納骨を行う時期とその流れについて

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一般的な葬儀では、故人のお骨は葬式後に火葬され、焼骨となって骨壺に収められます。その後遺骨は遺族のもとに置かれ、仏式では仮位牌の白木位牌を置き、自宅で祀ります。忌明けの四十九日で法要を行い、位牌は本位牌にかわり、遺骨をお墓に納骨します。ただし、納骨はそれ以外の時期に行うことも可能です。納骨を行う時期とその流れについて紹介します。

納骨について

納骨とは、火葬を行ったのち、荼毘(だび)にふされた遺骨を骨壺に収めること、または骨壺をお墓に収めることをいいますが、一般的には後者のことを指しています。

納骨式とは

納骨式とは、家族や親せき、知人などが集まり、僧侶を呼んでお墓で納骨を行う儀式を言います。

  • ①仏式の場合

    仏式の納骨式では、納骨法要を行います。納骨式は、四十九日の忌明け法要といっしょに行うのが一般的です。納骨法要では、納骨をはじめる前と納骨を行ったあとに、僧侶が墓前で読経を行います。なお、宗派によって読経のやり方は異なります。遺骨を納めたあとは、墓前で遺族や親せき、知人など、故人に近い順番に焼香します。

  • ②キリスト教式の場合

    キリスト教の場合も、火葬してからすぐに納骨することはありません。カトリックの場合は、亡くなってから30日の「追悼ミサ」のとき、プロテスタントの場合は1か月目の「召天記念日」のときに納骨式を行います。納骨までは自宅の祭壇などに安置してお祈りを捧げます。カトリックの場合は神父、プロテスタントの場合は牧師が立ち合い、聖書を読み、祈りを捧げます。参列者は讃美歌を歌ってから、祈りとともに、墓前に献花します。

  • ③神式の場合

    神道では火葬してからすぐに埋葬する場合と、仏式のように仏教の四十九日にあたる五十日祭に「埋葬祭」という儀式を行う場合があります。神道ではお寺のように敷地内にお墓を建てることはないので、一般的な霊園に埋葬して納骨式を行います。神道の場合は神職(神主)が立ち会って納骨式を行います。神主はお祓いをしたあと、祭詞をあげ、玉串奉奠を行います。

  • ④無宗教の場合

    無宗教の場合、納骨も宗教の形にとらわれることはありません。日取りの決め方も、納骨のしかたもすべて自由といえます。仏式にならい、四十九日のあたりに納骨を行うのが一般的ですが、僧侶の読経は行わず、遺族の立ち合いのもと墓石のふたの開け閉めだけ石材店に頼みます。

納骨を行う時期とその流れ

納骨には、「いつまでに行わなければならない」という法的な定めはなく、いつ行っても構いません。また、納骨をしないという選択も可能です。自宅に置き、手元で供養しても構いません。遺骨を納骨する時期に決まりはありませんが、仏式の場合、法要と一緒に行うのが通常です。法要と納骨式を別々にしてしまうと、両方に出るのは参列者に負担がかかってしまいます。そのため、現在一般的に選ばれている時期は以下5つの時期です。

・四十九日(49日目)
・百箇日法要(100日目)
・一周忌(1年目)
・三回忌(2年目)
・新盆

四十九日法要に納骨する。

四十九日は、人は亡くなると48日間は霊となってこの世とあの世を行ったり来たりし、49日目に浄土へ行って仏の仲間入りを果たすという意味からきています。ただし、四十九日法要目に納骨するには、お墓を用意していなければなりません。 新しく通常の地上墓地を作る場合は、四十九日法要までには完成しないことがほとんどです。納骨堂なら可能です。

百箇日法要に納骨

百箇日法要を目安に納骨することも選択肢の一つです。百箇日法要であれば、忌明けしてしばらく時間も空くため落ち着いて納骨ができるからです。百箇日あれば新しくお墓を建てる場合でも間に合うでしょう。

