日本における先祖供養では、故人が亡くなってからあらかじめ決まった時期に法要をとり行うのがならわしとなっています。特に決まった年の故人の命日に行う法要を年忌法要といいますが、そのうちの1つに数えられるのが七回忌です。七回忌は一周忌や三回忌と比較して、招待する人の範囲を絞り、規模を縮小して行われるのが一般的です。ここでは、七回忌の意味や遺族側の七回忌法要を行う際の手順、出席する側のマナーなどについて紹介します。
七回忌(ななかいき)の意味
七回忌とは、故人が亡くなって満6年たった命日に行う法要のことです。年忌法要として、一周忌、三回忌に続き3回目の年忌法要となります。一周忌、三回忌では遺族・親族と友人・知人が参列し僧侶による読経の後焼香・食事をするのに対して、七回忌は遺族・親族だけで供養するのが基本です。
年忌法要における三と七の回数の由来
一周忌以後の回忌法要は三回忌、七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌と続き、三と七の回数が基準となっています。
三回忌までの法要はインド・中国の習慣を取り入れたもので、それ以降の年忌法要は日本で生まれたものと言われています。三と七の回数が基準となっている理由には諸説ありますが、そのひとつは仏教における四十九日間の中陰と言われる期間における7という数字による説です。中陰の期間、初七日から四十九日まで7日ごと日を重ねていクノで、7が基本になる数字なのです。つまり七、十七、二十七回忌を行い、これらの年を含めて丸6年(7年目)経った年に営む法要を十三、二十三、三十三回忌といいます。
また、十二支による説もあります。亡くなった年の干支を含めて十二支が半周回った翌年を七回忌といい、十二支が1回まわって2回目にあたる年を十三回忌、2回まわって3回目を二十五回忌、3回まわって4回目を三十七回忌といいます。
他にも「7」は、お釈迦様が生まれたときに7歩き「天上天下唯我独尊」と言ったとの伝説があり、人間の迷いの姿である「六道」の世界を超え、六を超える意味で7は悟りの境地に至ることを暗示していることが理由とも。「3」は「2を超える」との意味だとされ、「有・無」や「損・得」「勝ち・負け」など両極端にかたよった考え方から離れ、中道をめざす思想がもあると言われています。
七回忌法要の手順
七回忌を行う際には、遺族はどのような準備をすべきなのかを見ていきましょう。
- ①招く人を決める
一般に、三回忌までは盛大に行い、七回忌以降は遺族や親族などだけで小規模に行います。
- ②日時を決める
僧侶と遺族、親族などの都合を聞き、日時を決めます。出席しやすい休日に設定されることが多いですが、命日よりも前倒しにして日を決めることが慣わしです。
- ③法要の場所を決める
寺院や、自宅、ホテルなど、どこで場所を借りて法要を行うのかを決めます。
- ④会食の場所を決め予約する
法要の後に会食をする場合は、会食の場所も考慮しましょう。場所により移動の時間と手段が必要になります。会場が遠い場合は、仕出し料理を頼むなど、弁当を用意します。
- ⑤案内状を出し参列者を確認する
案内状を作成し送ります。往復はがきなどを使用したり、封書であれば返信用はがきを同封します。遅くとも1カ月前には相手に着くように案内します。
- ⑥僧侶へのお布施、その他の費用を準備する
僧侶にお渡しするお礼は、お布施(お経料)が基本になります。お寺から遠方の場合はお車代も用意する場合があります。また、僧侶が食事を辞退した場合には御膳料を用意します。それぞれの金額の目安は次のようになります。
・お布施:3万円程度
・お車代:5,000円~1万円
・御膳料:5,000円~1万円
- ⑦引出物を手配する
七回忌法要の引出物は、出席者が持参する香典へのお返しの意味もあります。金額の相場は2,000円~1万円くらいです。品物は、石鹸やタオル・食品などの日用品やカタログギフトなどが良いでしょう。のしの表書きは「志」「粗供養」などとし、水引は黒白か銀の結び切りを用います。
- ⑧お供え・供花を手配する
仏前に備えるお供え・供花を前日までに手配します。線香とお花のほか、お茶やお菓子、果物などの飲食物を用意して、法要後にそれぞれで持ち帰るようにするのが一般的です。
七回忌法要、法事の流れ
七回忌法要、法事の一般的な流れを紹介します。地域や宗派によって違う点もありますが、法要は死者に対する供養に関する儀式で、法事は法要も含み、会食までの行事全体を言います。
- ①僧侶の入場
施主(七回忌を執り行う人)、遺族、その他参列者が入場し座ったら、僧侶が入場します。その時施主は下座に移動します。
- ②施主による挨拶
施主は遺族、参列者に対し七回忌開始の挨拶を述べます。挨拶は「ただいまより○○(戒名)の七回忌法要を執り行います」などと始め、参列してくれたことへの感謝の言葉を伝えます。
- ③僧侶による読経と焼香
僧侶が読経を行います。読経を行っている間、施主、遺族、参列者は正座し故人に思いを馳せましょう。読経が行われている最中に、僧侶の合図で焼香を始めます。故人と関係の深かった順に焼香を行います。参列する人が多い場合、席次が前の方から順に焼香を行うケースもあります。
