一周忌の意味と法要の手順について

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四十九日法要を終えた後には、一周忌の法要を行います。分かりにくいのは、一周忌や三回忌など「周忌」と「回忌」の呼び方です。その違いや、一周忌法要とはどのようなものか、知っていますか?

今回は法要の内容、僧侶へのお布施、香典、お供え、香典をいただいた時のお返し・引出物などについても、遺族側と参列者の側の双方で知っておきたいことを紹介します。

一周忌、一回忌の意味と法要

一周忌は、故人が亡くなってから満1年後に行われる法要のことを指します。一方、一回忌では亡くなった命日であるその日が1回目の忌日です。従って一回忌とは亡くなった日の命日の事を指し、一周忌は二回忌に当たるとも言えるのです。

ただし、一回忌や二回忌とは通常言いません。回忌における三回忌は、満2年後の3回目の忌日に行われる法要ということになります。

回忌の数え方

現代と異なり、昔の日本は何事も数え年の考え方でした。そのため年忌法要の計算も数え年を使う方法が基本で、「回忌」を使うのですが、一周忌だけは二回忌の「二」を避けることもあり、周忌で表しています。

二を避けるとは偶数を避けるということです。日本の仏教では、偶数は割り切れることから縁が切れるとされ、避ける傾向があります。それ以降の年忌法要は三十三回忌までは次のようになります。

七回忌(満6年)
十三回忌(満12年)
十七回忌(満16年)
二十三回忌(満22年)
二十七回忌(満26年)
三十三回忌(満32年)

年忌法要と追善供養

一周忌を含めた年忌法要は「追善供養」と呼ばれ、生きている人が故人の代わりに善行(功徳)を積むことです。仏教では、故人の生前の行いに対して死後7日毎に裁きを受け、極楽浄土に行けるかが決まるとされています。これは亡くなった人は来世に生まれ変わるとされる「輪廻転生」の考え方で、来世には六道という6つの世界があるとしています。6つの世界は天、人間、修羅、畜生、餓鬼、地獄とされ、どの世界も煩悩という苦しみがありますが、それらを超越した存在として極楽浄土が存在するとしています。

四十九日までの期間は仏教用語で「中陰」と呼ばれ、死者の魂が幽体としてさまよっている状態です。この期間に故人が極楽浄土に行けるように願いを込め、遺族などこの世の人が追善供養します。四十九日は忌明けで、それ以降の法要は仏様への感謝の気持ちを伝え、故人をより良い世界へと導いてもらう為に行われます。

一周忌法要

一周忌法要とは、故人が亡くなってから満1年後の命日に行われる法要を指します。一周忌法要は年忌法要の中で最も重要で、僧侶を呼び読経を行ってもらい、親族や親しい間柄の方などを招き故人を偲びます。

一周忌法要の手順

一周忌法要の準備について、ポイントを説明します。

  • ①日時の設定

    一周忌法要は1年ごとの故人の命日である祥月(しょうつき)命日に行うものですが、遺族や親族の都合を合わせる必要があるため、土日中心に行われます。それに僧侶の予定も踏まえ、日時を調整します。

  • ②会場

    寺院か自宅、その他の会場かなどを決めます。お墓参りがしやすいよう、寺院などお墓の近くを選ぶのが一般的です。

  • ③会食

    法要のあとに会食を行う場合があります。場所は法要の会場の近くで、自宅や寺院近くのレストランなどです。まず会場の予約をし、日程が近づき人数が確定したら食事数を予約します。なお、近年は会食を行わない場合も増えてきました。会食がない場合は、法要の後に引き出物とお酒の小瓶、折詰弁当などを渡します。

  • ④日時の連絡、案内状

    日程が決まったら僧侶、遺族・親族など出席予定者に早めに連絡します。案内状は往復はがきや返信用のはがきを同封したものを準備します。また、少人数の場合は電話でも構いません。

  • ⑤お布施、お車代

    一周忌法要のあとに僧侶にお渡しするお布施を準備します。宗派、地域によって異なりますが、平均の相場は30,000円から50,000円程度とされています。自宅で行う場合は、お車代、法要の後の会食に僧侶が出席しない場合は御膳料も準備します。お車代、御膳料とも5,000円~10,000円程度が多いようです。

    お布施やお車代は、半紙の中包みに入れ、奉書紙で慶事の上包みの折り方をしてお渡しするのが最も丁寧な方法です。また、市販のお布施袋でも構いません。白封筒でもかまいませんが、郵便番号入りではない無地のものを選びます。表書きは、普通の黒の墨で書きます。お布施などは直接手渡しするよりも、小さなお盆に乗せてお渡しするか袱紗で包んでからお渡しするのが適切です。

  • ⑥引き出物

    引き出物は消えてなくなるものが良いといわれているので、のりやお茶、洗剤、石鹸など、消耗品を選びます。最近ではギフトカタログで選んでもらう場合もあります。熨斗(のし)の表書きは「志」、「粗供養」などとし、水引は黒白か銀の結び切りのものを使います。法要の後に食事の席を用意しない場合は、折り詰めの料理とお酒を用意し、引出物と共に参列者の方々へお渡しします。

  • ⑦供花やお供え物の準備

    お花や果物など、仏前にお供えするものを準備します。

  • ⑧その他

    納骨は、四十九日に行うことが多いですが、まだお墓が建立されていない場合は一周忌を目安に建立し納骨します。一周忌法要と同時に納骨を行う場合は、お寺や墓地、石材店へ手配し確認します。