一周忌法要に納骨

四十九日や百箇日法要だと故人への心の整理がつかない場合もありますが、一定の期間があることで気持ちも落ち着いてくる場合があります。一周忌を目安に納骨するのが向いているのは、新しいお墓を検討していて、家族でじっくりと話し合いの時間をとりたい人です。

三回忌法要に納骨

三回忌とは、亡くなってから2年目の命日です。亡くなった日が1回目の忌日、丸1年目が2回目の忌日、丸2年目が3回目の忌日となるため、亡くなってから2年目が3回目の忌日となり三回忌ということになります。じっくりと新しいお墓を検討したい人や、心の整理がつくまで遺骨を自宅に安置したい人に向いています。

新盆(初盆)を目安に納骨

納骨する目安の一つとして新盆(初盆)までを目安にすることもよいでしょう。ただし、お盆の時期は住職も忙しい時期になるため、早めに相談しておくことが必要です。また、納骨する時期としては1年で一番暑い季節になり、参列者には負担があることが注意点です。

キリスト教、神道における納骨時期

納骨のタイミングとしても便利な年忌法要は、仏教だけのものです。とはいえ、キリスト教でも神道でもよく選ばれている納骨の時期は存在します。

キリスト教の場合

キリスト教式の場合は、一ヶ月後の昇(召)天記念日に納骨を行うケースがあります。ただ、仏式ほど明確に、納骨にふさわしい期日が決まっているわけではありません。キリスト教では、外国は土葬が多いためです。現代では、キリスト教式の場合も日本の慣例に準じて行います。一ヶ月後や一年後の記念式など、親戚が集まりやすいタイミングを狙って納骨日を設定する場合もあります。

神道の場合

神式でお葬式を行った場合も、仏式に準じたタイミングで行います。お墓がまだ整っていないときには、五十日祭や一年祭を納骨するタイミングとします。

納骨式の流れ

納骨先は大きく3種類あり、寺院墓地、公営墓地、民営墓地です。またお墓のタイプは4種類、一般墓、樹木葬、納骨堂、永代供養墓があります。準備~納骨までの流れを整理します。

納骨式の準備

・納骨先のお墓を選定し、墓石に戒名や俗名を彫刻します。新規の場合はお墓を用意します。

・墓地管理者や石材店に納骨の内容を伝える
納骨先の選定が完了したら、納骨先の墓地管理者や石材店へ納骨の内容を伝えます。法要を行う場合は、菩提寺への連絡も必要です。納骨の作業は石材店が行います。

・納骨の日時を決定する。
納骨する日時を確定します。一般的には親族を呼んで行うことが多いため、親族の都合がうまくあうよう調整は必要になります。また、仏式の場合は僧侶の予定を調整します。

・埋葬許可証を確認する。
納骨する際に忘れてはいけないのが埋葬許可証です。一般的には、火葬場で収骨が終わったあと、骨壺を入れる箱に入れてくれることが多いですが、間違いなく書類があるかを確認しておきます。『墓地、埋葬等に関する法律』第14条では、管理者が埋葬許可証を受理したあとでなければ焼骨を埋葬してはいけない旨が定められているためです。

・参列者への連絡と出席確認
参列予定者、親族などに連絡し出席を確認します。

・供花や供物、塔婆など必要なものを準備する。
納骨の当日に必要な供花やお線香、供物、塔婆などを準備しておきます。菩提寺がある場合は、寺院へ塔婆の確認などを行います。

・お布施の準備
僧侶へのお布施を準備します。お札は新札で用意し、お布施用の袋も用意します。

・会食などの準備をする。
納骨を行ったあとは、僧侶や親族で会食を行うことが多くあります。会食を行う場合は、料理屋への予約、参列者への場所、地図、時間などを伝えておきます。また、参列者へのお返しを用意する場合もあります。

