はじめに
戒名とは、仏様の弟子となった証として授けられる名前の総称です。葬儀のときに使う白木の位牌や仏壇に納める本位牌、お墓の石碑や卒塔婆などに書かれているのが戒名です。
戒名は亡くなってからの名前という印象が強いですが、本来は俗名を捨てて出家するときに与えられる名前であり、生前に授かるものでした。それが、後に出家せずに在家のままでも戒名を受けられるようになり、生前に戒名を受けられなかった人が葬儀の際に戒名を授けられるようになりました。
戒名の位について
戒名には位があります。上の位から、順にお伝えしていきます。
・院居士、院大姉
・院信士、院信女
・居士、大姉
・信士、信女
それぞれの位には意味があり、お布施の金額も異なります。次の見出しで確認していきましょう。
各位の意味とお布施の相場
ここで戒名の各位の意味とお布施の相場をお伝えします。お布施の金額は菩提寺や地域によって差があるため、参考としてください。
院居士・院大姉
院居士と院大姉は最高ランクの戒名で「人を導く存在」という意味です。男性の場合は院居士、女性の場合は院大姉となり、大姉の中でも「清」の字をつけた「清大姉」は大姉よりも高い位となります。
院居士・院大姉のお布施の相場は約100万円からと言われています。
院信士・院信女
この戒名は、仏教に帰依(きえ:仏様や神様をよりどころとすること)した人に授けられる戒名です。
男性の場合は院信士、女性の場合は院信女となり、「清」という文字を付け加えて「清信士」「清信女」とする場合もあります。仏教において、「清」「信」とは、煩悩の穢れがなく正しい信仰心を持っているという意味があります。
院信士、院信女のお布施の目安50~100万円程です。
居士・大姉
居士・大姉は、信士・信女よりも仏教に対する信仰度が高かった人に授けられたと言われている位号です。
お布施の目安は50~80万円です。
信士・信女
信士、信女は、仏教を信仰している人に授けられる位で、葬儀の際に授かる戒名として一般的な名前です。
信士・信女のお布施の目安は、約10~50万円と言われています。
一般的な戒名の構成
戒名には決められた構成があります。一般的な戒名は、次の順番です。
・院号・院殿号
・道号
・法号(戒名)
・位号
ここで、戒名を構成する部分についてそれぞれ説明します。
院号・院殿号
院号は、信仰心が深くお寺への寄与が高い人や、社会的に大きな貢献をした人に付けられます。
道号
戒名の上に付けられるもう一つの名前で、その人の人となりを表わすような文字が使われます。
法号(戒名)
法号は仏様の弟子になったことを表わす名前です。お経や仏典に使用されている言葉を使って二文字で表されます。
戒名の二文字のうちの一文字に俗名を受ける人が多いです。また、先祖代々から伝わる漢字や尊敬している人から一文字もらって付けることも可能です。
位号
戒名の下に付けられる尊称です。位号は、誰かに手紙やメールを書いた時の宛て名の下に書く「様」にあたります。
位号は、性別、年齢、地位によって異なり、位号の位によってお布施の額が異なります。
戒名は絶対に必要なもの?
戒名が必要かどうかは、個人の考え方や信仰している宗派によっても変わります。また、仏式での葬儀を行う場合は、戒名がなければ葬儀を執り行うことができないのが一般的です。
無宗教の方が葬儀をする場合は、俗世の名前(俗名)で葬儀を行い、場合によっては位牌に俗名を入れることもあります。キリスト教の葬儀では戒名はありません。
そのほか、神道の場合は戒名のような「霊名」があります。したがって、仏式以外の葬儀を行う場合は、戒名が必ず必要というわけではありません。
また、家族葬などで戒名を付けずに葬儀を行った場合でも菩提寺に納骨する場合は、戒名がないとお墓に埋葬できません。菩提寺があって、そのお寺のお墓に埋葬する場合は葬儀に関係なく戒名が必要だと考えたほうが良いでしょう。
まとめ
戒名は、「僧侶がつけてくれた、有り難いけど少し難しいだけのもの」と感じていると、戒名に対して僧侶に払うお布施を高額だと感じることもあるかもしれません。
しかし、戒名は決して漢字の羅列だけのものということではありません。仏様の弟子になった証としてつけられた大切な新しい名前であり、戒名の構成や仕組みを知ることで、相手のことを深く知ることができます。
ぜひ、この機会に戒名の基礎知識や各位の意味について、理解を深めてみてください。