遺言書ではないエンディングノートに財産のことまで書いていいの?

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皆さんは、エンディングノートを書いたことがありますか?

中高年になると自身の最後に向けて準備を始める人が増えています。
残された人が困らないように、エンディングノートを残すと良いといわれています。

エンディングノートには、財産や金銭に関係することを記載する項目もあります。
しかし、エンディングノートは遺言書とは違い、簡単に見られてしまうことも考えられるでしょう。

そんなエンディングノートに財産などの重要なことまで書いていいのか不安になるのではないでしょうか?
今回は、エンディングノートとはどんなものか、どこまで書いて良いのものなものかを解説していきます。

エンディングノートとは?

エンディングノートとは、自分が亡くなった後遺族が困らないために、葬儀の方法や財産などを記したノートです。
内容には、生前の思い出や好きなこと、好きな本や音楽、趣味などを記載する欄もあります。

書店や文具店などで1000円前後で購入することもできますが、自治体や銀行などでは無料で配布していることもあります。
自治体や銀行の場合は、初めての年金受給の際に受け取り口座の開設などの説明と一緒に、エンディングノートを配布する例が多いです。

またインターネットでは、パソコンに保存できるエンディングノートもあり、無料でダウンロードが可能です(終活ライフ無料エンディングノートhttps://shukatu-life.com/)

様々な種類があるので、ご自身にあったエンディングノートを選択すると良いでしょう。

エンディングノートの必要性

かつては、その地方に決められた葬儀や埋葬の仕方があり、それに従うのが普通でした。
しかし、現在は様々な方法が選べるようになり、自分らしい葬儀が可能となっています。
また、かつて財産は長男、または長子が全て引き継ぐものでしたが、民法の改正によりすべての子が均等に相続することになりました。

私たちは長い間「死」に対して向き合うことを避け、特に高齢者と「死」について話すことはタブー視されていました。
高齢者がいる家庭では、長寿を祝っても「死」が近づいていることには触れられなかったのです。

しかし、人間の命は永遠ではなく、高齢になればなるほどその時は突然やってきます。
それでは、残された家族では判断できない、財産や金銭の問題なども起こるでしょう。

また子どもの数の減少により、一人で葬儀を出さなければならないという人もいます。
昔なら地域の人のアドバイスや親族の助言があったものの、頼る人がいないと何をしたらよいのか全く分かりません。

生前、本人から「葬式をやらなくていい」「海にでも骨を蒔いてくれればいい」などと言われ、実際に葬儀をやらず周囲からの逆鱗に触れることもあります。
また、散骨のことをしっかりと調べずに進めたため、金額でのトラブルや遺骨が全く残らないことを知り、辛い思いをするかもしれません。

結婚をしない人、結婚をしても子どもがいない人、子が先に死を迎えてしまっている場合は特に困るでしょう。

以前は、結婚をすることが当たり前、子孫を残すことが当たり前とされていました。
その子や孫が親の死後、葬儀や遺産について、全てを取り仕切ることもできましたが、結婚をしない人や子どもがいない人、親族がいない人はどうしたらよいのでしょう。
親ひとり子ひとりの家庭で、残された子はどうしたらよいのでしょうか。

また、単身世帯の増加に伴い、親族がいないまま孤独死や孤立死を迎える人が増えています。
結婚しないまま死を迎える人も増え、身内や親族がいない場合は、自治体が変わりに葬儀を行ったり、財産の管理をしたりすることになってしまいます。

そこで、本人が言うのではなくしっかりと「自身の死や葬儀、その後のことを形に残すことが必要である」という傾向に変化しました。
そのときに、誰でも利用できて手軽なものが「エンディングノート」です。

エンディングノートの記載内容

エンディングノートは、自分の過去とこれからを書くものです。
さらに、過去を振り返りながら書くことで自分自身を見直すことができるメリットがあります。

エンディングノートには、明確なルールがありません。
そのため、残された家族が困らないようにする内容を記載することが重要です。

葬儀のお金

人が亡くなると葬儀をすることになりますが、葬儀にはお金が必要です。
そこで、遺族がまとまったお金を用意することができればよいのですが、そうでない場合は、亡くなった人が用意しておいたお金を使うこともあります。