納骨式当日の流れ

納骨式は、下記のような流れでおこないます。
・遺族代表の挨拶
・納骨
・読経と焼香
・お供え
・お布施を渡す。
・会食

・遺族代表の挨拶
納骨式の最初に、遺族代表から挨拶をします。一般的には喪主・施主が努めます。喪主は、故人の親族から葬儀や法要を指揮する葬式の際の当主のことを指し、施主は、お布施を行う主、葬儀の費用を負担する方のことを指し、喪主と施主は同じであることが一般的です。挨拶では式へ参列している方々への感謝の気持ちを伝えます。

・納骨
納骨は、石材店がカロートというお墓の中に遺骨を納めるための場所を開け納骨します。

・読経と焼香
納骨を終えたあとは、僧侶に読経をしてもらい、参列者は焼香をおこないます。

・お供え
準備していたお供え物をお供えします。

・お布施を渡す。
僧侶にお礼としてお布施を渡します。

・会食
あらかじめ予約していた場所で会食を行います。また、僧侶が多忙で会食に参加できない場合は、御膳料やお車代をお渡しします。

納骨式の服装

納骨式は他の法要と合わせておこなうことが多いので、時期によってふさわしい服装は異なります。四十九日法要は、四十九日以前は喪に服す期間でもありますので、親族も参列者も喪服を着用するのが基本です。ただし、参列者の場合は黒やグレーなど落ち着いた色合いの普段着でも問題ありません。四十九日以後の法要の場合は、基本的に落ち着いた色味であれば普段着で問題ありません。

納骨にかかる費用

すでにお墓がある場合はお墓の費用は掛かりませんが、新たに用意する場合は一般墓地であれば永代使用料、墓石費などがかかります。平均で150~200万円程度です。墓石の戒名などの彫刻費は3万~5万円程度です。

納骨式でかかる費用は、石材店、法要、会食などに関する費用です。石材店へ納骨室のふたの開閉を依頼すると、1回5,000円程度かかるケースもあります。法要では、僧侶へのお布施として平均3万~5万円程度が必要です。法要を行う場所が住職のお寺であればお車代は不要ですが、別の場所にある場合はお車代として5,000円~1万円程度をお布施とは別に包みます。

また、会食に関する費用は、一人3,000円~5,000円程度が一般的です。お返しも3,000円~5,000円程度を目安にすると良いでしょう。住職が会食に参加しない場合は、御膳料として5,000円~1万円程度を用意します。

納骨堂での納骨式

最近は納骨堂をお墓に選ぶ方が増えています。納骨堂は都市部の寺院での開発が進んでおり、利用者にとっては住まいに近くアクセスが良いこと、費用が安いこと、そして、お墓の承継者がいなくなる時代を反映し、一定期間が経ったあとは永代供養の合祀墓へ移行する形態になっています。

そのため、納骨堂での納骨では、墓石の用意や石材店での納骨が不要です。また、寺院の納骨堂では、その寺院の僧侶が法要を行います。納骨堂は短期で購入することが可能なので、四十九日法要に合わせて納骨を行うことが可能です。

納骨式の流れもある程度簡素化され、室内のため火を使った線香を立てることや、お花やお供え物を個別の納骨スペースにはおけず、全体の指定されたスペースで行う場合があります。個別ではなく全体のための焼香台などがある場合があります。

まとめ

納骨は火葬を行ったのち、遺骨の入った骨壺をお墓に収めることです。また、納骨式とは、家族や親せき、知人などが集まり仏式では僧侶を呼び納骨を行う儀式を言います。納骨自体の作業は石材店が行います。

納骨には、「いつまでに行わなければならない」という法的な定めはなく、いつ行っても構いません。また、納骨をしないという選択も可能です。仏式の場合は四十九日、百箇日法要、一周忌、三回忌、新盆の法要と一緒に行うのが通常です。

納骨が終われば遺族も一区切りがつきます。納骨後多くの場合お葬式でいただいた香典に対する香典返しなどを行います。葬式で簡単なものをお返ししている場合でも、高額な香典をいただいている場合は別途お返しをするのが一般的です。