- ④僧侶による法話
読経が終わると、僧侶による法話が行われる場合があります。僧侶の話をしっかり聞き、故人を偲びます。
- ⑤僧侶の退場
法話が終わると、僧侶は退場します。
- ⑥施主の挨拶
施主は「以上をもちまして、○○の七回忌法要が終了いたしました」と述べ参列者へ参列の感謝を伝えます。また、法要の後に会食を行う場合は、会食の開始時間や場所などを伝えます。
- ⑦会食
法要の後の会食では、仏壇に食べ物をお供えし参列者に食事を振舞います。料理は、精進料理が基本とされていますが最近では懐石料理を提供することもあります。参列者の都合によっては会食に参加せず、そのまま帰る場合もあるので、会食の前に帰る方には見送りをします。
- ⑧締めの挨拶・引き出物の配布
会食が終わったら、参列者に感謝の言葉を述べます。また、香典返しとなる引き出物を渡す場合もあります。
七回忌法要の服装(遺族側)
遺族と親族のみで、比較的簡単に行われる七回忌ですが、服装には最低限のマナーとルールがあります。ここでは遺族側の七回忌当日の服装について、男女別に解説していきます。
- ①七回忌の男性の服装(遺族側)
七回忌では、服装は平服で問題ありません。しかし、黒のスーツが望ましいでしょう。靴下、靴も黒で揃え、ワイシャツは無地の白、ネクタイは黒色のものを着用するのが基本です。黒のスーツを持っていない場合、紺やグレーなど、暗めの色の無地スーツになります。
- ②七回忌の女性の服装(遺族側)
女性も平服で問題ありません。平服とは、喪服より一段階カジュアルな服装のことです。平服として適切なのは黒や紺、グレーのワンピースかセットアップです。服の柄は無地のものを選ぶのがベストです。足元は黒のパンプス、黒のストッキングで落ち着いたものを選びます。アクセサリーは、葬儀の際にも使えるような一連のパールネックレスのみにするのが無難です。
七回忌に出席する場合のマナー(参列者側)
七回忌に参列者として出席する際の必要なマナーも知っておきましょう。
- ①連絡は期限通りに
まずは、七回忌への出席の連絡です。特別な事情がない限り、参列者には七回忌の一カ月ほど前に案内状が送られるので、出来るだけ早く返事をしましょう。また、簡易な式の場合電話で出席の可否を確認されることもあるので、スケジュールをチェックし、期限までに参加するかどうかを遺族に伝えます。
- ②お供えものの選び方
参列者としてお供え物を渡したい場合、常温で長期間保存できるお菓子や果物、日持ちする飲料を選びましょう。お花もお供え物として適切ですが、薔薇の様にトゲのあるものや、匂いがキツイ花はNGです。また、肉や魚などの食品は不殺生戒に反するものなので、法要の場では避けます。
- ③お供え物の渡し方
持ってきたお供え物を渡す時は、のし袋で包装して渡します。七回忌では、双銀の結び霧がプリントされたのし袋を利用し、表には「御供」または「粗供養」と書き、その下に自分の名前を記載します。お供え物を渡すときは、施主に渡すのを基本とし、施主の許可を得て仏壇に供える場合もあります。お供え物を渡す際は、「御仏前にお供えください」などと言葉をかけます。
七回忌に出席する際の服装(参列者側)
七回忌当日の参列者側の服装は、以下を参考にしてください。
- ①七回忌に出席する男性の服装(参列者側)
平服での参加で問題ありません。黒のスーツに黒のネクタイで参加するのが基本ですが、黒のスーツがない場合は紺やグレーのものを着用します。柄の入っているものはNGです。シャツは無地の白、靴は黒の革靴が基本です。
- ②七回忌に出席する女性の服装(参列者側)
参列者側で参加する女性も、平服での参加で問題ありません。七回忌の服装は一回忌、三回忌と比べ少しカジュアルでも大丈夫なので、暗めで無地の色の服であればパンツでもスカートでも構いません。足元は黒など、暗めの色の無地なパンプスに黒のストッキングがおすすめです。
七回忌の香典(参列者側)
一般的な七回忌の香典の相場は、親族が1万円から3万円、友人や知人が参加する場合5,000円から3万円とされています。故人との関係に応じて金額の相場は大きく変わるので、同じ親族同士、友人同士で香典の金額を話し合っておくと良いでしょう。また、法要の後の会食に参加する場合は、会食の費用として上記の費用に1万円程度加算します。仏式の場合、香典袋の表書きには「御仏前」や「御佛前」と書き、香典袋の下段中央には自分の名前をフルネームで書きます。
七回忌法要の心得
七回忌は、故人が亡くなって満6年に行われる法要です。年忌法要は三回忌までが中心と考えられ、七回忌以降は遺族、親族で小規模に行うのが一般的です。小規模といっても他の年忌法要と同様に僧侶を招き、僧侶の読経と参列者の焼香をします。法要の後には会食を行います。
七回忌となるとやや故人が亡くなってから時間がたちますが親や家族であれば故人を偲ぶ大切な法要であることに違いはありません。法要を行うかどうかだけでなく、毎年の命日には故人を偲び仏壇にお参りすることが大切でしょう。