エンディングノートとは?
いま、終活の一環として注目されているのが「エンディングノート」です。
エンディングノートはその名のとおり、人生のエンディングに関することを書くノートですが「まだまだ自分には関係ない」と思う人も多いでしょう。
ただ、エンディングノートは死を意識して書くだけのものではありません。
エンディングノートは、家族や自分、そして大切な人のためにも重要なものなのです。
また、自分自身を見つめ直し、これからどのように生きていきたいかを整理するきっかけにもなります。
あなたも、自分の想いや大切なことをエンディングノートを書き残しておきませんか?
エンディングノートには何を書くのか?
まず、エンディングノートは何を目的として、どんなことを書くのかお話しします。
エンディングノートは、あなたが急に倒れたり認知症によって判断力が低下したり、急に亡くなったりして家族とコミュニケーションが取れなくなったときのためのものです。
あなたの病気の治療法や介護について、葬儀や財産などに関して家族が手続きなどをするときのために、あなたの意思や情報などを書き記しておくのです。
そのため、家族に伝えておかなければならないことをすべて書き残しておくことが必要になります。
エンディングノートには形式はなく、書かなければならないことは決められていませんが、主に以下の内容を書いておくと良いでしょう。
①自分のこと
名前、生年月日、血液型、電話番号、メールアドレス、本籍地など自分に関わる基本的な情報です。
あなたが亡くなったあと、家族が行政手続きをしますので、現住所と本籍地が違う場合は記載しておくと迷わずに済みます。
他にも、マイナンバー、健康保険の番号、運転免許証の番号なども書いておくことで手続きがスムーズに行えるでしょう。
②健康に関すること
かかりつけの医療機関、アレルギーの有無と有るとしたら何に対するアレルギーか、持病のことや服用している薬など、意識や判断力などがない状態で治療や介護を受けるときに何に注意してもらいたいかを書きます。
また、かかった病気に関して告知を希望するか、どこまでの延命治療を望むか、臓器提供の意思があるかどうか、についても書いておきましょう。
③介護に関すること
介護が必要になったときのために、希望する介護施設や誰に介護してもらいたいかを書きます。
また、介護費用も大きな問題になると考えられますので、捻出方法なども書いておきましょう。
④葬儀や供養に関すること
通夜や葬儀、納骨や供養に関する希望のほか、誰に訃報を伝えてもらいたいか、誰に葬儀に参列してもらいたいかについて記載します。
希望する葬儀会社や葬儀の費用、霊園などがあるかどうか、遺影を用意してあるかどうか、なども書きましょう。
葬儀に関しては特に家族葬や自然葬など、一般的な仏教式の葬儀以外の葬儀を希望する場合は書いておきます。
⑤知人や友人のリスト
あなたに何かがあったとき、家族はあなたの友人や知人に連絡をする必要が出てきます。
しかし、あなたの住所録を見ても誰とどのような関係なのか、連絡をしていいかどうかなどを判断するのは難しいものです。
そこで、エンディングノートに何かがあったときに連絡してほしい友人や知人をリストにして残しましょう。
関係性ごとにグループ分けをしておくと、家族はそれに適した対応をすることができます。
また、顔写真付きでリストを作っておくと、その方がお見舞いや葬儀にきたときに家族が顔を見てすぐにわかるというメリットもあるでしょう。
⑥財産について
あなたが所有している財産について記載します。
生活費があなたの口座から引き落とされている場合は、どの口座からいつ引き落とされるかを記載します。
また、その他の預貯金や不動産などについても書きましょう。
預貯金に関しては銀行・支店名といっしょに通帳と印鑑がどこに保管されているかを書くとより良いです。
そして、有価証券をいくつか持っている場合は、持っている銘柄と証券会社などを一覧表にしておくとわかりやすくなります。
ただし、通帳や印鑑などの貴重品情報を記載するので、エンディングノートの保管には充分注意しましょう。
⑦保険について
生命保険など、加入している保険についても一覧にして書き残しておきましょう。
加入している保険会社名と連絡先と担当者名、それぞれ誰が受取人になっているか、保険証書はどこに保管してあるか、などいちいち証書や契約内容を見なくてもすぐにわかるようにしておくと家族は助かります。
入院や通院で保険金が受け取れる保険に加入している場合でも、わかりやすく書かれていると家族はすぐに手続きをすることができます。
⑧その他
SNSのパスワードやネットショッピングのログインアカウントなどを記載します。
あなたに何かがあったときにSNSだけで連絡を取っている人に知らせたい場合は「このメッセージをこの人に送ってほしい」ということとその連絡方法を書いておきます。
そして、月額サービスを利用している場合はその解約方法も書いておきましょう。
クレジットカードや携帯電話の解約方法についても、その連絡方法と手順も書きます。
そのほか、あなたが世話をしているペットや植物に関して書く人もいます。
世話の仕方やペットフード、ペットのかかりつけの動物病院について書いておくと家族はその後の世話をしやすくなります。
また、処分してもらいたい物をリストにしたり、所有している貴金属や着物などの形見分けリストを作ったりするのも良いでしょう。
このように、エンディングノートは生活や命にかかわることなど、書き残しておきたい大切なことをすべて書くものです。
自分に関わることは、数ヵ月や一年で状況が変わっていることがありますので、定期的に見直してその都度書き直すのがおすすめです。
エンディングノートは必要なことだけ書くものではありません。
エンディングノートは自由に記載することができますので、自分の経歴や家系図、自分の座右の銘など、自分史ができあがるようなエンディングノートも素敵です。
