もし自分が生前葬を望む時、どのような準備をしておけばいいの?

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あなたが生前葬を行うとしたら…

生前葬というものはいわばバーチャルな葬儀で、仮の死の儀式や体験を通して、むしろ今後の人生を模索するためのものだと言えます。

有名人の生前葬はニュースなどで目にすることはあっても、一般の人にとってはまだまだ無縁でしょう。

しかし、もしあなたが生きているうちに葬儀「生前葬」を行うとしたらどのようにしたいですか?
生きているうちだからこそ、出来ることがあるかも知れません。

そこで生前葬は、何のために、どのようにして行うのか、またどのような準備が必要なのかについて紹介します。

生前葬について

まず、生前葬というものとは何か、目的、タイミングなどを詳しく知っておきましょう。

生前葬とは

生前葬は一般的な葬儀ではなく、定義も確立していません。
用語そのままの意味から「本人が生存中に自ら主催者となって行う葬儀形式のもの」と言えるでしょう。

しかし、本来の葬儀ではなく葬儀形式を行う目的から言えば、さらに要素を付け加え「本人が生存中に自らの死と向き合い、それまでの人生に決別し、新たな人生を送るための転機とする儀式」と言えるのではないでしょうか。

生前葬の目的

生前葬を行う目的は、生存中に自らの死と向き合い、それまでの人生に決別し、新たな人生を送るための転機とするなどと言えます。

作家や芸術家を例に挙げると、今までの自分の作風と何らかの転機により決別し、新たな作風を模索するなどの宣言とすることができるでしょう。
この場合は、その宣言を外部にも公表する意図があるため「生前葬」とする作家や芸術家が多いのが頷けます。

また、自分が死と向き合う過程がともない、周囲の人々への感謝の念が生まれる意義もあるでしょう。

生前葬を行うタイミング

今までの人生に区切りをつける、何らかの転機があったタイミングに行うことが多いでしょう。

一般では、さまざまな考え方がありますが、癌などの思い病気を患って死を考えたとき、会社が倒産して死を考えたとき、人生の終焉を見据えたときなどがタイミングと言えます。

生前葬の現状

生前葬を行う人は、作家や芸術家や社会的に有名人が多いのが現状です。
作風の変化や主張の変化、活動の仕方の変更を社会的にもアピールする意味があるからでしょう。

そのため、生前葬にも身近な人などを招いて行うことになります。

生前葬の流れ

生前葬には、こうしなければならないという決まった流れはなく、個々の目的により内容も変わって来ます。
基本的には宗教儀式の要素はなく、個人では本人が主催者となるのです。

以下で、一般的な生前葬の流れを見ていきましょう。

【一般的な流れ】

  • ①司会者 開会の案内(本人が兼ねる場合もあり)
  • ②主催者(本人)開会の挨拶

    主催者としての挨拶と会の主旨の説明します。

  • ③乾杯(乾杯は行われないこともあります)

    今後の参列者の発展を願う意味で、乾杯を行います。

  • ④自分(主催者)の主張などの説明

    主催者の今までの活動、人生などを紹介し今後の方向性、人生について考え方などを説明します。

  • ⑤参列者スピーチ
  • ⑥主催者(本人)挨拶

    主催者として感謝の気持ちを述べます。

  • ⑦司会者 閉会の挨拶(本人が兼ねる場合もあり)

主催者のあいさつのポイント

生きているからこそ、自分自身が主催者となれるのが生前葬のメリットでしょう。
そのため、生前葬の意図、感謝の気持ちなど、伝えたいことを伝えられるのです。

以下ではあいさつのポイントを見ていきます。

【ポイント】
●「生前葬開催の意図を明確にすること」
生前葬という言葉を聞いて、驚く人も多いでしょう。
そのため、主催の気持ちや今後の方向性を明確にすることで、主催の理解を得られます。
●「参列者へこれまでの感謝の気持ちを伝えること」
本人を支えてくれた参列者への感謝の気持ちを伝えることです。
参列者にも関係する思い出の話があれば、参列者の共感も得られて、良い雰囲気づくりに繋がるでしょう。
●「前向きな気持ちになる内容であること」
生前に開催できることを生かして、参列者にとって前向きな気持ちになるような内容が望ましく思われます。

生前葬を開く際の費用

生前葬に定まった形式はなく、内容は自由であり、どのような内容で行うかによって費用は大きく変化します。
生前葬の多くは、ホテルなどでセレモニーと食事会を合わせたスタイルで行われます。

費用の内訳としては、会場費、飲食費、案内状や記念品にかかる費用などです。
費用の総額は、招待する人数や準備するものによって異なります。

ホテルなどの宴会場で行う場合では、10人から20人程度であれば、1人1万円~2万円の予算で20万円から程度が目安です。
会費制とすれば、1人1万円会費でオーバー分は主催者負担とするなどの方式です。

