人生の終盤期、親族へのメッセージや自分に関する事柄、終末医療への希望、葬式・お墓の希望などをメッセージビデオの形で残すのも有効です。
エンディングノートは、活字に向いたものは活字で、映像に向いたものは映像で残すと良いでしょう。エンディングノートと関連付け、より想いが伝わるメッセージビデオの活用方法をご紹介いたします。
エンディング・メッセージビデオについて
エンディングノートの動画映像版のことをエンディング・メッセージビデオと言うこともできます。以下、ここでは人生の終盤期における家族や親族へ伝えたいこと、自分に関する事柄や終末医療への希望、葬式やお墓の希望などを動画の形でまとめたものをエンディング・メッセージビデオと呼びます。
エンディング・メッセージビデオの目的
メッセージビデオも結婚式のためのものから、新型コロナウィルスのために地方の両親に会いに行けなくなってしまった方が交流のための作るもの、新型コロナウィルスの影響で親族を呼ぶことができなかった家族葬の様子を伝えるものなど、目的によりいろいろあります。
人生の終盤期におけるエンディング・メッセージビデオとは、自分自身が家族などのために伝えておきたいことを映像の形で見てもらうためのものです。映像でなければ分からないもの、映像の方がわかりやすいものなどに適しています。
具体的なテーマとしては、
・家族にむけた感謝のメッセージ
・自身の人生の歩みや生きた証としての記録
・自分の両親や子供のころなどの思い出
・故郷の状況
・自分の通っていた小学校や中学校
・お墓
・地方の親族の紹介
・過去の旅行の思い出映像
・趣味や生きがいの紹介
・ペットとの暮らし
などがあります。
家族に伝えたいものをまとめるだけでなく、葬儀で自分を偲ぶために家族に頼んでメッセージビデオを写してもらうこともできます。葬儀では生前の映像で参列した人に感謝を伝えることができ、葬儀の新しい演出方法のひとつにもなります。
エンディングのメッセージをビデオにする利点
エンディングノートをWEBで作成しても、ワープロで作成してプリントアウトして人に配れば、活字媒体となります。活字媒体では文字、表、絵、写真などを使って自分の伝えたいことを表現することができ、手軽で便利な手段です。
一方、エンディングノートを動画にすれば次のような利点があります。
・強いインパクトを与えることができる
動画は映像と音声を伝えることができるので、見た人に強い印象を与えます。映像を作成するのは大変ですが、それだけの意味があります。本人が動いている姿や表情、生の声を家族に伝えることができるので多くの人に喜ばれるでしょう。
・複数の人、多くの人に同時に見てもらえる
葬儀でエンディング・メッセージビデオを映写すれば、同時に複数の人、多くの人に見てもらうことができます。思い出の音楽や映像とともに、メッセージをリアリティをもって伝えることができるのでおすすめです。
エンディング・メッセージビデオの作り方
ここからは、具体的にエンディング・メッセージビデオを作る方法をみていきましょう。エンディングノートとエンディング・メッセージビデオを併用する方法、エンディング・メッセージビデオだけで思いを伝える方法の2つがあります。
エンディングノートの自分史部分と連動してビデオを作る場合
エンディングノートはノートとして作り、動画映像に向いた部分、または写真のある部分を映像にする方法があります。まずエンディングノートの自分史部分を目次として構成した後に、映像化する部分を決めます。
一例として、映像化する部分を*で紹介します。
・エンディングノートの自分史部分
- ①タイトル「私の歩んできた人生」
- ②目次
はじめに
・エンディングノートにおいて自分史を書いた訳
第1章 我が家の家系、ルーツ
・父方の家系について
・母方の家系について
第2章 両親、祖父母の思い出
・父の人柄、思い出 *写真
・母の人柄、思い出 *写真
・祖父母の思い出 *写真
・家のお墓 *ビデオ撮影予定
第3章 私の人生の歩み
・幼児期の思い出 *写真
・小学校時代 *写真
・中学校時代 *写真
・高校時代 *写真
・大学時代など、時代背景 *写真
・就職と進路の悩み
・就職 A社での仕事と体験 *写真
・転職 転職した動機、B社での仕事と体験
・仕事の喜びと悩み
・仕事で身に付けたこと、学んだこと
・人生の節目になったこと(病気、事故、仕事の転機とチャンスなど)
第4章 私の生きがい
・趣味について
・夫婦の旅の思い出 *写真 *ビデオ撮影予定
・ライフワークとの出会い *ビデオ撮影予定
・定年後の地域の社会参加
第5章 人生の終盤期で思うこと
・周囲の人のおかげで生きてきた。
・終末期の医療や介護での希望
・お墓についての考え
・葬儀の希望と理由 *ビデオ撮影予定
・相続における遺言書と遺産分割についての説明 *ビデオ撮影予定
おわりに
・家族への感謝 *ビデオ撮影予定
エンディングノートを作らずに、エンディング・メッセージビデオだけを作る場合
動画のみで、写真や資料なども含めてメッセージビデオとして編集します。こちらも具体例を挙げておきます。
PART1 両親、祖父母の思い出
・父の人柄、思い出 *写真
・母の人柄、思い出 *写真
・祖父母の思い出 *写真
・家のお墓
PART2 私の人生の歩み
・幼児期の思い出 *写真