一周忌法要と法事の流れ

どの程度の規模で行うのかは、故人との関係や親族の考え次第になりますが、まずは故人を偲ぶ目的で親族や知人、友人がそろってお墓参りを行います。お墓参りを行います。

お墓参りを終えると、法要を行います。一周忌の法要自体の流れは僧侶の読経と参列者の焼香です。一周忌法要の流れは次の通りです。

  • ①法要の場に僧侶を迎える
  • ②施主の挨拶
  • ③僧侶による読経と焼香

    僧侶により読経が行われます。読経が始まったら施主から順番に焼香し、参列者全員の焼香が済めば読経も終わりとなります。

  • ④僧侶による法話

    その後僧侶による法話がある場合もあります。

  • ⑤施主の挨拶

    施主は一周忌法要の最初と最後に挨拶を行うのが一般的です。当日に慌てないようにするためにも、事前に準備しておきます。また、会食があればその案内をします。

  • ⑥会食

    法要の後の会食では、仏壇に食べ物をお供えし参列者に食事を振舞います。料理は精進料理が基本とされていますが最近では懐石料理を提供することもあります。なお、会食の席で食事前に献杯を行うことがあります。もし献杯を行う予定であれば、献杯の発声をしていただきたい方へ事前にお願いをしておきます。施主自ら献杯の発生をしても構いません。

  • ⑦締めの挨拶・引き出物の配布

    会食が終わったら、参列者に感謝の言葉を述べます。また、香典返しとなる引き出物を渡す場合もあります。

一周忌法要の服装

一周忌法要では、施主・遺族・親族は喪服を着用するのが一般的です。その他の参列者の場合は、喪服または略喪服を着用し、ネクタイは黒を選びます。

略喪服
【男性の場合】
・ブラックスーツやグレー・濃紺などのダークスーツ
・白いワイシャツ
・黒無地のネクタイ
・黒のベルト
・黒無地の靴下
・黒の革靴

【女性の場合】
・黒、グレー、濃紺などの地味な色のワンピースやアンサンブル、セットアップスーツ
・中に着るトップスもダークカラーのもの
・アクセサリーは一連の真珠やオニキス(結婚指輪も可)
・バッグは、光沢や飾りのないシンプルな黒の布製
・黒の薄手のストッキング
・シンプルな黒のパンプス

【子どもの場合】
・学生の場合は学校の制服
・学校の制服が無い場合は、白シャツにグレーや黒のズボンやスカート
・乳幼児の場合は飾りのない落ち着いた色合いの服装

一周忌法要に参列する際の注意点

一周忌法要に招待されたら基本的に断らないのがマナーです。どうしても都合がつかない、外せない用事がある場合を除き、できる限り参列するようにします。また、案内状が届いたら、施主・ご遺族の都合を考慮して早急に返事を出します。

一周忌法要に参列する際は、御仏前に供えてもらうように、香典を用意するのがマナーです。一周忌法要の香典の相場は、5,000円~10,000円程度です。会食にも参加する場合は5,000円~10,000円程度の加算で合計1~2万円程度、卒塔婆を立てる場合は5,000円程度の加算が考えられます。

一周忌には香典かお供え物のどちらかを持参すればよく、特に指定がない限り両方持って行く必要はありません。お供え物の金額の相場は5,000円~10,000円程度で、一周忌法要のみに参列する場合と同等とされています。

お供え物は遺族の手間にならないように、重たい物やかさばる物は避けるようにします。また、お供え物は法要後に分けて持ち帰る事が多いので、個別包装が喜ばれます。お供え物としては、果物や日持ちのするお菓子などの食べ物、お茶や供花として仏壇に供えるお花などが選ばれることが多いです。

香典袋(不祝儀袋)とお供え物

一周忌も葬儀などと同じく不祝儀袋を使います。故人はすでに仏様になられているので、表書きは「御仏前」、「御沸前」、「御供養物料」、「御香料」などを書きます。また、葬儀の場合は薄墨で書きますが、一周忌の場合は薄墨ではなく濃い墨を使用します。

お供え物は、果実やお線香、故人様が好きだったお菓子などを準備します。また、供物は、施主に「御仏前にお供えください」と言ってお渡しします。

まとめ

一周忌は故人を偲ぶ上で大切な法要です。ただし現代では法要の簡素化が進み、法要後の会食をしない場合が増えています。また、参列者も遺族や近しい親族などに限られ、小規模な形態が増えてくるでしょう。知人友人では特別に故人と親しかった方などで遺族とも付き合いのある方に限られてくるでしょう。

・一周忌の意味と法要の3つのポイント

(1) 一周忌とは故人が亡くなって満で1年後であること。通常一回忌とは言いません。
回忌は故人が亡くなった命日で亡くなった日が一回忌に当たります。満1年後は二回忌に当たります。ただし、二回忌とは言いません。

(2) 一周忌の次の法要は三回忌
一周忌の法要は故人が亡くなった命日から1年後であり、次の法要は2年後の三回忌となり2年続けての法要となります。

(3) 一周忌法要で行うこと
一周忌法要では、僧侶を呼び読経を行ってもらい参列者が焼香をする法要を行い、親族や親しい間柄の方などをお招きし、故人を偲びます。

よく間違えるのは、三回忌というと故人がなくなって満3年目と思うことです。三回忌は満2年目になります。三回忌以降は回忌と呼び周忌と呼ぶのは一周忌だけとなります。回忌法要はその後7と3の奇数で七回忌、十三回忌、三十三回忌などが主要なものです。