ペットを亡くしたら
家族の一員でもあるペットが亡くなったとき、霊園やお墓に埋葬したり、遺骨を手元に置いたりして心を込めて供養をする方が増えています。
ただ、ペットを霊園やお墓に埋葬するにしても、手元で供養していくにしても、まずはペットを火葬する必要があります。火葬は自分だけでできることではありませんので、ペットを火葬するサービス会社を選ぶ必要がありますが、最近選ばれているのが出張ペット火葬です。
ペットの火葬を依頼する
ペットを火葬してくれる場所は、以下の施設です。
各自治体
各自治体にペットの火葬をお願いすることができます。自治体では基本的に他のペットと一緒に合同で火葬して合同で埋葬をするため、遺骨が返ってくることはありません。費用は比較的安価ですが、土日祝日は対応していなかったり、大型犬の火葬は断られたりすることもあります。
火葬サービス会社
ペットの葬儀や火葬を執り行う民間のサービス会社です。ペットの遺体を持ち込み、火葬をしてもらいます。ペットや飼い主の気持ちに寄り添ったサービスやプランが用意されていて、合同火葬か個別火葬か、お別れの式を行うかどうか、骨を返してもらうかどうか、などを選ぶことができます。費用はペットの種類や大きさ、選んだプランによって変わります。合同火葬して共同で埋葬をするプランだと、小動物で15,000円ほど、大型犬でも50,000円ほどです。
出張ペット火葬とは
自治体もペット火葬会社も、遺体を持ち込んでの火葬となります。ただ、遺体を持ち込むための交通手段がなかったり、ペット火葬会社の予約が取れなかったりすることもあると思います。そのようなときに助かるのが、出張ペット火葬です。
出張ペット火葬とは、火葬炉を搭載した専用車で火葬をしに来てくれる出張サービスのことです。車で火葬をしますが、煙やにおいが発生しにくい構造になっているので、近隣に迷惑がかかることはありません。また、火葬車は見てすぐそれとわかる形ではなく、車に社名が書かれていることもないので安心です。
出張ペット火葬も、サービス会社によっていろいろなプランを用意しています。個別火葬か合同火葬か、火葬したあとにお骨上げをするかしないか、遺骨を返してもらうかどうか、などを選ぶことができます。
出張ペット火葬の費用の相場
出張ペット火葬も動物の種類や大きさ、選んだプランによって費用が変わります。大体の相場は、下記の通りです。
・個別火葬
小動物:10,000円~
小型犬・猫・ウサギなどの中ぐらいの大きさの動物:30,000円~
大型犬50,000円~
・合同火葬
小動物:5,000円~
小型犬・猫・ウサギなどの中ぐらいの大きさの動物:10,000円~
大型犬:20,000円~
などが一般的です。
上記の値段にオプションプランがプラスされて費用が決まります。
出張ペット火葬の流れ
実際にペットが亡くなってから出張ペット火葬を行うまでの流れについても説明します。以下のような手順でペットを弔いましょう。
サービス会社に連絡
ペットが亡くなったらサービス会社に連絡をします。サービス会社に電話がつながったら、あとはスタッフの指示に従って火葬の日時やプランを決めます。希望する見送り方などがある場合は、このときにスタッフに伝えます。
火葬に向けての準備
火葬するまで時間が空く場合は、それまでに家族でできることをスタッフに確認します。棺を用意してもらう場合は、棺に一緒に入れても良いものを確認してから準備しましょう。
火葬
火葬車に来てもらって火葬をします。選んだプランによって内容や、かかる時間は変わります。
出張ペット火葬のメリット
出張ペット火葬には以下のようなメリットがあります。
葬儀場へ行く必要がない
火葬や葬儀を行っているサービス会社が遠くて遺体の持ち込みが難しい場合、出張ペット火葬はとても便利です。自家用車がない場合、遺体を持って公共交通機関を利用するのは難しいものですが、出張ペット火葬であれば自家用車がない方や遠出が難しい高齢者でも簡単に利用することができます。
いつでも対応してもらえる
出張ペット火葬会社は、365日24時間対応してくれるところが多いのが特徴です。ペットが亡くなってすぐに対応してもらえたり、飼い主の都合のいい時間に火葬してもらうことも可能です。
