命日の意味とお供え物を選ぶポイントについて

葬儀・仏事

故人の命日では、仏壇や墓の前で手を合わせ故人を偲びます。年に1度の命日は祥月命日とも呼び、毎月訪れる命日は月命日と呼びます。月命日にも故人の供養をされる方もいらっしゃいます。命日や月命日の正確な意味や、お供え物をして供養をする際の品物の選び方などについても紹介します。

命日とは

「命日」とは、一般的に故人が亡くなった月日を指します。「祥月命日(しょうつきめいにち)」と呼ぶこともあります。命日にはお墓まいりに出かけたり、仏壇に手を合わせるなどして、故人を偲びます。その際には、線香やろうそくを手向けるほか、果物などをお供えします。

祥月命日の由来

命日(祥月命日)は故人が亡くなった年に1度の月日。この祥月の「祥」には、“めでたい、幸い”といった意味があります。「祥月」とは「正月忌」を省略した「正月(しょうつき)」が由来になっており、年始の「正月(しょうがつ)」としばしば混同されていました。そのため、古代中国の儒学の経典である「礼記(らいき)」にならい、一周忌を「小祥忌」、2年後の三回忌は「大祥忌」とし、ここから「正」に「祥」の字を当てることとなったという説があります。「祥」は「さいわい」と読むめでたい字であり、凶から吉へ変化するという意味も込められています。

命日(祥月命日)の過ごし方

命日(祥月命日)には、仏壇に花や食べ物をお供えするほか、お墓参りへ行くなどして供養を行います。また、祥月命日に行われる供養の中でも重要とされるのは、一周忌や三回忌、七回忌といった法要です。追善法要・年忌法要などと呼ばれます。法要では、親族や故人の友人が参列し、僧侶による儀式のあとに会食を行い故人を偲び供養します。

そのほか、故人が亡くなった日のみを指す「月命日」というものもあります。月命日は命日のある月を除いた毎月、つまり1年に11回訪れます。祥月命日のように大々的な法要はあまり行いませんが、お墓や仏壇を掃除して、祥月命日と同じように故人を偲びましょう。

命日のお供え物

そんな命日のお供え物はなにが良いのでしょうか。お供え物を選ぶ際の5つのポイントを紹介します。

  • ①重さと大きさに注意する。

    御仏前にお供えする物は、重いものや大きすぎる物は遺族に迷惑になる場合があります。重すぎると持ち帰る際に困ります。また、大きすぎるとお供えのスペースを取ってしまうので向いていません。御仏前へお供えする物は「重くない物」「かさばらないもの」を選ぶと良いでしょう。

  • ②肉・魚・酒は避ける。

    魚・肉などは、殺生を連想させてしまうため、御仏前へのお供えには避けます。また、お酒はお神酒としてお供えする場合もありますが、瓶が重いという意味でも避けた方が良いでしょう。

  • ③日持ちする物を選ぶ。

    御仏前へのお供え物として、遺族の方は一度に多くの物をいただくことになります。地域によっては、その場で参列者の方達に分けることもありますが、日持ちする物にすると良いでしょう。日持ちするものであれば、お供えがかぶってしまっても安心です。

    分けることも考慮すると、小分けになっている物を選ぶとさらに良いでしょう。お供え物に、特に決まりはありませんが、すぐに賞味期限が切れてしまうような物はいただいた方も困ります。

命日のお供え物におすすめのもの

具体的には、以下のようなものを選ぶと良いでしょう。いずれも故人への想いがこもっていることは大前提です。

  • ①お菓子

    お菓子はお供え物の定番です。ただし、生菓子は賞味期限が短いので、特に故人が好きだったという思い出がなければ、干菓子や焼き菓子にしておきましょう。

  • ②果物

    果物の中でお供え物に向かないものは特にありませんが、なるべく日持ちのする果物を選んでください。すぐに熟れてしまうものは避けた方が無難です。迷った際は、お供えする時期の旬のものにしておきましょう。

    なお、果物を送る際は、現金と同じく偶数は避け奇数にします。偶数は「割り切れてしまう」数字である為、故人の魂と現世との繋がりが切れてしまうと考えられているのです。1、3、5などの奇数個を盛り合わせて贈るのが無難です。

  • ③花

    特に贈ってはいけない花はありませんが、鉢植えや、トゲのある花は敬遠されます。菊は、お供えに適した花と言われ、日持ちがよく、邪気を払う力があると考えられています。仏教、キリスト教共に、白い菊をお供えすることがよくあります。

    5月から9月の時期なら、トルコキキョウも良いでしょう。白と青を基調にした種類があり、お供えに適しています。キリスト教の場合は、カーネーションをお供えする場合が多くあります。白や淡いグリーンが法事に向いている色です。

    その他にも、最近では故人が好きだったお花でアレンジメントを作って持っていくのもよいでしょう。アレンジメントにしておくと、法事が終わり、お供えの生花を持って帰る際に持ち運びにも便利です。

    故人へ供える花は基本的に白を貴重とした淡い色合いのものが好まれます。半年をめどに徐々に明るい色を入れて遺族の心が落ち着くような花を贈ると喜ばれるでしょう。

  • ④その他

    お茶、コーヒー、砂糖や石鹸や、タオルハンカチなどもお返しによく選ばれています。

お供え物の値段の目安

相場は、故人や遺族との付き合い、関係性によって変わってきますが、お供え物のみであれば3,000円~5,000円程度が一般的です。あまりに安すぎても配慮に欠け、反対に高すぎても遺族に気を遣わせてしまうことになりかねません。