親が亡くなったあとにエンディングノートを見て、初めて親の学生時代のときのことを知って新鮮な気持ちになったということもあるでしょう。
逆にエンディングノートを書きながら自分の人生を振り返るのも、とても意味のあることであり、これからの生き方のヒントになるかも知れません。
エンディングノートの書き方
エンディングノートは、家族に伝えたい大切な情報をたくさん書く必要があります。
その情報を書くに際して、決められた書式や書き方があるわけではありませんので、書きたいことを自由に書くことができます。
エンディングノートは、普通のノートに書きたいとを書いても何の問題もありませんが、書き漏れが生じる可能性もあります。
いま、ネットや書店などで必要な項目があらかじめ書かれているエンディングノートが売られていますので、それらのノートを利用して空欄を埋めるのが簡単で始めやすいです。
中を見て自分が何を伝えたいかという目的に合わせて選んだり、好みの装丁のノートを選んだりすると楽しく書けるでしょう。
また、市町村役場によっては無料でエンディングノートを配布しているところがあります。
自治体のエンディングノートには地域の地図や役所の所在地や関連部署など、必要な情報が記載されていることがありますので、自分で調べて書く手間が省けます。
エンディングノートは定期的に見直す必要のあるものですので、書き直ししやすいものを選ぶことが大切です。
システム手帳のようにレフィルを差し替えられるタイプのエンディングノートだと、書き直す部分を抜き取って新たなレフィルを差し込むことができるので便利です。
エンディングノートは種類によってはたくさん項目が設けられていますので、全部書かなくてはいけないと思うと億劫になってしまいます。
面倒くさくなって書き進められなくなることもあるかもしれませんが、無理に全部書く必要はありません。
自分に関係ない部分や、今は書けない部分があったら空白の状態にしておいても問題ありません。
書けるところだけ書く、状況が変わったら書き直す、と、気負わず気楽に取り組みましょう。
エンディングノートで出来ること
好きなように書けるエンディングノートには、たくさんの使い方があります。
①自分の意志が伝えられる。
あなたの意思を書き残すことがエンディングノートの一番大きな目的です。
あなたと話ができなくなったときに、家族だけであなたに関する判断をするのはとても難しいことです。
治療や介護に関して、また葬儀に関して家族が判断をするとき、あなたのことを考えて下した結論だとしても家族には大きな悔いが残ることがあります。
決して悪い判断ではなく、誰も家族を責めなくても、家族は自分の判断を悔いることがあるのです。
あなたの意思が書かれたエンディングノートは、家族が判断をするときに家族の大きな助けになります。
あなたの意思どおりにあなたを見送ったのなら家族は納得できますし、悔いることもないでしょう。
②備忘録代わりになる。
連絡が必要な友人や知人、医療機関などの連絡先を定期的に整理して記載することで、あなたにとっての最新のアドレス帳になります。
また、各種のログインパスワードや暗証番号をすべて記載しておくことによって、エンディングノート一冊で必要な情報をまとめておくことができます。
③身辺整理に役立つ。
エンディングノートを書きながら不要なものを処分したり、ずっと使っていない預金口座やクレジットカードを解約したりすると身辺整理が進みます。
そのため身辺整理をすることで、スッキリとした気持ちで残りの人生を楽しめるでしょう。
④遺言書の下書きになる。
遺言書を作成するにあたって、エンディングノートが下書きとして役に立ちます。
なぜかというと、エンディングノートの項目を埋めることで、自分の財産がはっきりしてくるからです。
そのため、資産が明確化し、遺言書を書く際にスムーズに進められるでしょう。
⑤メッセージを残せる。
エンディングノートは治療や葬儀に関する希望や、あなたの死後に必要な手続きに関する情報だけを残すものではありません。
家族に対するメッセージも残せるのがエンディングノートです。
最期のときに自分の思いをすべて家族に話せるとは限りませんので、エンディングノートに家族への想いや気持ちを書き残しておきましょう。
あなたからのメッセージは、あなたを失ったあとの家族にとって、きっと大きな心の支えになります。
エンディングノートで出来ないこと
エンディングノートはあなたの情報や意思を書き残すものです。
あなたの財産や、あなたの私物の形見分けについても書き残すことができますが、エンディングノートには法的な効力はありません。
エンディングノートに書いただけでそのとおりに遺産が分配されるわけではありませんので、注意が必要です。
むしろ、遺産に関してエンディングノートにだけ書かれているとなおさら揉める要因になりますので気をつけましょう。
遺言書は法的効力があるため、内容に従わなければなりませんが、エンディングノートには強制力はないので必ずしも要望が叶うというわけではありません。
遺産の分配に関して正式に残す場合は、別に遺言書を作成する必要があります。
そして、遺言書を作成した場合はエンディングノートにその旨を記載しましょう。
まとめ
エンディングノートは、家族にあなたの意思や希望、あなたに関する大切な情報を書き記すものです。
あなたに何かあったときに家族が困らないように、家族の大きな助けとなり支えとなるものです。
そして、エンディングノートはそれだけではなく、書くことによって自分の人生を振り返ったり自分の身辺の整理が進んだりします。
エンディングノートは特別な決まりがあるわけではありませんので、好きなノートに書いてもいいですし、必要な項目が書かれているエンディングノートの空白を埋めていく形でもかまいません。
状況が変わったら書き直すものですので、あまり気負わずにまずは気楽に書いてみましょう。
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