法事の引き出物の品物や相場について

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法事に参列してくださった方々に対し、感謝の気持ちを込めてお渡しする手土産を「引き出物」や「お返し」と言います。しかし、いざ法事を前にすると、どんなものを用意していいかわからない方も多いのではないでしょうか。また、引き出物やお返しの相場も重要です。法事に関する引き出物の種類や相場について紹介します。

法事の引き出物について

引き出物とは、結婚式や祝賀パーティなどの祝い事で招待客に配る贈呈品のことをさしますが、祝い事に限らず法事などの葬式関係の物を含む冠婚葬祭で配るものもそう呼びます。昔は会食の料理の一部を持ち帰る習慣がありましたが、衛生面などの理由から料理ではなく記念となる品を配るようになりました。

また、仏事に関係する場合は引き出物という言葉ではなく「引き物(ひきもの)」という言い方をするケースが増えています。意味としては同じですが、慶弔で区別をつけることで慶弔一緒の用語だと不愉快な思いをする人もいるための配慮だと言います。

引き出物の起源

古くは平安時代頃、馬を庭に引き出して客へ贈っていたが引き出物の由来となっています。その後、馬の代わりに「馬代(うましろ)」として金品を贈るようになり、次第に引き出物は酒宴の膳に添える物品や、招待客への土産物をさすようになったと言われています。

引き出物と香典返しの違い

引き出物は、法事に参列してくれた方からいただいたお供え物へのお礼です。遠方に住んでいる場合や、都合がつかずに参列できなかった方から郵送や宅配でお供え物が届いた場合は、同様に引き出物を送るのがマナーとされています。

香典返しは、忌中にいただいた香典へのお礼です。水引は黒白か双銀の結び切りを用い、熨斗の表書きは「志」とします。人によっては、香典とお供え物の両方をいただく場合もあります。その場合は引き出物と香典返しの両方を渡します。引き出物は当日返し、香典をいただいた場合は後日に香典返しを用意します。

一周忌以降の引き出物

厳密には、四十九日を過ぎたら香典や香典返しという呼び方はしません。仏様のためにお供え物や御供物料をいただくことになることから、御供や御仏前と呼ぶのが正式です。四十九日より先の法事では、お供え物に対するお返しの呼び方は引き出物となります。

法事の引き出物の品物や相場

法事当日の引き出物に適したものは、日持ちして食べてなくなるもの、実用品、消耗品などで小さくかさばらず軽いもの(持って返りやすいもの)が適しています。慶びごとではないため、いずれなくなるものが良いとされます。品物については次のようなものがあります。渡すタイミングは法事後、お持ち帰り頂く際にしましょう。御礼・感謝を込めてお渡ししてください。

  • ①洗剤や石鹸などの日用品

    どんな家庭でも必要とされ、「けがれを洗い流す」意味でもよく選ばれます。

  • ②海苔や椎茸などの乾物

    華美でない上に、日持ちがする上に消え物という意味でも適しています。

  • ③お茶やコーヒーなどの飲料

    日持ちがして、どなたでも活用してもらえる定番のものといえばお茶です。故人を偲んで、好きだった飲み物を選ぶのも良いでしょう。

  • ④おまんじゅうや最中などのお菓子

    お茶受けに喜ばれます。なるべく日持ちがするものを選びましょう。

  • ⑤白砂糖や白いタオル

    白装束で旅立つということから、かつてはよく使われました。最近では減ってきているようです。

  • ⑥そうめん

    仏様が帰る時に荷物をくくるための紐を意味する、仏様が帰る時の精霊馬の手綱になると言われます。

  • ⑦商品券やカタログギフト

    持ち帰りの手間を省き、出席者の好みで商品を選んでもらえることから、カタログギフトを利用する例も増えています。

引き出物をカタログギフトにする場合

カタログギフトはたくさんの取り扱い会社があり、インターネットなどで選ぶことができます。大手会社のカタログは500ページ台・商品点数は2,000点台が掲載されています。ジャンルは有名ブランド、名店グルメ、ファッションやテーブルウェア、キッチンアイテム、伝統工芸品など豊富なラインナップがあります。

また、温泉旅行やお食事ご利用券など体験ギフトもあります。もらった人の幅広い年齢層が満足できる様々な商品を揃えています。また、カタログの価格帯は1,000円台から100,000円台まであります。