のしの書き方

お供え物にのしをつけるのも大切なマナーです。双銀または黒白の地味目な色の水切りで、結び方は結びきりにします。水引は不幸を繰り返さないという意味を込めて「結びきり」を使用します。表書きは黒の墨で「御供(ごくう)」「御仏前」と書きます。そして下段には送り主のフルネームを書きます。

お供え物の渡し方

お供え物は基本的に中身が分かるような状態で持ち込むのではなく、ふろしきや紙袋に包んで持参します。しかし実際にお供えする時や施主に渡す際には中身が何かある程度伝わるような渡し方をします。

誰からのお供え物かを一目で分かるようにするために、包装紙の上にのしをつける「外のし」が基本です。お供え物であれば紙袋やふろしきを解いて相手側から品物やのしの文字が読める向きで渡します。

また、お供え物を郵送する場合は、のしが破れてしまうのを防ぐために、のし紙をつけてから包装紙で包む「内のし」にし、手紙などを添えて送るとよいでしょう。

来訪してお供えものを渡す時は、喪主や遺族が忙しそうだからといっていきなり渡してしまっては失礼にあたります。まずは会場で施主に「本日はお参りに参りました」などと簡単な挨拶をして仏壇に上がってお供えする事の許可を貰ってお供えするか、「どうぞお供えください」などの言葉と共に直接施主にお供え物を渡します。

お供えの手順

故人が亡くなって日が立てば、主要な回忌法要以外ではお供え物をすることも、いただくことも少なくなってきます。通常の祥月命日では遺族だけでのお供えになることがほとんどです。お供えをするのも、やはり身近な家族だった親や配偶者になることが多いでしょう。その場合は、お供え物の品物というよりは精神的な供養の意味の方が大切になってきます。供養は月命日でも大切にしたい考え方です。

お供えの基本「五供」

一般的な仏教でのお供えは、「香」「花」「灯燭(とうしょく)」「浄水」「飲食(おんじき)」の5つからなる「五供」が基本とされています。それぞれに意味があり、マナーがあるので知っておきましょう。

  • ①お香~毎日お線香をあげる~

    仏さまは、香りを召し上がるとされています。香り高いお線香を毎日あげることが、供養につながります。天に上ってゆくお線香の煙が、この世とあの世をつなぐものであるという解釈もあります。

    お線香をあげるタイミングは朝です。水やお仏飯など他のお供え物をしてから最後にお線香をあげます。お線香をあげたら、おりんなどを鳴らし、お参りをします。

  • ②お花~好みや季節に合わせたお花~

    仏壇の両脇に1対の花瓶を置き、お花をお供えします。故人の好みに合わせたり、季節のお花を飾ったりします。

    お花をあげるタイミングは、毎朝です。毎日水換えを行い、お花の元気がなくなってきたら取り換えます。

  • ③お灯明~ろうそくに火を灯す~

    ろうそくの明かりは、「お灯明」を指します。お灯明は、世の中全てを照らす光です。仏教ではこのお灯明に従うことで、迷いがなくなってゆくとされます。

    ろうそくに火を灯すタイミングは、水やお仏飯をお供えした後です。火事などの心配があるため、お供え後のお祈りが終わったら消します。ただし、仏壇のろうそくの灯を消すときは、口で吹き消してはいけません。口は不浄に通じ、先祖に向かって息を吹きかけることは失礼にあたるためです。手であおいで火を消します。

  • ④お仏飯(飲食・おんじき)~毎朝炊き立てのご飯~

    飲食は自分たちの食べている主食を供えるのが基本です。炊き立てのご飯を、仏飯器でお供えします。これをお仏飯と呼びます。

    お仏飯をあげるタイミングは、朝です。毎朝、炊き立てのご飯を仏さまにお供えします。

  • ⑤お水(浄水)~毎日潤いを与える飲み物~

    「死者は喉が渇く」とされ、お水はお供え物のなかでも欠かせない大事なものと受け止められてきたそうです。また、透き通った水は、けがれなき浄土を象徴するものという意味もあります。お仏壇にお水は絶やさないようにしましょう。

命日を忘れないために

命日は故人との繋がりを感じられる、大切な日です。ですから親族や身近な方、ご先祖様の祥月命日は覚えておきましょう。回忌法要の年数も覚えておき、法要を行う場合は記憶しておくと良いです。3回忌、7回忌などまでは特に大切な法要です。僧侶や親族にも声をかけ準備する必要があります。

自分の家の仏壇ではなく、家を継ぐ人、お墓を継ぐ人の家の仏壇に祥月命日のお参りをする場合は、お供えの品物を用意し訪問します。どのような品物が良いかを頭に入れておきましょう。

まとめ

一般的な「命日」とは、故人が亡くなった年に1度の月日を指し、別名「祥月命日」と呼ばれます。一方、「月命日」は故人が亡くなった日のみを指す命日です。

祥月命日には、ご仏壇に花や食べ物をお供えするほか、お墓参りへ行くなどして供養を行います。お供え物は重さや大きさに注意し、肉・魚・酒は避けて日持ちする物を選びましょう。お供え物は必ず包装し、表書きには「お供」または「粗供養」、自分の名前も記載します。

命日にはマナーに沿ったお供え物を用意し、お祈りし合掌することで故人を偲びましょう。

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