はじめに
家族が亡くなると、残された家族は節目ごとに法要を営むことになります。
法要にはすべて意味がありますが、あまり耳なじみのない「百箇日法要」という法要があります。実際は省略されることの多い法要ですが、故人にとってはとても大切な法要です。
そこで本記事では、百箇日法要の意味や手順などについてお話しします。
百箇日法要とは
百箇日法要は、故人が亡くなってから100日後に行われるもので、四十九日の後に行う法要です。あまり耳なじみがないこともあり、省略されることが多い法要ですが、とても大切な法要です。
仏教では、四十九日法要で故人が極楽へ行くか地獄へ行くかが決まるとされています。もし、故人が極楽に行けなかった場合は、百箇日に平等王(びょうどうおう)による再審が行われます。その際に遺族や親族の供養によって、故人が救済されると言われています。
また、百箇日法要は、別名「卒哭忌(そっこくき)」とも呼ばれています。「哭(こく)」とは、泣き悲しむという意味で、卒哭忌は泣く日々から卒業するという意味です。悲しんで泣く日々から日常に切り替えるという意味がありますので、故人の遺品の整理や形見分け、お香典のお礼などはこの日までに行います。
そして、百箇日法要に合わせて故人を追悼する「偲ぶ会」などが行われたり、無縁仏を供養する「施餓鬼会(せがきえ)」が行ったりするケースが多いです。
百箇日法要の内容
百箇日法要は、親族や近親者のみが参列して自宅の仏前で行ないます。地域によっては百箇日法要が大きな意味を持っているところもあり、そのような地域では菩提寺などで大規模に行われることもあります。
百箇日法要は、僧侶を招いて読経してもらい、焼香後に説法を聞きます。そのあとに会食をすることもありますが、これは法要という意味合いよりも、身内が集まって食事して故人を偲ぶ食事会という意味合いが強いです。
百箇日法要当日までの準備
まず、百箇日法要を主催する側の準備についてお話しします。
日程調整
まずは法要の日取りを決めます。菩提寺の僧侶と相談して日にちを決めますが、亡くなってから100日目が平日で集まりにくい場合は、100日を過ぎないようにして、その前の週末で日程を調整しましょう。
参列者への連絡
日程が決まったら、参列してほしい親族に連絡します。百箇日法要は家族と親族のみで行いますので、電話で出欠の確認しても問題ありません。
ただし、人数が多い場合や連絡がつきにくい場合などは往復葉書で確認をするのも良いでしょう。往復ハガキに日時や会場を書いて出すと、一度に連絡ができますし伝え漏れなどを防げます。
会食会場の手配
法要に参列する人数が決まったら会食の準備します。自宅で会食をする場合は仕出し屋に料理を注文し、自宅以外で会食をするときは会場と料理を予約しましょう。
会食会場や料理をお願いするお店にはあらかじめ法要であることを伝えてください。百箇日法要は忌明けの法要なので禁じられているメニューは特にありませんが、タイやエビなどお祝いに使う食材は避けるようにします。また、参列者のアレルギーや年齢に考慮してメニューを決めましょう。
お供え物・お花の準備
百箇日法要は、すでに忌明けしていますので、お供え物や供花の幅が広くなります。
お供え物は、お茶やお菓子、故人の好物、タオルや石鹸などの日用品を供えます。肉や魚は「殺生」につながるため、たとえ故人の好物でも避けましょう。
また亡くなった直後の供花は白で統一するのが基本ですが、百箇日法要ではそこまでこだわらなくても問題ありません。ただし、法要の場なのであまり派手すぎないように、白を基調とした淡い色でまとめましょう。
返礼品の準備
参列者が持参する仏前やお供えに対するお返しの品を準備します。返礼品は、法要後に持って帰ってもらえるように法要の前日までに準備しましょう。
また返礼品は、カタログギフトや日持ちのするお菓子、タオルや石鹸などの日用品がおすすめです。
お布施の準備
百箇日法要の際も、僧侶にお布施を渡します。お布施の相場は3~5万円ですが、そのほかに包むお金もあります。僧侶に家まで来てもらう場合はお車代として3,000円~1万円包みます。もし家族や親族が迎えに行く場合、お車代は不要です。
そして、法要の後に会食をする場合で、僧侶が会食に参加しない場合は御膳料として5,000円~1万円包みます。
お布施は白い封筒に入れますが、二重になっている封筒は「不幸が重なる」という意味になるので避けましょう。そして、僧侶に渡しお布施は不祝儀ではないので、表は薄墨ではなく黒い墨で書きます。
百箇日法要に参列する際の服装と香典
では、百箇日法要に参列するときの服装や、持って行く香典についてお話しします。
服装
百箇日法要は、喪服や礼服で参列するのが一般的です。家族や親族が集まる場ですので、服装がくだけてしまいがちですが、やはり法要の場ですので服装にも気を配りましょう。
喪服や礼服がない場合は、男女ともに黒やグレーなどの色のスーツでを着用します。女性は無地のワンピースやアンサンブルでも問題ありません。子供が参列する場合、学校や幼稚園の制服がある場合は制服を着ましょう。制服がない場合は、無地の落ち着いた色の服を着用してください。
香典
百箇日法要に参列する場合も香典を持って行く必要があります。百箇日法要を営むときは、四十九日は過ぎているため、表書きは「御霊前」ではなく「御仏前」です。
金額の相場は1~5万円で、法要後に会食がある場合は会食代を含めた金額を包みます。金額に幅がありますが、金額は故人との関係や年齢によって決めましょう。
まとめ
法要は故人をのために手を合わせて故人を偲ぶための大切な行事です。仏教では七日ごとに故人が裁きを受けて極楽へ行くかどうかが決まるとされています。その日に親族が手を合わせることがとても大切です。
法要としてのマナーを守りながら、故人を偲ぶ大切な百箇日法要を執り行いましょう。