉状にした遺骨を撒くことから、お墓の継承を必要としないため、子孫に負担をかけない点でも人気を集めています。
手元供養
手元供養とは、遺骨をデザイン性の高い骨壺に収めたり、遺骨をアクセサリーに加工するなどして、身近で供養する方法です。手元供養品の種類も豊富で、デザイン性の高い骨壺や小さな仏壇などさまざまです。
新しい形式の供養を選ぶ際の注意点
新しい形式の供養を選ぶ際、いくつかの注意点があります。
永代供養墓や散骨の注意点
永代供養墓での合祀や散骨のあとは、遺骨を手元に戻すことができません。
将来、子ども世代がお墓を建て、そこに親の遺骨を納骨したいと考えても、合祀や散骨された遺骨は戻ってきません。永代供養墓や散骨を選ぶ場合、子どもとの話し合いを済ませてからにしましょう。
手元供養の注意点
自宅に遺骨が安置されていることに抵抗を感じる人もいます。とくに配偶者からすれば血の繋がりのない人の遺骨であり、良好な関係を築いていない限り、抵抗感を覚える可能性があります。
また、自宅で遺骨を管理している人が亡くなった場合、その手元供養していた遺骨をどうするか検討しておく必要があります。
まとめ
先祖代々のお墓を引き継いだ場合、維持や管理にも苦労が付きまといます。
昔は兄弟や親戚など多くの人がお墓の管理を手伝ってくれましたが、少子高齢化や核家族化が進んだことで、一人でお墓を管理する人が増えています。当然ながら負担も一人で背負うことになるため、お墓の管理は昔よりも大変になったといえるでしょう。
その苦労を考えれば、自分たちの世代で墓じまいをして、子どもに負担をかけないお墓を選んでおくことも思いやりといえるでしょう。
ただ、親世代は「子どもに負担をかけたくない」と思っていても、子ども世代は負担に感じていない可能性もあります。終活の一環として、今後の供養の在り方について親子で話し合ってみるとよいでしょう。