法事の引出物(お返し)の金額相場・平均費用

引出物の金額相場は、一般的にいただいた金額の1/3〜1/2程度と言われています。年忌の法事の場合、会食(お斎)も振る舞ってからお渡しするので、2,000円〜5,000円程度が一般的です。

いただいた額が30,000円であれば引き出物の額は10,000~15,000円、10,000円であれば3,000~5,000円、5,000円であれば2,000~2,500円となります。3,000円であれば1,000~1,500円となります。

引き出物の渡し方

法事の引き出物は、会食である「お斎(おとき)」が終わった後など、法事の帰りに渡すのが一般的です。それは御供のお礼として持ち帰ってもらうものが、本来の引き出物だからです。

僧侶に法事の引き出物を渡すタイミングとしては、法要が始める前又は法要が終わった後にお布施をお渡しする際にしましょう。法事に参列して頂かなかった方でも、お供えなどを頂いた場合は後日、法事が無事執り行われた挨拶もかねて、引き出物を持参もしくは郵送するようにします。

引き菓子とは

引き菓子は、列席者へ引き出物と一緒に持ち帰っていただくお菓子のことです。お膳をお裾分けする意味があり、列席者が帰宅後、家族と分かち合うためのお土産的なものです。引き出物と一緒にお付けします。慣習により引き出物と引き菓子を合わせて3~5品用意する地域もあるようです。夫婦で参列して頂く場合は、引き出物も引き菓子も一つ用意するようにします。

法事の引出物の「熨斗のマナー」

法要での熨斗につける水引は、一周忌までは黒白か双銀の結び切り、三回忌以降は青白か黄白の結び切りの水引を用います。表書きは「志」、あるいは「粗供養」とします。用意するお店などで、用途を伝えることで適切な熨斗を付けてもらえます。包装紙は、白や黒、グレーが適切です。もしくは、落ち着いた色調の青や緑の包装紙を選びます。菊の模様など、シンプルな柄が入ったものでも問題ありません。

法事の引き出物でよくある質問

最近では法事が簡素化されています。法事後の会食をしないケースも多くありますし、引き出物を無しにすることもあります。年忌法要の回数も減少傾向いあるので、この簡素化の流れは今後もより進むと思われます。

「法事のお返しはいらない」といわれたらどうするか?

香典や供物、供花などをいただいた場合に「お返しはいらないから」と、金額にかかわらず気を遣ってくださる場合があります。基本的にお返しはするものと考え、その気持ちをお伝えします。しかし、どうしても香典返しを受け取れないという方も中にはいらっしゃいます。この場合にはあまり固執しても失礼になるので、無しにしても良いでしょう。

商品券でお返しをしてもいいのか?

最近では商品券でお返しされる方も多いため、失礼にはならないようです。しかし、商品券でお返しをすると金額がはっきりとわかってしまいます。金額が露骨にならないのはカタログギフトです。また、高額の香典をいただいたときなどは、商品券と品物でお返しされてもよいでしょう。

まとめ

法事ではお供え物のお返しとして引き出物を用意します。引き出物は日持ちして食べてなくなるもの、実用品、消耗品などで小さくかさばらず軽いものが良いでしょう。金額相場は、一般的にいただいた金額の1/3〜1/2程度です。

・法事の引き出物の品物や相場についての3つのポイント

(1) 「引き出物」や「お返し」の意味を知っておきましょう
法事に参列してくださった方々に対し、感謝の気持ちを込めてお渡しする手土産を「引き出物」や「お返し」と言います。

(2)引き出物は必ずお渡ししましょう
法事に参列して頂かなかった方でも、お供えなどを頂いた場合は後日、法事が無事執り行われたご挨拶もかねて、引き出物を持参もしくは郵送するようにします。

(3) 法事の引出物(お返し)の金額相場
引出物の金額相場は、一般的にいただいた金額の1/3〜1/2程度と言われています。

引き出物をお返しすることは、しきたりとしても定着しています。最近はギフトカタログを選ぶ方が増えています。どの会社のカタログギフトか、商品数が多いか、魅力ある特色のある商品がそろっているのかなど、選択肢が広がると喜ばれます。