意外と知られていない「火葬場に向かうときのマナー」について

葬儀・仏事

火葬場のマナー

火葬に立ち会う機会は人生のなかでもそう多いことではありません。作法やマナーに触れる機会も少ないでしょう。火葬の際、どのようなことに気を付けたらよいのかについて解説していきます。

火葬場に向かうまでのマナー

まずは、火葬場に向かう際に気をつけることを解説していきます。

火葬場に同行できる人

火葬場に同行できるのは、故人の遺族や、故人と特別親しい人です。友人などは、喪主(遺族)の承諾がなければ同行することはできません。逆に、遺族側から同行を依頼された場合は、できる限り参列するとよいでしょう。

なお、火葬に参列しない場合でも、出棺には立ち会いましょう。出棺は故人との最後のお別れであり、生前の姿の故人を見送れる最後の機会だからです。

車で火葬場に向かうとき

火葬場に向かう際は、「火葬場への行き帰りのルートは重ならないようにする」という風習があります。これは、故人の霊が帰って来ないようにするための配慮で、故人が迷わずに成仏できると言われています。

火葬の際に必要なもの

火葬の際には、事前に準備するものがいくつかあります。

火葬許可証

火葬許可証を火葬場に提出しないと、火葬を受け付けてもらえません。火葬許可証は、市区町村に死亡届を提出した際に発行されます。

火葬が終わると火葬許可証に証印が押され、遺骨とともに返却されます。印が押された火葬許可証は納骨の際にも必要となりますので、大切に保管しておきましょう。

遺影、位牌

火葬場へ行くときには、遺影と戒名を記した位牌も持っていきます。これらは出棺のときと同じく、喪主が位牌を持ち、遺族が遺影を持って火葬場へ向かいます。

お茶やお菓子

火葬には時間がかかるため、そのあいだは火葬場の控え室で待つことになります。その際、喪主側からお茶やお菓子を提供できるとよいでしょう。

ただ、火葬場や葬儀会社が用意してくれる場合もありますので、事前に確認しておきましょう。

火葬場に着いてからのマナー

実際に火葬をする際、棺のなかに故人の思い出の品を副葬品として入れるのが一般的です。また、別れ花を故人と縁の深い人から順番に遺体の周りに置いて飾ります。

なお、副葬品には、入れて良いものと、入れてはいけないものとがあります。

副葬品として入れて良いもの

副葬品の条件は、「燃やせる物」です。具体的には、以下のようなものが挙げられます。

・故人が生前に着ていた服や、身に着けていた服飾小物
・故人への手紙や寄せ書きの色紙
・病室に飾っていた千羽鶴
・故人の写真

副葬品として入れてはいけないもの

・引火や爆発の危険があるもの
・果物など、水分が多く含まれている食べ物
・缶やビン類
・金属製、プラスチック製のもの

火葬の手順

火葬をする際の手順は以下の通りです。

火葬許可証を提出

喪主が火葬場の職員に火葬許可証を提出します。

納めの式

火葬場で遺族や親族、故人の知人が故人と最後のお別れをするための儀式です。僧侶が読経し、故人が成仏できるように祈ります。

その後、通夜や告別式と同じように、喪主・遺族・親族・知人の順に焼香をして合掌をします。

火葬

火葬炉に棺が運ばれ、火葬炉の横のスイッチを押すと火葬が始まります。

火葬には1~2時間ほどかかるため、同行者は控え室で待機をします。

収骨時のマナー

火葬が終わると収骨(遺骨を骨壺に収める)を行います。収骨の準備は火葬場の職員が行います。

収骨の順番

収骨は故人と関係が近い人から、遺族・親族・友人の順番となります。

収骨する部位

収骨は、足から頭に向かって行い、最後に喉仏を納めます。どれがどこの骨なのかは、火葬場の職員が教えてくれます。地域によって風習が異なるため、火葬場の職員の指示に従いましょう。

二人一組で行う

収骨の際は二人一組になって、箸を使って行います。箸を使うことによって、「故人の魂が死後の世界へ行くことができるように橋渡しをする」という意味もあります。

まとめ

火葬場に同行するのは限られた人です。そのため、火葬に立ち会ったことがある人はあまり多くないかもしれません。

しかし、細かいマナーや準備しなければならないものなどは、葬儀会社や火葬場の職員に確認すれば対応してくれます。

火葬に立ち会うときに大切なのは、マナーを厳密に守ることではなく、故人を偲ぶ気持ちや、遺族の悲しみに寄り添う気持ちです。

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