生前葬の香典

生前葬は会費制で行うことが多く、会費を支払う場合、香典は不要とされます。

生前葬を主催する場合は、相手側が困らないように、会費はいくらか、香典は受けないなど、案内状を出す際に明記しておく必要があるでしょう。

生前葬での服装

基本的に、生前葬では喪服は着用しません。
生前葬の案内状に「平服でお越しください」などを案内しておきます。

生前葬の今後

まだ世間にはそれほど浸透していない「生前葬」ですが、認知度は高まっていると言えます。
生前葬は、必ず誰かを呼ばなくてはいけないことはありません。

決まりがないからこそ、ひとりでも、大勢で行ってもいいのです。

人を招かないひとり生前葬のすすめ

生前葬を行う目的では、何らかの人生の転機があり、あるときは死を考え、今までの人生を総括し、その結果として新たな人生の方向性を見出すことにあります。

このことはあくまでも個人的なことであり、周囲の人を呼ぶことなく、個人で行うことで完結しても構わないのです。
自分の今までの人生を総括し、今後の人生のあり方を模索することが目的であれば人を招かなくても可能です。
これが「ひとり生前葬」です。

ひとり生前葬の方法

ひとり生前葬には、当然何の決まりもありません。

ひとり生前葬であれば、人に迷惑を掛けずに、自分の納得する方法で、自分自身の気持ちで行えるのです。
場所も自由で、富士山に登りに行っても、人生の最後に行ってみたい観光地に行っても、終の棲家の自宅で行っても良いでしょう。
行う時期は全く自由です。

何をするのか明快な答えはなく、過去を捨てる気持ちになることが大切です。

生前葬の手法を、定年退職前の社員研修で使う企業もあります。
今までの会社員人生とは、全く異なる人生を歩むための事前教育とされ、自分の死を考え、葬儀のイメージを連想し、今までの人生と決別し新たな人生を模索する手法です。

生前葬を行った人が、その後実際に亡くなったときはどうするのか

本人の意思を尊重するのが第1なので、本人はエンディングノートや遺言書を残しておくと良いでしょう。

生前葬は広く浸透し理解されているものではないため、遺族は世間体の面から実際の死後には、通常の一般的葬儀を行うことが多いです。
通常の寺院による宗教的な葬儀や、規模の小さい家族葬などの形態で行うことになります。

本人の意思で葬儀を行わず、火葬のみという場合もあります。

生前葬の準備

生前葬を行う際に、準備しておくべきことを見ていきましょう。
ひとりで行う場合は綿密にすることはありませんが、人を招く場合には慎重に準備をして行きましょう。

まだ浸透されていない生前葬を行うため、理解をしてもらうためにも事前準備はしっかりとしていくことが必要です。

自分自身の生前葬の目的を考える

「何のために生前葬を行いたいと思ったのか」を明快にしておくことが大切です。

生存中に自らの死と向き合い、それまでの人生に決別し、新たな人生を送るための転機とする儀式であることを頭に置き、生前葬を行うことで自分自身がどうしたいのか、を明確にしておきましょう。

家族や親族と話し合う

人を招く場合には、参列する予定の家族や親族の意見を聞きましょう。
なかなか理解を得られないこともあるかも知れません。

生前葬はどういうものなのか、どこにメリット、デメリットがあるのか、を説明し納得してもらうことが大切です。

仕事関係、社会活動関係の知人友人の協力で行う場合は関係者の意見を聞く

仕事関係、社会活動関係で基盤のある人は、これらの知人友人が発起人となって生前葬を主催する場合もあります。
この方式の場合は、関係者の意見を聞くことが必要となるでしょう。

この場合も、関係者、自分自身、招く人の意見に食い違いがないことが大切です。

ひとり生前葬を検討する

参列する予定の家族や、親族の意見が自分の考えと異なる場合、どうしてもお互い納得できないこともあるでしょう。

その際には、人を招かなくても良いならば自分ひとりで行う、ひとり生前葬を検討してもいいかもしれません。

生前葬の内容、時期、呼びたい人、費用などの検討

生前葬の内容、時期、呼びたい人、費用などを検討します。
ひとり生前葬では内容、時期などを検討します。

まとめ

生前葬を行う人は著名人ではたまにありますが、一般人ではまだ少ないものです。
そのため、理解されにくく、生前葬を行うには事前によく検討することが必要となるでしょう。

生前葬は決まりがなく、自由にできることから、自分本意になりがちです。
また、生前葬を行う人は多くはなく、認知度も低く、家族や親族の中には、生前葬は有名人が開くものと考えている場合もあるでしょう。

参列者を呼ぶ場合は、周囲の理解を得るまでには時間と労力がかかるかもしれませんが、あなたの望む生前葬を行うためには、時間がかかっても理解を得ることが大切でしょう。

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