・小学校時代 *写真
・中学校時代 *写真
・高校時代 *写真
・大学時代など、時代背景 *写真
・人生の節目になったこと(病気、事故、仕事の転機とチャンスなど)
PART3 私の生きがい
・趣味について
・夫婦の旅の思い出 *写真
・ライフワークとの出会い
・定年後の地域の社会参加
PART4 人生の終盤期で思うこと
・周囲の人のおかげで生きてきた。
・終末期の医療や介護での希望
・お墓についての考え
・葬儀の希望と理由
・相続における遺言書と遺産分割についての説明
PART5 おわりに
・家族への感謝 *ビデオ撮影予定
メッセージビデオの作り方
では、実際にどのようにしてメッセージビデオを作れば良いのか、その手順についても説明しておきます。メッセージビデオはスマートフォンでも作成できますし、想像するよりも簡単に作ることができます。
- ①パソコンでメッセージビデオを作成するのに必要なものと作業
a. 撮影
デジタルビデオカメラ、スマホなど
b. 編集
必要なものはパソコン、動画編集ソフト、動画に利用する素材です。動画編集ソフトは各種あります。素材は撮影した動画や写真です。
- ②動画編集ソフトを使って動画制作
・動画編集ソフトを使える状態(立ち上げる)にします。
・素材の保存先から動画、写真、音声などのファイルを読み込みます。
・読み込んだ素材を編集、加工(トリミングや回転など)、部分削除などをします。
・字幕やシェイプ(図形)などのオブジェクトを必要に応じて追加します。
・その後色調補正やフィルター(特殊加工)などを用いて様々な加工処理をします。
・動画をエンコード(圧縮処理)します。
・DVDなどに書き出しアウトプットします。
伝えたいことを残すためのメッセージビデオ 3つのポイント
エンディング・メッセージビデオは、遺される人に向けて作るものです。そのため、「伝わりやすく作る」ことが一番大事になってきます。以下のポイントに注意して制作してみてください。
エンディングノートとメッセージビデオは両方あった方が良い
エンディングノートでは活字に向いた部分を表現し、メッセージビデオでは映像や音声の効果が生きる部分を表現しましょう。例えば家系図などは活字で表したほうが漢字の表記などがわかりやすいですし、家族へのメッセージなどは映像でリアルな音声で伝えた方が意図が伝わりやすくなります。
メッセージビデオはテーマを持って作る。
人生の歩みは過去の物であり、今から映像化することはできません。基本的には、過去に撮影したビデオや写真を編集することになります。新たに映像化するものはテーマを決めて、その部分だけを撮影します。家系のルーツを探す旅、亡くなった祖父の人生を探す旅などといったテーマを決め、自分で撮影して記録に残してみましょう。
まずは撮影に挑戦、次に編集を考える。
ビデオ撮影に慣れない人はまず撮影に挑戦してみてください。ビデオ機材が無ければスマートフォンでも可能です。編集はその後に改めて挑戦する形で問題ありません。編集だけを外部の企業に委託することも可能です。
エンディング・メッセージビデオは人生の振り返りになる
もともとビデオや写真の撮影が好きな方は、データをたくさん持っていると思います。ですが全てのデータをアルバムに整理したり、DVDなどのメディアに焼いたりしている人は少数だと思います。多くの方は整理や編集が面倒でそのままになっているのではないでしょうか。
エンディング・メッセージビデオを作ることで、それらのデータを整理できるのも利点のひとつです。ひとつひとつのデータを見ながら整理することで、自分自身でも人生を振り返ることができるでしょう。
自分や家族の思い出を整理して家族に遺すという、最後の仕事と捉えても良いかもしれません。動画の撮影に慣れていない方は大変かもしれませんが、それも人生の終盤期の趣味として挑戦してみると面白いかもしれません。
まとめ
・エンディングに関するメッセージビデオとは
エンディングノートの動画映像版のことをエンディング・メッセージビデオと言うこともできます。親族へ伝えたいこと、自分に関する事柄や終末医療への希望、葬式やお墓の希望、家族への感謝などを動画の形でまとめたものです。
・メッセージビデオの魅力
メッセージビデオはその人の表情や声がそのまま伝わるため、映像としての魅力があります。故郷などを訪ねる映像を作れば、見る人にとっても大変興味深いものになるでしょう。
・エンディングのメッセージをビデオにする利点
動画として残すことで多くの人に同時に見てもらうことが可能になるほか、見た人に深い印象を残すことができます。葬儀で映写してもらうことも可能です。
・エンディングノートの自分史部分と連動してビデオを作ることも
エンディングノートはノートとして作り、動画映像に向いた部分、または写真のある部分を映像で表現するケースもあります。その場合はエンディングノートの自分史部分を目次として構成した後に、映像化する部分を決めましょう。
・メッセージビデオ作成の無料アプリもある
スマートフォンの普及で、動画の撮影は身近になりました。ビデオカメラだけでなく、スマートフォンで手軽に動画作成ができるアプリもたくさんありますので、ぜひ調べてみてください。
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