きめ細かなサービスをしてくれる会社も
出張ペット火葬を取り扱っているサービス会社は、ただ出張して火葬をするだけではなく、セレモニーなど飼い主の気持ちに寄り添ったサービスやプランも用意されています。納得できる見送り方をすることによって、気持ちを整理することができます。
出張ペット火葬をするときの注意点
出張ペット火葬を、サービス会社に依頼するときは注意したい点がいくつかあります。
サービス会社選び
大切なペットを悔いなく見送るために一番大事なのは、どこのサービス会社を選ぶか、ということです。サービス会社のなかには、飼い主の悲しい気持ちにつけこむ会社があることも事実だからです。どのようなサービスやプランがあるか、飼い主の気持ちにどこまで寄り添ってくれるか、どこまで希望に添ってもらえるかなどを事前に確認しましょう。
ペットの葬儀や火葬に関しては、「一般社団法人日本動物葬儀霊園協会」「一般社団法人全国ペット霊園協会」「日本ペット訪問火葬協会」などの協会がありますので、それらの協会に加盟しているかどうかも判断基準になるでしょう。可能なら、ペットが存命のうちから何社かサービス会社を回ってサービス内容を比較したり見積もりを出したりして慎重に決めることをおすすめします。
家族とよく話し合いをする。
家族みんなで可愛がっていたペットの死後どうするかは、家族みんなで話し合って決めましょう。たとえば、費用の関係で個別の火葬が難しいとします。合同で火葬するのは嫌だと感じる家族もいるかもしれませんが、「他の子と一緒だと寂しくない」という考え方もあります。
また、「火葬したあとの遺骨をどうするか」ということも話し合っておかなければいけません。「手元に残して供養したい」「手元にいるといつまでも悲しみがぶり返す」「お墓や霊園に埋葬したい」など、家族によって考え方がさまざまだからです。当然、遺骨をどうしたいかによって用意するものも変わってきます。霊園に埋葬する場合は霊園の予約が必要ですし、手元で供養をする場合は遺骨を入れる骨壺が必要になります。火葬をした後に遺骨を返してもらわずにサービス会社にその後をまかせる方法もあります。遺骨をどのようにするかによってプランも変わってきますので、家族で話し合いましょう。
ペットの遺骨
遺骨に関しては、事情や心情によって「ペットの遺骨は返してもらわない」という選択をすることもあるでしょう。「遺骨を処分してもらうことは宗教的に良くないのではないか」「ペットが遠くに行ってしまうようで寂しい」などと思うかもしれませんが、実はそのようなことはありません。
仏教では「死者の魂は浄土へ行ったので、残った骨は抜け殻でしかない」と考えられていました。遺骨を大切にしたいと思うのは、残された側の気持ちだけであり、もともとは遺骨に宗教的な意味はあまりなかったのです。したがって火葬した後の遺骨を処分したとしてもバチが当たるようなことはありませんし、遺骨にペットの魂が宿っているわけでもありませんので、あまり深く悩まないようにしましょう。
副葬品
火葬をするときは、棺に副葬品を入れても良いかどうかを確認しましょう。副葬品としてよく入れられるのは、ペットが好きだったフードやおやつですが、缶に入っていると棺には入れられないことがあります。首輪やおもちゃなど燃え残る素材の場合は、断られることがあります。ペットのために副葬品を入れてあげたい気持ちはよくわかりますので、どんなものなら入れても良いかスタッフに確認をしてください。
まとめ
今はペットも大事な家族だと考えられています。少し前のように自宅の庭に埋めてお墓をつくることが難しい今、ペットに関する「葬」も大きく変わってきました。ペットを失った辛さを表す「ペットロス」という言葉も一般的になりましたが、ペットロスから立ち直るためには、納得できる見送り方をすることが大事です。
ペットの火葬を執り行うサービス会社の良くない対応によって、悔いが残って立ち直れなかったりすることもあると聞きます。どのようにペットを送りたいか家族の意見をまとめて、その気持ちに応えてくれるサービス会社を選んで、ペットを送りましょう。