手元供養の種類と注意点
手元供養とは、遺骨を小さな骨壺や専用のアクセサリーに入れるなどして、故人を身近で供養する方法です。
手元供養では、遺骨をすべて自宅に安置するか、お墓や納骨堂などへ納骨したうえで、一部を分骨して手元に安置する方法があります。 自宅供養と呼ばれる場合もありますが、自宅供養は「自宅にすべての遺骨を安置して供養する場合」に用いられることが多いようです。
この記事では、手元供養の種類とあわせて、注意点に焦点をあてて解説していきます。
手元供養が選ばれる背景
手元供養は、身近な方を亡くした寂しさや喪失感を抱える人に選ばれてきました。しかし昨今では、「お墓を継承する人がいない」「先祖の墓地が遠く管理が難しい」などの理由から、お墓を持つことが負担となっている方に選ばれる傾向が増えてきました。
故人を身近に感じられる
家族が突然亡くなった場合など、気持ちの整理がつかない方に手元供養が選ばれます。身近に遺骨を置くことで、故人を身近に感じられます。
お墓が遠方で管理できない
お墓が遠方にあるため、お参りにいけない、管理ができないといった境遇の方にも手元供養は選ばれています。
経済的な理由・後継者の不在
新しく一般的なお墓を建てる場合、少なくとも100万円近い費用がかかります。その点、手元供養ならば数万円から数十万円で費用を抑えられます。
子どもに負担を掛けたくない
お墓の後継者がいる場合でも、子孫にお墓の維持費用や管理の手間を押し付けたくないといった理由から、手元供養が選ばれることがあります。
手元供養の種類
手元供養には、ミニ骨壺による安置や、遺骨をアクセサリーなどに入れるといった方法があります。
ミニ骨壷
ミニ骨壷は、自宅で分骨した遺骨を安置できる容器で、片手で持てるほどのサイズが中心です。部屋のインテリアとしても馴染む、デザインや素材のバリエーションに富んだ商品が販売されています。
遺骨を入れられるアクセサリー
遺骨ペンダントは、ペンダントトップのなかが空洞になっており、遺骨を直接納められる構造になっています。一見して遺骨が入っているとわからないような、おしゃれなデザインが多数出ています。
また、ペンダントだけでなく、ブレスレットや指輪のタイプも発売されています。
遺骨の加工
遺骨を加工することでアクセサリーとする方法もあります。遺骨に含まれる炭素を抽出して人工的にダイヤモンドを製造するものや、遺骨を樹脂で硬化して取り付けるものなどがあります。
手元供養の手順
手元供養の手続きに決まった流れはありません。まずは、家族や親族などに了承を得ることが大切です。
家族や親族の了承を得る
家族や親族に手元供養を行いたい旨を説明します。とくに遺骨の加工などは、倫理的に受け入れられない方も少なくありません。お墓の事情や金銭的な問題などがあれば、隠さずに打ち明けるほうがよいでしょう。
遺骨を安置する分量を決める
遺骨すべてを手元供養とするか、お墓や納骨堂へ安置したうえで分骨するかによって、手順や手元供養の種類が変わります。
手元供養品の形態
手元に残す遺骨(遺灰)の量が決まったら、手元供養品の形態を決めます。すべての遺骨を安置するのであれば、骨壺を探しましょう。分骨するのであれば、ミニ骨壺やアクセサリーも選択肢に入ります。
業者への依頼
業者へ手元供養品の購入または加工を依頼します。手元供養品は、仏具を扱う大手葬儀会社や、手元供養の専門店から購入するのが無難でしょう。
依頼にあたっては、製作に必要な日数や費用を確認し、店舗などで商品サンプルを確認できればより確実です。
手元供養の注意点
手元供養はまだ一般的とはいえず、見落としがちな注意点があります。
骨壺の管理
骨壺は寒暖差で結露すると内部に水が溜まるため、直射日光の当たらない場所に安置しましょう。また、カビの恐れがあるので、湿気の多い場所や水回りにも置かないようにしましょう。
手元供養に抵抗のある家族の説得
家に遺骨を安置することに抵抗を覚える方も少なくありません。同居する家族がいるのであれば、説得を忘れないことが手元供養最大の注意点といえるでしょう。
将来的な遺骨の扱い
手元供養を行う際は、自身の死後に手元の遺骨をどうすうかについて考えなければいけません。家で供養を続けてくれる人がいないようなら、いずれは手元供養している遺骨もどこかに納骨する必要があります。
法的な注意点
遺骨の自宅安置は、違法ではありません。法的な解釈として「墓地、埋葬等に関する法律」では、行政が許可した墓地以外に遺骨を埋葬することが禁止されています。
つまり、遺骨の自宅安置は問題ありませんが、自宅の庭などにお墓を作って遺骨を埋葬すると違法になるというわけです。
まとめ
手元供養の注意点として、自宅での管理や法的な問題はさほどありません。ただ、手元供養はまだ一般的とはいえないことから、家族や親族からの了承を得ることが最大の難関といえるでしょう。
了承を得られたら、豊富な手元供養品から自分と故人に合った種類を選んでみましょう。