はじめに
葬儀費用に対してはさまざまな健康保険による公的補助制度があります。ただし申請先によって、補助される金額や申請の方法や必要な書類、期限もさまざまです。
そこで本記事では、葬儀費用の補助には欠かせない葬儀に対する葬祭費補助金制度について紹介します。
葬祭費補助金制度とは
葬祭費補助金制度とは、健康保険に関して、国民健康保険、後期高齢者医療制度や社会保険・共済組合に加入している方が亡くなった際に葬儀や埋葬を行う人に支給される給付金制度の総称です。
加入先によって名称や支給額が違い、葬祭費は葬儀終了後に各市区町村や加入先に申請すると支給されます。支給金額を葬儀費用にあてることによって費用の軽減にも繋がりますので、忘れずに申請を行うようにしましょう。
葬祭費補助金は申請しないと支給されない
葬祭費補助金は、故人が国民健康保険、後期高齢者医療制度、国民健康保険以外の医療保険(健康保険組合、全国健康保険協会、共済協会などの健康保険)に加入していた場合に給付される制度です。
給付金は個人が申請しなければ支給されないうえ、手続きをしてから2~3種間程度はかかります。そのため、葬儀費用で当面の支払いを済ませ、香典や給付金で不足分を賄うといった使い方をするのが一般的です。
各保険の葬祭費補助金制度の内容
葬祭費補助金制度は、加入する保険制度により相違があります。各保険の違いを見ていきましょう。
国民健康保険の葬祭費補助金制度
国民健康保険に加入する本人(被保険者)が死亡した場合、葬儀を執り行った人に対して、「葬祭費」として一定の金額が支給されます。支給金額は市区町村によって異なりますが、東京都23区は50,000円~70,000円です。東京・神奈川・千葉・埼玉の市区町村は概ね50,000円前後となっています。
また申請先は、ご本人の住まいの市区町村です。市区町村により若干異なりますが、申請時に必要なものは下記になります。申請期間は、葬儀の施行日翌日から2年間です。
・故人の保険証(返却のため)
・葬儀の領収書原本
・印鑑(シャチハタは不可)
・通帳などの振込口座番号の確認ができるもの
・窓口に来た方の本人確認書類(マインナンバーカード・免許証・保険証等)
後期高齢者医療制度の葬祭費補助金制度
後期高齢者医療制度の被保険者が死亡し葬儀を行ったとき、葬儀を執り行った方(喪主)からの申請により葬祭費を支給されます。支給金額は70,000円、申請期間は葬儀施行日の翌日から2年間。
また後期高齢者医療制度の葬祭費補助金制度は喪主への振込になる点、未納の保険料がある場合は事前に納付相談を依頼される場合がある点に注意しましょう。
申請先はお住まいの市区町村、申請に必要なものは下記の通りです。
・ 亡くなった被保険者の保険証(後期高齢者医療被保険者証)
・葬儀を執り行った方(喪主)のフルネームが記載されている会葬礼状または葬祭費用に関する領収書
・葬儀を執り行った方(喪主)の印鑑 (シャチハタは不可)
・通帳などの葬儀を執り行った方(喪主)名義の振込口座番号がわかるもの
・窓口に来た方の本人確認書類(マインナンバーカード・免許証・保険証等)
社会保険や各共済組合の葬祭費補助金制度
社会保険や各共済組合の被保険者が亡くなった場合、埋葬を行う方に対し「埋葬料」または「埋葬費」が給付されます。
埋葬料の支給金額は5万円です。埋葬料は葬祭費と異なり、霊柩車や火葬費料・僧侶への謝礼など、埋葬するまでにかかった費用が対象となります。
故人と生計維持関係にない場合は「埋葬費」となります。埋葬費は埋葬料と同じく、故人が国民健康保険以外の健保加入者である場合に受けられる給付金です。埋葬料は申請者が故人の収入で生活していた場合に利用できるのに対し、埋葬費は申請者が故人により生計を維持されていない場合でも利用できる制度です。
申請先は、本人の勤務先の所轄社会保険事務所、もしくは、勤務先の健康保険組合、共済組合です。
申請の際に必要なものは下記の通りです。
・住民票(家族の方が申請する場合は、生計維持を確認できる書類として必要)
・領収証(支払った方のフルネームと埋葬に要した費用額が記載されていることが条件)
生活保護受給者の葬祭費補助金制度
生活保護受給者は健康保険制度から離脱することになりますので別途の制度が必要です。生活保護受給者の葬祭費補助金制度の場合は「葬祭扶助」となります。
葬祭扶助は、故人が生活保護受給者で遺族以外の第三者が葬祭をおこなう場合、または遺族や喪主を務める人が生活保護を受けている場合に、葬祭に必要なものを扶助する制度です。
基準額は、故人が12歳未満の場合は164,000円、12歳以上の場合は206,000円以内ですが、自治体により上限額が決められています。
申請先は、故人の住んでいた市区町村です。また支給を受けるには、葬祭前の事前申請が必要なので注意しましょう。
まとめ
葬祭費補助金制度とは、国民健康保険、後期高齢者医療制度や社会保険・共済組合に加入している方が亡くなった際に葬儀や埋葬を行う人に支給される給付金制度の総称です。
葬祭費補助金は給付金に該当するので、申請しなければ支給されません。また申請期限も定められているので、申請忘れがないよう気をつけましょう。