堂内墓地とは
堂内墓地とは、自動搬送式の室内型墓地のことで、広義では納骨堂に含まれるとされます。また、堂内墓地は「マンション型のお墓」とも呼ばれます。
現在、地価の高さや墓地の建設基準が厳しいことから、都市部で新たに墓地を建設するのが非常に難しくなっています。一方で、お墓に求めるものとして「交通アクセスの良さ」が非常に重要視されており、都市近郊での需要の高さに対して、供給がほとんど出来ていません。
そこで考えられたのが、堂内墓地と呼ばれる室内型のお墓です。土地代の高い都市部でも、スペ-スをコンパクトに使うことでお墓の販売を可能にしたのです。
例えるなら、一般的な屋外の墓地が戸建て住宅で、堂内墓地はマンションなどの集合住宅にあたります。
また、堂内墓地や納骨堂は本堂や斎場が併設されているところが多く、葬儀や回忌法要を執り行う場としても活用されます。
堂内墓地の特徴
堂内墓地は、従来のお墓と異なる点が多々あります。しっかりとその特徴を把握しておきましょう。
屋内でお参りできる
お参りスペースが屋内にあるため、季節や天候を問わずにお参りできます。また、建物内に法要施設が併設されている場合が多く、葬儀・法要も執り行えます。
永代供養式
堂内墓地の多くが永代供養式を採用しています。永代供養とは、親族に代わり管理者(お寺など)がお墓の管理・供養を行う方式です。定められた期間、または年間管理料を払っている限り、墓所を利用できるという仕組みになっています。
跡継ぎがいない方でも利用でき、安置期間が過ぎると合祀されます。
遺骨の収容数
堂内墓地の遺骨の収容数は、あまり多くありません。骨袋や専用の骨壺を用いても、8~10体程度が収蔵の限界であることがほとんどです。
檀家に入るかどうかは確認が必要
堂内墓地は宗旨・宗派を問わない施設が多いですが、お寺が管理母体である堂内墓地では、檀家に入ることを求められる場合もあります。
堂内墓地・納骨堂が選ばれる理由
堂内墓地や納骨堂が選ばれる理由として、以下のような点があげられます。
永代供養で後継ぎの心配がない
お墓の継承に悩む人にとって、永代供養は重要な選定基準となります。田舎のお墓を管理できない、子孫に迷惑をかけたくないといった希望からも、永代供養式のお墓が人気を集めています。
都市部でお墓参りがしたい
先祖のお墓が遠方にある場合、遠くてお参り・管理ができないといった悩みが生まれます。場合によってはお墓の引越し(改葬)を考える必要が生じ、現実的に都市部で購入できるお墓として堂内墓地が選ばれています。
一般的なお墓より安い
堂内墓地は、従来のお墓と比べて低価格です。都市近郊は土地代の問題から、永代使用料だけでも100万円単位のお金がかかります。堂内墓地は一般的なお墓と比べれば、半額以下で購入できると考えられます。
室内設備の利点
室内でお参りができることは、さまざまなメリットとなります。
例えば、冷暖房が完備されているので、真夏・真冬でも気軽にお参りができます。また、屋外のお墓は立地が悪いことも多く高齢者への負担となりますが、堂内墓地の多くはバリアフリー設計で車椅子などでも安心です。
自動搬送式・ロッカー式・仏壇式の違い
堂内墓地の自動搬送式と似たタイプで、ロッカー式や仏壇式の室内型のお墓があります。それぞれ、特徴を解説していきます。
ロッカー式
ロッカー式納骨堂とは、名前の通りロッカーのような棚に骨壺を納める納骨堂です。
一家族につき一区画が割り当てられ、大きめの区画だと位牌や仏具を置いておけるところもありますが、基本的には少人数向けの施設です。
費用は収容人数が少ない分、数十万円からと安価に抑えられます。また、1~2代限りのを想定している場合が多く、承継できないこともあります。
仏壇式
仏壇式は、区画が上下二段に分かれた棚になっており、上が仏壇、下が収骨棚になっています。
一家族につき一区画が割り当てられ、仏具や位牌なども置いておけます。大人数向けの納骨堂で、多いところでは10人以上納骨できます。3つのなかでは最も費用がかかり、100~200万円ほどが必要となりますが、継承も可能な施設がほとんどです。
自動搬送式の堂内墓地の特徴
ここからは、より詳しく自動搬送式の堂内墓地の特徴を解説していきます。
遺骨は機械で運ばれてくる
自動搬送式では機械で遺骨が運ばれ、参拝ブースにあるお墓に自動でセットされます。遺骨は厨子という入れ物に収蔵されており、受付機に専用のカードをかざすことで、遺骨が運ばれてくる仕組みです。
厨子はバックヤードに保管されている
厨子は参拝者からは見えないバックヤードに保管されています。バックヤードには数多くの厨子を収蔵できる高層の収骨棚があり、参拝者が来ると自動搬送されます。
セキュリティが高い
自走搬送式のお参りには、カードが必要となります。カードはスタッフに申し出て受け取る方式がほとんどで、施設には防犯カメラが設置されているので、セキュリティの高いお墓といえます。
自動搬送式のデメリット
費用は従来のお墓に比べて安価であり、室内であることからお参りもしやすい堂内墓地ですが、いくつかのデメリットもあります。
年間管理費が高い
建物や機械のメンテナンスに費用が掛かるため、従来のお墓に比べて年間管理費が高めに設定されています。
参拝ブースが共用
自動搬送式は参拝ブースが共用で、数にも限りがあります。そのため、お盆やお彼岸の時期は、参拝ブースが混雑しやすくなり、場合によっては順番待ちになることもあります。
自動搬送式の堂内墓地でお参りする際の流れ
自動搬送式は全く新しいお墓であることから、お参りのイメージが掴めない方も多いでしょう。お参りの流れを簡単に紹介します。
エントランスの受付機にカードをかざす
参拝の受付機に専用のカードをかざすと、参拝ブースが指定されます。受付で案内される場合もあります。
遺骨が参拝ブースに運ばれてくる
遺骨が指定の参拝ブースに運ばれてきます。参拝ブースはフロア内に複数設置されており、それぞれ仕切りで区切られています。お墓自体は共用ですが、お参りは個別のスペースを確保して行えます。
お供え・お参り
お墓にはお花とや香は常設されています。お参りに一般のお墓との違いはありませんが、お供えものは持ち帰ります。
まとめ
堂内墓地は自動搬送式の室内型墓地のことで、「マンション型のお墓」とも呼ばれます。
都市部でも買えるお墓として人気を集めており、一般的なお墓よりも安く、永代供養にも対応しているため、現代のニーズを結集したお墓といえるでしょう。
年間管理費や参拝スペースが共用といったデメリットはありますが、さほど大きな問題とはならないでしょう。
新たなお墓の選択肢として、まずは見学などで実際に確かめてみるとよいでしょう。