お通夜とは
お通夜とは人が亡くなった際に、家族や友人など故人と親しい人が集まり、故人と最期の夜を過ごすもともとは葬儀前に行われる儀式のことです。元来は夜通しで故人を守ることを意味しており、そのため通夜と呼ばれていました。
お通夜は、生と死の境界上にある時間と考えられ、日本の古来の葬儀儀礼として「殯(もがり)」というものがあります。通夜はこの殯の遺習であるとも言われています。身近な者の死はなかなか受け入れがたいものがあり、心のどこかではまだ故人が生きていると思いたいものです。お通夜では、このような遺族の心情を最も大切にします。
お通夜と告別式どちらに出たらいい?
告別式に出席すべき親族や、どうしても告別式に参加したい近しい友人・知人など以外は、お通夜にのみ参列するというのが一般的です。
「葬儀・告別式」は日中行われるもので参加が難しい場合も多いので、夜間に行われるお通夜が、本来告別式が持っていた追悼の役割を担うようになってきています。
また、葬儀・告別式に出る時はお通夜にも出ないといけないのかで言えば、結論から言うとどちらか片方だけでも構いませんし、もちろん、両方出ても構いません。現状では、親族でも参列者の都合の日程に合わせてどちらか片方だけ出る場合が多くあります。
お通夜の服装のマナー
お通夜に参列する際の服装は、冠婚葬祭用のブラックスーツ・ブラックフォーマル(喪服)を着て行けば問題ありません。もちろんネクタイも靴下も靴も黒で揃える必要があり、金具類(ネクタイピンなど)は避けるようにします。
男性の喪服の基本ルール
男性における喪服の基本ルールは、黒で光沢素材ではないスーツを着用することです。
ワイシャツは白無地で、色柄物やボタンダウンのシャツは避けます。ネクタイは光沢の無い黒無地で、結び方はくぼみを作らないようにします。
ベルトは目立つバックルや蛇柄などのデザインのものは避け、黒無地でシンプルなデザインのものを選びます。
靴は、エナメルやスエード素材ではなく革靴で、金具などの飾りが付いていないもの。さらに紐で結ぶタイプのデザインのものを履きましょう。
女性の喪服の基本ルール
女性における喪服の基本ルールは、黒の光沢素材ではないアンサンブルやワンピース、パンツスーツを着用することです。夏場にお通夜に参加する場合は、肌の露出を避けるという点からもトップスの袖丈は短くても五分袖までとします。
ストッキングは薄手の黒のストッキングがマナーです。パンプスの素材は布または革のもので、エナメル素材は避けます。高いヒールのパンプスやミュールやサンダルは避けましょう。
香典の金額
香典は故人の霊前に供えるもので、線香やお花の代わりです。香典の金額は、故人との関係性で決まります。香典額は、血縁関係が近いほど高額となりますが、ご自身の年齢や葬儀の大きさ、故人の知名度など、さまざまな要素を踏まえて香典額を決めます。
故人が親戚関係にある場合は、10,000円以上、親族以外の場合は、5,000円程度が一般的です。親兄弟など近い人物の場合はより多く包む場合があります。
また香典には、新札を使用しないのが基本です。新札は亡くなることを予測し準備していたという印象を与えるためです。とはいえ、使い古した見苦しいお札も失礼にあたるので、新札しか手元にない場合は、一度お札に折り目を付けてから使用します。
通夜の進行とマナー
お通夜の進行を知っておくことで、安心してお通夜へ参加できるようになります。また、お通夜の中にもマナーがあります。
斎場に遅刻しないように向かう
斎場に遅刻しないように到着できるよう、余裕を持って訪問しましょう。
もし、お通夜の始まる時間に遅刻しそうな場合でも、焼香が行われている時間内であれば駆けつけるようにします。
受付・記帳
一般的に受付は故人との関係別に分けられています。受付が親族の方と思えたらお悔やみの言葉を述べ一礼をします。
そして、香典袋を取り出し、表書きが受付係の方から読める向きの状態にして両手で手渡しします。その後、芳名帳に住所と名前を記帳して最後に一礼をします。
式場入場~僧侶入場まで
受付後はお通夜が行われる式場へ移動し着席します。席は焼香の順番の関係で、親族席と友人、知人、会社関係者席とが分けられていることもあるため、係員の指示があればそれに従いましょう。
一般的には祭壇に向かって右側が喪主とその家族、親族席で友人、知人、会社関係者席は左側となっています。お通夜の開始時間になると僧侶が入場します。
読経・焼香・法話
僧侶による読経が始まり、僧侶による焼香が終わると、喪主、家族、親族、一般の会葬者の順で焼香が行われます。焼香のタイミングは葬儀社の係員が案内し誘導してくれます。
自分の焼香の順番が来たら、遺族に一礼をしてから焼香台の前に立ちます。焼香台の前に立ち遺影に向かって一礼をして焼香を行ってください。
焼香が終わった後、遺影に向かって合掌し一礼をして焼香台から離れます。最後に遺族へ一礼をしてから元の席へと戻ります。焼香が終わると、僧侶による法話があります。
僧侶退場・喪主挨拶
閉式が告げられると、僧侶は退場します。僧侶が退場すると喪主の挨拶が行われます。喪主はお通夜への会葬お礼や故人の死去の報告、生前の感謝を述べます。
通夜振る舞い
お通夜が終わった後、故人の供養と会葬者へのお礼のために用意された食事の席を通夜振る舞いと言います。
通夜振る舞いへの参加は必須ではありませんが、遺族から声を掛けられた場合は参加しましょう。また遺族の方は翌日告別式を控えているので、故人や遺族と親しい間柄でない限り、長居はせずに退席します。
まとめ
お通夜とは人が亡くなった際に、家族や友人など故人と親しい人が集まり、故人と最期の夜を過ごすもともとは葬儀前に行われる儀式のことです。元来は夜通しで故人を守ることを意味しており、そのため通夜と呼ばれていました。
告別式に出席すべき親族や、どうしても告別式に参加したい近しい友人・知人など以外は、お通夜にのみ参列するというのが一般的です。親族は優先して告別式へ出た方が良いでしょう。都合がつかない場合はどちらかでも構いません。
お通夜は日常的なものではないので、戸惑う場面もあるかもしれません。そのため、あらかじめマナーを確認して落ち着いて参列できるようにしましょう。