しかし、肝心のお金の場所や、銀行口座の引き落とし方法がわからないと利用することができません。
そこでそのために書き残しておくのが、エンディングノートです。

いざというときに、すぐに利用できるお金がどこにあるのか、印鑑の場所、暗証番号などがわかるように記しておきます。

遺族が困らないようにある程度のお金を生前贈与しておくこともできますが、他にも以下の情報を残しておくと、様々な手続きなどにとても助かります。

  • ①自分が持つ銀行、支店、口座番号、通帳や印鑑の保管場所、暗証番号
  • ②自分が持つ有価証券などの財産の詳細
  • ③土地、建物、車など財産に関する権利など
  • ④実印と印鑑証明

戒名や葬儀の方法・墓地など

葬儀はどんな形式で行うかは、各家庭によって異なります。
仏教、キリスト教を始め、宗教が自由の日本では、それぞれの宗教に合わせた葬儀が執り行われます。
故人が生前、決めたお寺などで墓地を購入していれば、そのお寺が菩提寺となります。

まず、仏教の場合葬儀を執り行う僧侶は、生前の故人の様子や趣味などを参考に戒名を決めます(浄土真宗では法名)
遺族から話を聞いて決めますが、そのとき本人が希望とする文字などを入れることもできます。

葬儀では司会や施主のあいさつ、BGM、棺に入れるもの、花の種類などや故人が好きだったアーティストの歌や曲を流すなど、故人の希望を活かした内容にすることもできます。
ワインが好きな故人ならワイン葬、なかには宗教にこだわらない無宗教葬やホテル葬、レストラン葬などもあります。

葬儀の方法についても指定があると、とても助かるでしょう。
ただ、ここで一番困るのが「任せる」「やらなくてよい」「散骨」などです。

さらに墓地の有無ではかなり違いがあり、菩提寺がない場合は遺族が葬儀の際の僧侶を探し、墓地を購入することになります。
墓地があっても、墓石だけで数10万から100万円以上かかることもあるのです。

そこで最低限、以下は書いておきましょう。

  • ①自分が菩提寺に墓地を所有しているのか、そうでないのか

    (ある場合は墓地の名称と場所、どこまで施工してあるのか、墓石をお願いする会社)

  • ②葬儀をお願いする会社
  • ③散骨の場合はどれくらいのお金が必要で必要なお金はどこに用意されているのか

    (散骨には2通りの方法がありかかる経費が全く違います)

  • ④戒名はどうするのか、どれくらいのお金を用意してあるのか
  • ⑤葬儀で行ってほしいこと
  • ⑥葬儀のとき連絡をしてほしい人
遺言状と相続

遺族にとって最も気がかりなことは、お金の問題です。
死の悲しみで厳禁なことかもしれませんが、これから残された人が生活するために必要な場合もあるのです。
例えば、父親が亡くなり、専業主婦の母親の介護が必要なときなどが挙げられます。

ここで、父親が財産を残さず、しかも遺族年金がない、国民年金しかない、となると子どもたちの負担はかなりのものです。
また、遺族年金の手続きをするためにも数か月を要するので、その間に必要な書類を用意しなければなりません。

そこで遺言状に従って遺産相続が終了するまでの、必要最低限の現金の有無をエンディングノートで残しておきましょう。
その後、遺言状があれば、遺言状の場所、誰が責任を持って手続きをするかなどを記載しておくことが望ましいです。

遺言状がない場合、簡単な相続と責任者として任せる人間を決めておくと、子どもたちの間での争いを避けることができます。
しかし、エンディングノートは、法的効力は全くなくあくまでも目安であることを覚えておきましょう。

相続は遺族に任せるとあった場合は、法定相続や遺族による話し合いで解決をします。
相続を誰にするか指定する場合は、必ず「公証役場」や「法務局」に遺言状を保管しておきましょう。

  • ①遺言状が保管されている場所
  • ②遺言状を開封するときに立ち会う遺族
  • ③相続のおおよその配分

エンディングノートに書く相続は、あくまでも目安となります。
実際には遺言状があれば、遺言状に従うことが法律で定められています。
遺言状が公証役場や法務局に保管されていれば、それに従うことになるのです。

