葬儀のための費用はどのように積み立てておけばいいの?

葬儀・仏事

はじめに

家族が亡くなって葬儀を執り行うと、意外と費用がかかって驚いたことはないでしょうか。自分の死後、その葬儀費用を配偶者や子供たちが負担することを考えると心苦しく、葬儀費用を自分で積み立てておこうと考える人が増えています。

そこで、どのように葬儀費用を積み立てたら良いのか、その方法についてお話しします。

葬儀費用を用意しておく方法

葬儀費用を事前に用意しておく方法は、主に下記の3つです。

・互助会に加入する
・葬儀保険を利用する
・貯金する

それぞれの方法にはメリットとデメリットがあります。ひとつずつポイントをお伝えしていきますので、ぜひご自身にあった積み立て方法を見つけてください。

互助会に加入する

互助会とは、正式名称を「冠婚葬祭互助会」と言い、毎月一定の掛け金を支払うことで、その積立分を将来利用できるサービスです。互助会では、葬儀だけではなく結婚式や七五三、成人式でも利用できます。

互助会の積立分は、保険金のように現金で受け取るのではなく、サービス費用全体から積立分を引く形で受けます。

互助会の掛け金完納額は15~50万円程度ですので、葬儀費用の数割程度になります。互助会の積立で葬儀費用を全額まかなえるわけではありません。葬儀費用総額から完納額を引いた残りは自分で負担することになります。したがって大規模な葬儀を執り行って高額になると、自己負担分も高額になりますので注意が必要です。

しかし、互助会は完納額自体が低いため、それを支払回数で割ると月々に支払う掛け金は安くなり、無理なく積み立てを続けることが可能です。掛け金は毎月支払うか一括で支払うかのどちらかになりますが、一括で支払った場合は割引が適用され、通常よりも葬儀費用の総額が安くなります。

毎月掛け金を支払ってサービス料の満額を完納していきますが、完納前に葬儀を行う場合は、残りの掛け金を一括で払うことで互助会のサービスを受けられます。

また、互助会は途中で脱退も可能です。その際は、支払った額から一定の手数料を差し引いた額が返金されるのでご安心ください。

互助会のメリット

互助会に入会することのメリットは、会員優待割引があることです。優待割引によって葬儀費用が安くなった状態で互助会の積立分が差し引かれますので、実際の支払額はかなり安くなります。

行う葬儀の内容に関しても、仏教式だけではなく神式やキリスト教式などにも対応していますので、選択肢が幅広いのもメリットのひとつです。

互助会のデメリット

互助会で積み立てをすると、デメリットもあります。

まずひとつめが、制約がある点です。互助会のサービスを受けるためには、互助会が運営しているセレモニーホールで葬儀を行うことが条件ですので、希望する会場では互助会のサービスが適用されない場合があります。

互助会は民間企業のため、倒産する可能性がゼロではありません。ただし互助会のサービスに関しては、割賦販売法に基づき、万一の場合も前受け金の保全が義務付けられており、倒産した場合は積立金の半分は返納される仕組みになっています。

葬儀保険を利用する

葬儀保険とは、一般の生命保険などと同じように、保険会社に保険料を支払い、葬儀で必要になったときに保険金を受け取るものです。葬儀保険は短い期間で加入し、掛け金が少額のため「少額短期保険」に部類されます。

葬儀保険のメリット

まず、葬儀保険はすぐに保険金を受け取れるのがメリットです。一般的な保険は、保険金の支払いが必要かどうかなどについて書類を提出して審査を受ける必要がありますが、葬儀保険は原則として審査が要りません。

葬儀保険の保険料は、保険金の申請をした翌日、遅くとも数日中に支払われますので、葬儀会社の支払いにも間に合うぐらい早く、遺族としてはとても助かります。

また葬儀保険は月々に支払う保険料の額が1,000円前後である場合が多いので、負担が少なく、無理なく続けることが可能です。

葬儀保険のデメリット

葬儀保険では「責任開始期」に注意しましょう。保険の責任開始期とは、保険会社が保険金の支払いを開始する時期のことを言います。この責任開始期は、葬儀保険だけではなく一般の保険でも設けられています。葬儀保険の責任開始期前に契約者が亡くなった場合は、葬儀保険が下りない可能性もありますので注意が必要です。

また、葬儀保険の保険料は課税の対象となります。契約者が亡くなって遺族が保険金を受け取った場合、その保険金は課税の対象です。保険金を受け取った人の立場によって、所得税・相続税・贈与税、などかかる税の種類は変わりますが、いずれかの対象となる点を覚えておきましょう。

貯金する

互助会や葬儀保険を利用せず、自分で積み立てる方法が銀行などで貯金するのもひとつの手段です。

銀行などの金融機関では、口座の所有者が亡くなると口座の凍結をしますが、相続手続きが完了すると、その口座からお金を引き出すことができるようになります。また自分の口座に積み立てて遺言状にその旨を書き残しておくと、自分の希望通りに口座のお金を使えます。

ただし、相続手続きには時間がかかりますので、口座から葬儀費用を引き出すまでにも時間がかかります。遺族が葬儀費用をいったん立て替えて支払い、口座から引き出せるようになってから葬儀費用を引き出すことになる点に気をつけましょう。

葬儀費用を積み立てる際の注意点

葬儀費用を積み立てることは、家族にとって有難いことですが、積み立てているお金の存在は忘れずに家族に伝えましょう。互助会の積立分を使うときの手続き方法や葬儀保険の保険金の申請方法なども、あらかじめ伝えておくことが大切です。

また、自分の口座に葬儀費用をためる場合は葬儀費用相当分を引き出すまでに時間がかかるため、いったん立て替えるお金が必要であることも伝えておきましょう。

そして引き出すまでの時差を失くすために、家族の名前で預金口座を作った場合は、その通帳や必要な印鑑なども渡しておいてください。

注意が必要なのが積立金で葬儀費用がまかないきれなかった場合や、葬儀費用を支払った後に積立金が残った場合です。積立金でまかなえなかった場合に誰が負担するのか、余った積立金はどのように分けるかなどを明確にしておく必要があります。

せっかく積み立てた葬儀費用が間違いなく使ってもらえるよう、家族の負担が少なくなるよう、家族に伝えておきましょう。

まとめ

葬儀費用を積み立てる方法は主に「互助会に加入する」「葬儀保険を利用する」「貯金する」の3つとお伝えしました。

それぞれ、メリットとデメリット、支払い方法と月々の負担額など、いろいろな方面から検討して積み立て方法を決めましょう。

互助会や葬儀保険に加入した場合は、その積立分や保険料を受け取るために手続きが必要になりますので、その手続き方法について家族に伝えておくことが大事です。また、葬儀費用に対して積立金が足りなかったときや余ったときなど、その扱いをどうするかも決めておくと遺族が揉めることも少なくなります。

家族の負担が少なくなるように、また家族が揉めないように、負担なく続けられる積み立て方法を選んで積み立てましょう。そして、積み立てたお金が正しく活用されるように家族に説明をしておくことも大切です。

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