家庭に保管されていて、書式に不備がある、弁護士の立ち合いがない、紛失や改ざんされてしまっている場合は故人にも責任があります。
この場合は、故人の意にそぐわなくても、遺族が法定相続をする場合もあり得ます。

エンディングノートのもう一つの役割

エンディングノートには、延命処置など亡くなる寸前までのことを書くこともできます。
口頭で決めておいても良いですが、持病を持つ人は、自分の最期について決めておくことも可能です。

最期を迎えるまでの時間

脳死状態になり延命が必要になったら、いざというときに遺族や医師では決められないこともあります。
遺族の中でも延命については考え方に違いがあり、騒動の原因にもなり得るでしょう。

普段から介護にかかわる子どもは、本人の苦しみを見ているため延命を望まないことがあります。
しかし、遠方の子どもは最期の瞬間に立ち会えず、延命を希望することもあるでしょう。
延命によって遺族にかかる負担なども考えて、どうするかを決めておくことも大切です。

また、30代、40代という比較的若い人でもエンディングノートを書く人が増えています。
50代くらいまでの人は、脳死の状態になったときの「臓器移植提供」を明記していることもあります。

エンディングノートは、死を迎えた後だけでなく、その前の残された家族に向ける自分の意志表示ともなるのです。

### 介護や入院
超高齢社会を迎えるにあたって、介護や入院をすることもあるでしょう。
なかでも認知症になり自分で判断ができないと、家族がすべてを決めることになります。
介護施設や入院先の受け入れの問題もありますが、本人が意としない場所で最期のときを迎えることになってしまうかもしれません。

特別養護老人ホームでは、終末医療はできないため入院が必要になると退去せざるを得ないこともあります。
また、職員や設備の不十分さで、入居者に不利益な施設があることも問題です。

認知症になると、こういった場所を選ぶことができません。
あらかじめ家族に向けて自分が選んだ施設で申し込みをしてあること、介護認定の等級が変わった際は受け入れが早まることを考え、申請をし直してほしいことなどを書いておくと良いでしょう。

特別養護老人ホームは、申し込みがなければ認定審査会に掛けることはできませんが、申し込みの順番ではなく「緊急性」が優先となります。
そこで、介護認定の等級が変わった、介護をしていた父や母が亡くなったなど、緊急性がある場合は施設に申請をし直すよう明記しておくことをおすすめします。

エンディングノートに法的な効力はない

遺言状と相続でもお話しましたが、エンディングノートには法的効力はありません。
また、内容を秘密にすることもできないため、家族に全てを見られても大丈夫という人には、エンディングノートが手軽でおすすめだと言えます。

エンディングノートを書くときの注意点

エンディングノートは法的な効力がないため、あくまでも目安という形で書くようにします。
遺産分配などで法的効力が必要なものは、エンディングノートには明記せず、遺言状にして公証役場や法務局に管理してもらいましょう。

例えば家族に知られたくない親族がいる場合や、他にも家族に秘密にしたいものについてはエンディングノートには書かないことが無難です。
法定相続とは違う相続がある場合、最終的には家族も法的な遺言状に従うことになります。

家族とは良い関係を築いていても、盗難や紛失など他への個人情報の漏洩が心配な人は、エンディングノートには書かないということもあります。
ホームヘルパーなど、他人が出入りする家の場合は、家族だけにわかるような合言葉のような書き方もいいでしょう。
また、あらかじめ書いたエンディングノートを、家ではなく子どもに託しておくのもおすすめです。

まとめ

エンディングノートは、終活に向けて書くノートですが、内容は自由に書くことができます。
しかし、それは自由帳や日記帳のようなものだと捉え、残された人に向けてのメッセージだと考えて書くようにしましょう。

エンディングノートに財産のことを書くのは可能ですが、法的効力はないため望み通りになるとは限りません。
財産や相続に関係することは、遺言状を作成し、保管場所や開封時に立ち会う遺族をエンディングノートに記載しておくのが望ましいでしょう。

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